第22話 アイリ

「アイリ…私の名前。」


始めて少女に名前がついた。あの施設の時と違って自分だけの自分の存在を証明するもの。アイリは嬉しくなった。


「アイリか。いい名前じゃないか。」


「そうそう!似合ってるよ!」


2人もなんだか嬉しくなった。


「アイリはこれからどうするんだい?教会でお世話になったりする?」


「いや…私は、ガゼル…さんとサキさんのところで暮らすよ。」


「ガゼル…。後ろにいる人たちかな。」


「はじめまして、アイリのお父さん。私バジュイース王国街の端の方でで何でも屋を営んでいるガゼルと申します。よろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくお願いします。あの…娘を育ててもらう人に言うのはアレなんですがあなた大丈夫ですか?」


「大丈夫と言うと?」


「その、仕事何でも屋をやってるって言いましたよね。それで収入が安定したりとか…」


「心配になりますよね。でも安心してください。収入は安定していますし子供を育てれるくらいの貯蓄はあります。」


「あぁ、そうですよね。すいません、余計なこと言ってしまって。」


「大丈夫ですよ。娘さん、必ず幸せにして見せますよ。」


ガゼルはアイリの父親に約束をした。今まで辛い思いをしてきた彼女を幸せにするんだ。


「…横から失礼するけどガゼルさぁ、なんか今の言い方結婚の挨拶みたいだね。」


「え?あー、んー?…待ってなんか恥ずかしい!恥ずかしいけど幸せにしなきゃいけないのは事実なんだ。人の子を預かるんだから。」


「あと、私もうキツい。もう死合玉保てない。」


「そうですか。皆さん今日は本当にありがとうございました。ずっと気になっていた娘のことが分かって良かったです。…アイリ、迷惑かけずに元気過ごすんだぞ。」


そう言い残して水晶から男の気配が消えた。


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