12 真夏のある日
涼やかな空気に満たされた快適なリビング。
テレビのモニターにはローカル局の情報番組が映し出され、レースのカーテン越しに差し込む強い日差しは外が如何に灼熱の空間であるのかを物語っているようだった。
真夏の某月某日。
今日は夏休みに入った楓が友達と一緒にシャイニーワールドへ遊びへ出かける日だった。
(楓はもう、シャイニーワールドに着いてる頃か)
リビングのソファに座り広げた雑誌に目を通していた瑠奈がふと時計に視線を移す。
彼女は雑誌に目を戻すと優しげな表情を浮かべた。
(あいつを学校に入学させた当初、こんな風なことが起こって欲しいと理想を描いてはいたが、まさか実現するとはな)
感慨深い気持ちに浸る瑠奈は楓の姿を思い浮かべる。
(それにしても前日に準備をしていたあいつの落ち着かなさとか家を出ていったときのはしゃぎっぷりとか、まるで小さな子供か犬かのようだったな)
彼女は嬉しげな苦笑をした後、にわかに真剣な表情になってイルフの雑誌を注視する。
(新型掃除機イルフ……ほう、悪くない値段じゃないか。
我が家にお迎えしたいところだが最近、別のイルフをもう2台も買ったからな。 楓も流石に怒……りはしないだろうが恐ろしく冷めたジト目で呆れはしそうだな……)
まるで人生のターニングポイントで迫られた決断でもするかのように瑠奈は激しく思い悩む。
(いや、しかし……うーん……
でも、やっぱり──)
その時、瑠奈のスマートフォンが着信音を響かせる。
瑠奈がスマートフォンを操作して届いたメッセージを確認すると、
(今すぐ会社のサーバーの資料を見ろ?)
『ご覧ください、この大量の不法投棄物を! これら全てがイルフなので──』
瑠奈はテレビと冷房の電源をリモコンで消すとリビングを出て自室へ向かった。
+++++
「あー、もうっさいっこう!」
「中々のスリルとスピード感で楽しかったですね!」
「これがジェットコースターというアトラクションなのですね。 フワッとした感覚が面白かったです」
「……」
長い待ち時間のストレスを解き放ったかのような爽快な笑顔を浮かべる凛と真依。
珍しい感覚を味わい興味深そうについ先程、自分が初めて体験したそそり立つコースを見上げる楓。
そして、
「だから嫌だって言ったのに……」
青ざめた顔で小さく震える飛鳥。
彼女の弱々しい様子に凛が苦笑を浮かべながら、
「無理して乗らなくていいよって言ったじゃん、楠」
「あんたが怖いのか?とか聞いてくるから……」
「いやいやいや、怖いんだったら止めといた方がいいんじゃね?とは言ったけどさ」
対称的な表情の二人を横から見ていた楓の視界の端にふと人間とは異なる形の影が入り込む。
楓がそちらに目を移すと、
「あ、サニーくん」
楓の視界に入った影とはこのテーマパークのマスコットの大きなひまわりを顔にした着ぐるみであった。
「ねぇ、皆でサニーくんと写真撮りましょうよ!」
「お、いいねっ!」
真依の提案に賛成する凛。
凛は辺りを見回し幼い娘を連れた家族らしき3人を見つけると、
「すみません、4人で集まった写真を撮りたいんでシャッターお願いしてもいいですか?」
と、凛が声をかけた母親らしき女性はいいですよと快諾してくれた。
凛達4人は撮影のためサニーくんの周りに集まる。
凛が声をかけた母親らしき女性がスマートフォンを手に持ち撮りますよー、と楓達に呼びかける。
「いきまーす、3、2、1」
母親らしき女性が撮影を終えると凛がありがとうございますとお礼の言葉を伝えてスマートフォンを受け取った。
「ママー、私もサニーくんと写真撮りたい!」
自分にかけられた声に母親らしき女性が振り返るとそこには彼女の娘と思われる幼い少女がいた。
「ええ、いいわよ」
「じゃあ、今度はあたしが撮りますんで家族の皆さんで一緒にどうぞ!」
母親の女性は凜にスマートフォンを手渡すと既にサニーくんに夢中な娘の少女と彼女の隣で屈む夫のもとへと向かう。
そこへ一羽の小鳥が少女の肩へと降り立つ。
「わっ、シャイニーティット!」
少女の肩にとまった小鳥はまた別のシャイニーワールドのマスコットであった。
と、楓があることに気づく。
(あれは……イルフ)
少女の肩にとまる小鳥に注意を向ける楓の感覚からはその小鳥がイルフであることが伝わっていた。
少女は肩にとまる愛らしい小鳥をみて嬉しそうにはしゃぎだす。
そしてサニーくんと少女を真ん中にしてそれぞれポーズをとる3人の家族。
「それではいきまーす、3、2、1!」
凜の呼び掛けとともにシャッター音が鳴る。
満面の笑みでポーズをとる幼い少女と彼女に笑顔をもたらしたサニーくんと小鳥のイルフを穏やかな瞳で見つめる楓。
(貴方達のなさった仕事は本当にとても素晴らしいものですね。
特に小鳥のイルフさん、同じイルフとして私は貴方を心の底から尊敬します)
イルフの少女は静かに小鳥のイルフへと胸の内で深々と礼をするのだった──
+++++
(学校のプールの授業でも思いましたけど暑い日に水の中に浸かるというのは本当に心地よいものですね)
ラダーを使い楓はプールの中からプールサイドに出る。
デニムのショートパンツビキニから滴る水滴が夏の日差しを浴びて煌めいた。
テーマパークでの遊びに区切りをつけた楓たちは今、本命のプールエリアへと遊びに来ていた。
「あ、いたいた三島ちゃん!」
声を掛けられた方に楓が振り向くとホルターネックビキニ姿の凜があった。
「どうしました、長谷川さん?」
「ねぇ、三島ちゃん。 よかったらあそこのウォータースライダーへ一緒に行かない?」
凜の指さす方向には巨大なウォータースライダーがそそり立っていた。
楓はウォータースライダーを見上げながら、
「ずっと気になっていたんですけれどあれもこの施設のアトラクションの一つなのですか?」
「うん! 流れる水を使って滑る滑り台っていうのかな? 結構スピードが出て面白いんだよ!」
人懐っこい笑顔を浮かべる凜。
彼女のそんな表情を見て楓は凜の誘いを快く受けることにしたのだった。
「分かりました、是非お供させてください」
「やった! じゃあ早く行こ!」
「はいストップ」
凜の背後から両肩に誰かの手がポンと置かれる。
凜が振り向くとハイネックのビキニを着た飛鳥がそこにいた。
「プールサイドでは慌てない」
「あ、ごめん!」
顔の前で両手を合わせ自分の行いを素直に謝る凜。
すると、飛鳥は腕を組み凜へと怪訝なジト目を向ける。
「…………ねぇ、あんたなんで不良なんかやってんの? 今だってワタシの注意を素直に聞き入れて、とても周囲の人間や世の中に反発する不良の態度なんかに思えないんだけど?」
「えっ!? えーっと、それは……」
「あ、皆ここにいたんですね」
飛鳥への返答を凜が口ごもっていたところへフリルのビキニ姿の真依が現れる。
真依は三人を見渡して、
「皆はこれからどのアトラクションで遊ぶつもりです?」
「あたしと三島ちゃんはちょっとあっちのウォータースライダー行ってくる!」
「あっ、ちょっと長谷川さん!?」
凛は楓の手を引き目当てのてウォータースライダーへと向かい歩き出す。
二人を目で追っていた飛鳥は真依へと向き直り、
「一ノ瀬さんも一緒に行ってくる?」
「それだと楠さんが一人になっちゃいませんか?
よければわたしと流れるプールに行きませんか?」
「あのめっちゃ長そうなやつ? オッケー、じゃ行こっか!」
そう言うと飛鳥と真依も目当てのアトラクションへと歩みだした。
+++++
「──あれがウォータースライダーなんですね。 確かに中々のスピードで面白かったですね」
「でしょ! でも、あれだけじゃないんだよ。 ここにはまだ別のもあるの! でね──」
ウォータースライダーに興味を示した楓に凜は何故か自分が褒められたかのように嬉しそうに声を弾ませる。
プールサイドを並んで歩く二人。
と、凜の目に楓の鮮やかな赤い色の髪が映る。
──何故だろう?
突然、凜の胸の内に芽生えたある質問。
彼女の無性に尋ねてみたくなったその質問は喉元を通り、隣りで歩く友人へと投げかけられた。
「──ねぇ、三島ちゃん。 三島ちゃんはあたしのこの髪のこと、どう思う?」
「? とても素敵だと思いますけど……」
「……」
自分の髪をどう思うかという凛の質問に素直な感想を述べた楓。
だが求めていた答えと的外れだったのか納得がいかなそうな凛の表情に楓は眉をひそめる。
「そういうことを聞いてるんじゃないのですか?」
と、凛がぽつりと呟くように話しだす。
「──中学のときにさ、あたしの父親がやたら厳しかった時期があったんだよね。 あたしが何をしてもガミガミと怒ってめっちゃ腹が立ったあたしは髪を染めて父親どころか身近な大人全員に反発しようとしたんだ」
「その茶髪はその時からの物だと?」
「うん。 でも、今にして思うとダッサイなぁって…… あたしは髪を染めただけで何かした気になってた。
茶髪にしただけで大人達の言いなりになってない気でいた。
馬鹿だよね。 たかが髪を茶色にしただけなのに……」
「そんな事ないですよ」
楓の否定に凛は直ぐさま首を振る。
「ううん、ダサいよ。 自分を磨くために茶髪にするとかならいいけど、あたしのは大人への嫌がらせ目的みたいなものだもん……
──その点、三島ちゃんはカッコイイよね。
聞いたよ、一ノ瀬ちゃんや楠の命を救ったんだってね」
「私はイルフですから。 イルフは人間の役に立つのが存在意義なのですから当然の役目を果たしたまでですよ」
「でも、それって自分がこの世に生まれた理由の役目を果たしたって事でしょ?
それも命を救うって事を三島ちゃんはしたんだ。 すげぇ立派で、すげぇカッコイイと思うよ、マジで」
「ありがとうございます」
笑顔になる楓の顔から凛は恥ずかしそうに顔を背ける。
「まぁそんな訳で、すげぇカッコイイ三島ちゃんを見てさ、何だか自分が妙にダサく感じちゃったんだ……」
「そんな事ないですよ。 長谷川さんだって立派だと私は思いますよ」
「ん? あたし何かしたっけ?」
凛には自分が楓に何か褒められることをしたのか全く思い当たる節がなかった。
しかし楓は自信に溢れた表情を凛に向けると、
「私と真依が巻き込まれた喧嘩の元々の理由は、他校の生徒が無理矢理していたナンパを長谷川さんが止めたからですよね」
「ああ、あれか。 でもあれ結局、喧嘩する事になったからなぁ」
「結果はそうなっちゃいましたけど、嫌がる私達の学校の生徒に無理矢理していたナンパを止ようとした長谷川さんを私は立派だと思います」
「フフッ、ありがと三島ちゃん!
……あっ、次はあのウォータースライダーに行ってみない?」
「はい!」
凛の指差すウォータースライダーの方へ歩き出す楓。
と、その背中へと向けて微かな小声で凛が、
「……あたしも三島ちゃんみたいにカッコよくなりたいな」
「ん? 今、何か言いましたか、長谷川さん?」
「ううん……ねぇ三島ちゃん、あたしの事はこれから凛って呼んでくれるかな?」
「分かりました。 では、私の事もこれから楓と呼んでくれませんか、凛?」
「うん、改めてヨロシクね! じゃあ行くよ、楓!」
「はい!」
二人は共に期待を膨らませながら肩を並べて目的である次のウォータースライダーへと向かうのだった。
+++++
「はぁ、プール日和とはいえ暑い暑い」
日陰で休憩していた飛鳥は売店で買ったドリンクを口にする。
そのとき、ふと彼女は頭に何気なく頭に浮かんだ疑問を隣で同じく休憩していた真依へ投げかけた。
「そういえば一ノ瀬さん、遊びに行く場所をシャイニーワールドに強く拘っていたみたいだけど何か理由でもあるの?」
「……」
「一ノ瀬さん……?」
軽い気持ちで質問した飛鳥は返ってくる答えも大した理由ではないと思っていただろう。
しかし、真依の表情は途端固くなる。
暫しの沈黙の後、
「そうですね。 理由を話す前にちょっと昔の話をさせてください」
「うん……」
予想もしてなかった前置きに頷きつつも怪訝な表情をする飛鳥。
そして、床へと向いてはいるが何処を見つめてるでもない遠い目をした真依がその口を開いた。
「まだ、わたしが小学生の頃の話なんですけど、当時仲の良かった友達がいて、その子とわたしの家族ぐるみで夏休みに海へ遊びに行こうと約束したんです。
遊びに行く約束をした当日、梅雨はとっくに明けていたのに朝から予報外れの雨が降っていたんです。 結局、わたし達は海に行く約束を先延ばしにしたんです。 ですが先延ばしにした約束が果たされることはありませんでした」
「どういうこと……?」
「その友達が二度と会えないところへ行ってしまったんです……交通事故で」
「ああ、そういうことか……」
「はい、何故わたしがシャイニーワールドに拘ったか── それは雨が怖かったんです。
誰かとまた会えなくなるかも、なんてことまでは考えてはいませんけど、この四人で今年の夏は絶対に遊びに出かけたかったんです」
「だから雨でも室内で遊べるここへ行きたかった、と」
飛鳥の言葉に真依は静かに頷くと申し訳無さそうに視線を逸し、
「手前勝手な理由で申し訳ないです」
「ううん、正直な話、今日皆でシャイニーワールドに来られて本当に良かったって思ってるよ。
気を遣ってるとかじゃなくて本心でね」
と、飛鳥は腕を組み大げさな仕草で首を傾げると、
「でもなぁ、ワタシ本当に海に行きたかったんだよねぇ」
「すみません、楠さん……」
再度謝る真依。
そんな項垂れるように頭を下げる真依へ対し、飛鳥は伸ばした人差し指を真っ直ぐにさすと悪戯っぽい表情を浮かべる。
「という訳でバツとして、一ノ瀬さんはこれからワタシのことを飛鳥って呼ぶこと!
そして、ワタシは一ノ瀬さんのことを真依って呼んじゃうからね!」
「えっ!」
「覚悟してね? もう馴れ馴れしくしちゃうんだから」
一瞬、呆気にとられた表情になった真依は飛鳥の言葉の意味を理解するとクスクス笑う。
「困りましたね。 自分から望んで受け入れちゃうバツだなんて、とんでもないバツを思いつくんですね、飛鳥は」
「ありがと、真依!
さて、じゃあ次は温浴のジャグジーとか行かない?」
「いいですね! ずっと疲れが溜まってる飛鳥にはきっと、うってつけですよ!」
「コラ、こんな若い女の子をお年寄りみたいに言わない」
「フフッ、すみません」
手の甲で真依の胸の辺りをポンと叩く飛鳥。
目当てのジャグジーへと向かい歩き出す二人の足取りは飛鳥も、そして真依も胸の内の楽しみが表れ出ているかのように軽いものだった。
+++++
その後、四人はプールの中に建てられたアスレチックで競走したり波の出るプールで遊んだり──
こうして四人の真夏のある日は時が過ぎていき──
+++++
「えー、いいな! じゃあ、あたしも真依って呼んでいい?」
シャイニーワールドからの家路を進むバスの中。
楓達四人はお互いの呼び方についての話題で盛り上がっていた。
真依を下の名で呼びたいという凛の申し出に対し真依自身は、
「ええ、もちろんです! それじゃあわたしも凛って呼んでいいですか?」
「うん!」
真依の言葉に嬉しさを溢れさせて頷く凛。
と、真依を向く凛の反対側から飛鳥が、
「凛、チョコいる?」
「あ、ちょうだい。 ……って当然のように下で呼んでくるじゃん、飛鳥」
「楓がワタシも楓のこと下で呼んでいいって言ってくれたし、となると後は凛だけじゃん? 駄目?」
「まぁ、あたしも勝手に飛鳥で呼ばせてもらうけど。
──それより、ウォータースライダー最高だったねカエカエ」
「カエカエ!?」
凛の突然のカエカエ呼びに調子外れの声を出す楓。
すると呆れ顔のジト目飛鳥が凛へ、
「何それ、楓の渾名? あんた大丈夫……」
「はぁ!? じゃあ飛鳥はどんなの考える?」
「三島って名字だから……ミッシー?」
「ミッシー! アハハハッ!」
「はぁ!? 三島って名字の人の定番の渾名でしょ!?
カエカエなんてのより何倍もマシだっつーの!」
「ああぁ!?」
大声で言い争う飛鳥と凛の二人。
と、彼女らは自分達に向けられた鋭いプレッシャーのようなものを感じ取りそちらを向く。
「いい加減にしてください……!」
プレッシャーの出どころは彼女達のすぐ側にいた真依からであった。
「周りに他の人達がいるんですよ! 喧嘩なんてしたら迷惑になるくらい分かりますよね、飛鳥! 凛!」
真依からの叱咤を受けシュンと縮こまる飛鳥と凛。
すると、その様子を見ていた楓が、
「……プッ。 ククッ、アハハハッ! アハハッ!」
腹を抱えて笑う楓に目を丸くし、驚く真依。
「ど、どうしましたか、楓?」
「だってフフッ、真依が、この前読ませてくれたマンガのお母さんみたいでアハハッ!」
「や、やめてくださいよ、楓」
恥ずかしげに嫌がる真依の姿を見てあることを思いついた飛鳥と凛が顔を合わせると悪戯っぽい表情をとる。
二人は満面の笑みを真依へ向けると、
「真依ママ!」
「真依お母さん!」
「やめてください二人共!!」
本気のトーンで嫌がる真依。
そして楓は更に声を弾ませて笑い続けるのだった。
「アハハハッ!」
+++++
──数時間前
『資料は見たかね三島君?』
「はい、既に目を通してあります」
楓の自宅にある瑠奈の自室。
瑠奈はスマートフォンで彼女の上司である部長と通話をしていた。
スマートフォンを持つ手とは別の手で机に置かれたパソコンのマウスを操作しながら彼女は、
「部長、これはどこからの情報ですか?」
『警察から提供されたものだ』
(協力関係にあるとはいえ、捜査の情報を外部に渡すものなのか?
どうやら、うちの会社と警察との繋がりは相当
瑠奈が胸の内で本社と警察との関係に考えを巡らせていると受話口から部長の声が発せられた。
『で、これをどう思う?』
「これはヴァイオレットの仕業以外有り得ないでしょう」
『うむ。 研究施設の者の考えではこのような行動に出たのは能力の訓練のためではないか、とのことだ』
「私も同意見です」
『我々から逃れるために力を付けるとはいえ、ここまで目立つ行動をしだすとはな』
「……部長、奴はただ逃げるためだけに突然こんなことをしだしたとは私は思えません」
『何か考えがあるのか? 三島君、君の意見を聞こう』
部長から意見を求められた瑠奈は少しの間、黙考すると、
「奴がただ逃げ続けるだけならひっそりと身を隠していればいい。
しかし目立つことも厭わず能力の訓練をしだしたとすれば身を隠して逃げ続けるの止め、尚且つある相手のために力を付けることを考えたということです。
つまり私の考えはこうです。 遠くないうちにアインスに対して
瑠奈は机に置いてあるモニターに映った資料へ再び目を向ける。
そこには異常としか言えない程の件数のイルフ暴走事件が何ページにも渡るリストとして記されていた。
つづく
Defective friend~赤い髪の生きた兵器で出来損ないの同級生~ 宮川やすあき @akiyama2021
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