031 - ぶんかつばらい -
031 - ぶんかつばらい -
(それじゃぁ元気でね、庇ってあげられなくて本当にすまなかった・・・)
「いえ、係長のせいではありませんのでお気になさらず」
ピッ・・・通話を終了しました。
私は端末に表示された回線切断の文字を眺めながらため息をつきました。
私の名前はリンシェール・フェルミス、長命種の137歳で今は無職です。
ここはエルちゃんの宇宙船の中、今は何故か惑星レオーネの地上・・・ユノス星団を支配しているユーノス帝国の帝都、しかもお城の中に居ます。
今の通信は前の職場を退職する為に遠隔で最後の事務手続きを行い、総務課に確認していた所・・・元上司の係長から話があると言って通話に割り込んで来たのです。
「はぁ・・・あの人達がどうなったかなんて聞きたくなかったんだけどなぁ」
係長は私に元同僚と直接の上司だったスキナンジャー主任のその後を話してくれたのです。
まず被害に遭った同僚は2人、運悪くベンダル・ワームに遭遇し襲われたミキア・プルゥーンとリジー・ローガンは処置が遅れて宿主になってしまいました。
(ミキアさんは右腕を食べられてしまってね、肘から下を切断、それから襲われたせいで精神が崩壊、自分の名前も思い出せない状態だ、ご家族からも縁を切られて星団の宿主収容施設で一生を終えるだろう)
係長の口調はそれほど暗くありませんでした、何故ならミキアは素行が悪く勤務態度もあまり良くなかったのです、係長も持て余していたようだから居なくなって実は嬉しいのかも?。
(リジーさんは被害に遭った当初は錯乱していたのだけど先日会いに行った時には落ち着いていたよ、もし仲良くしていたのならお見舞いに行ってあげるといい)
「いえ、仲良くありませんので!」
私は即答しました、ミキアに影響を受けたのか最近は一緒になって私の悪口を言ってたし!。
(ロリーガ君は・・・当初ベンダルの侵入に気付いて宙港内部や居住区画に通じるゲートを全て閉鎖した事で英雄扱いされていただろう?)
初耳ですね、あの変態クソ野郎が英雄・・・。
「えと・・・あまりニュースを見ていませんでしたので」
(そうか・・・彼はステーションの被害を最小限に抑え、襲われている君を救おうとして重傷を負った事になっていてね、星団から表彰をって話もあったのだが)
「何かあったのですか?」
(調査の結果、管制室の担当者を排除して管制システムを私的に使用・・・その結果ベンダル・ワームの居る船のスキャンを怠り入港を許してしまったのだ、英雄から一転して犯罪者になった、おそらく有罪になるだろう)
「わぁ・・・」
なんと主任が諸悪の根源でしたぁ!・・・あのクソ野郎は私を助けようとして負傷したのだと思っていたから今度お礼だけでも伝えようと思っていたのに!。
(実家の貴族家からも見限られたようで、うちの会社も既に解雇しているから今後は裁判の結果次第だね・・・)
あれだけの惨事を引き起こしたのだから普通は終身刑か・・・刑期を終えて出て来たとしても多額の損害賠償で大変な事になりそうです。
・・・
・・・
ぷしゅー
「あ、リンちゃん、通信中だった?」
エルちゃんが入って来ました、とは言ってもここはエルちゃんの寝室なのですが・・・。
「今終わった所だよ」
「宙港の退職手続きだよね」
「うん、これで私は今日から完全に無職だよー、次のお仕事も決まらないしどうしよう」
そうなのです、この間から2社ほど面接を受けていたのですが両方とも不採用でしたぁ。
「しばらくのんびりしたら?」
「そうはいかないよ、両親に借金してるから頑張って働いて返さないと」
この借金は私の宇宙服の代金、すごく高かったからあと数年分のお給料は返済に消えてしまうのです。
「その件だけどね、聖帝陛下・・・お姉ちゃんがリンちゃんの新しい宇宙服も一緒に用意してくれるって言ってたよ、だから今着てる服を売れば中古だとしても結構なお金になると思う」
「え・・・ダメだよそんなの!」
エルちゃんはお姉さん・・・陛下と再会の後、防護服がキツくて大変だという話になって、そしたら陛下が新しい防護服を買ってくれる事になりました。
宿主の防護服は一度着たら脱げない仕様になっているのですが、身体が小さい時に着せられて合わなくなった人の為に超高額な「お着替えサービス」が用意されているらしいのです、エルちゃんも知らなかったようで驚いていました。
「あまり遠慮し過ぎるのも失礼だと思うけど」
「でも・・・え、ちょっと待って!、何で私が宇宙服を脱げる事知ってるの?、言ってなかった筈だよね?」
「あはは、なんとなくそんな気がしてたし、浴室に中和剤の容器が置いてあったから」
わぁぁ、置いたままだったよ!。
「この服を着てるのは私への罰なの、それなのに陛下にお金まで出して貰うなんて畏れ多くて・・・」
「あれは事故だったし僕は全然気にしてないって言ってるよね、リンちゃんは可愛いお洋服を着てお洒落してもいいんだよ」
「ダメっ、これは罰なの!」
「まぁ、それでリンちゃんの気が済むのなら好きにすればいいよ・・・でもリンちゃんの宇宙服は買って貰える事になったからね」
少しエルちゃんと気まずい雰囲気になってしまいました・・・私の座っているベッドの隣に居たエルちゃんが立ち上がってお部屋を出て行こうとしています。
「・・・」
がしっ!
「エルちゃん待って」
私はエルちゃんの腕を掴みます。
「え?」
エルちゃんの身体から甘い体臭がふわりと漂ってきて、私は我慢できなくなりました。
あむっ!
「むぐぅ!」
私はエルちゃんを引き戻し、ベッドに押し倒して唇を重ねます。
「んぅ!」
覆い被さる体勢になった私の下でエルちゃんの身体がビクッと跳ねました、そう、私はエルちゃんの気持ちのいいところを全部知っているのです。
いつものようにエルちゃんは私の舌がお口の中に入るのを許してくれました、これは好きにしてもいいよという暗黙の了解・・・。
口の中に溜まった唾液を飲み込むと・・・お酒を飲んだ時のように鼓動が速くなって身体が熱くなります、私はこれが欲しくてたまらなかったの。
これは宿主の体液を定期的に摂取した人が陥る中毒症状、私はエルちゃんと一緒に住んでいた時には既に宿主の体液を飲まないと生きていけない身体になっていました。
もちろんこうなるのを知っていてエルちゃんと毎日身体を重ねていたのです。
「ほらほら、気持ちいいでしょ?、気持ちいいって言いなさい!」
「わぁぁぁん!」
・・・そして私たちは気絶するまで獣のように激しく快楽に溺れたのです。
・・・
・・・
・・・
・・・
「な!、すげぇだろ!」
ふるふる・・・
「俺様がいいもの見せてやったんだ、感想くらい言いやがれ」
「・・・余になんてもの見せるのよぉ!」
「なんだよ、お前だって真剣な顔して最後まで見てたじゃねぇか!」
「妹の痴態を見て喜ぶ姉がどこにいるの!」
「今ここに居るじゃねぇか」
「余を変態みたいに言わないで!」
「変態じゃねぇって事はエロいの嫌いなのか、そりゃ残念だな・・・今まで録画した俺様秘蔵の動画は見たくねぇと?」
「へ?」
「だから!、シエルやリンが毎日お楽しみのとこを録画して俺様が編集したとっておきのエロ動画は見たくねぇんだな?」
「な・・・ななななんでそんな物作ってるのよ!」
「俺様の趣味だ、それにお前の趣味も知ってるぜ、ファンズウァァ!っていうエロ動画見放題サービスに登録してるよな?」
「うわぁぁぁぁ!、何で知ってるのぉ!」
「城のシステム覗いたに決まってんだろ、男同士5割、女同士3割ってとこか、残りの男女の絡みはマッチョが女王様に鞭でシバかれるのが多・・・」
「あぁぁぁぁ!」
「マッチョ好きの女皇様のくせに恥じらうなよ、で・・・俺様の秘蔵コレクション、欲しいのかの欲しくねぇのかはっきりしやがれ!」
ふるふる・・・
「・・・欲しい(ぼそっ)」
「あ?、聞こえねぇぞ!」
「欲しいですっ!」
「ははは、最初から素直にそう言えば俺様だってお前の性癖開示しなくても済んだのによ」
ふるふるふるふる・・・
「・・・」
「そうだな・・・総集編が4本あるから全部でこれくらいだな」
「なっ・・・お金取るの?」
「当たり前だろうが、こんないいブツ無料(タダ)で楽しめると思うなよ」
「ちょっと高過ぎるわ・・・シエルちゃん達の服を買ったから余の貯金ほとんど無くなったし爺やからお小遣いも減らされて・・・」
「星団の最高権力者なんだから帝国の国庫からちょろまかせば払えるだろ」
「なんてこと言うのジュノー!、それ横領だから!」
「じゃぁいらねぇんだな」
「ぶ・・・で・・・お願い・・・」
「あ?、聞こえねぇ!」
「分割払いで・・・お願いします」
「こりゃ傑作だ!、聖帝陛下が分割で妹のエロ動画買うってか!」
コンコン・・・
「お嬢様、失礼致します」
「ひぃ・・・爺やっ!・・・ちょっとジュノー!、早く動画を消して!」
「何をご覧になっているのですかな?」
「あ・・・えへへ、こっ・・・この間の星団会議の録画をちょっと・・・」
「ほぅ、いつも隠れて遊んでおられるお嬢様がお仕事とは!、爺やは嬉しいですぞ!」
「あ・・・うん、余もたまにはお仕事するよ」
スペースシエルさんReboot 〜宇宙生物に寄生されましたぁ!〜 柚亜紫翼 @hkh
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