妹に振り回された土下座する無敵な兄
その後フレイル達は歩いて軍の下へ帰った。邪竜の瘴気によって枯れた木々を抜けると少しづつではあるが緑が見えてきた。林を抜けると剣も鎧も脱ぎ捨てた兵士達が待機していた。
「ご無事でしたか!」
ギースリーがフレイル達に駆け寄ってきた。
「ええ、邪竜を倒しました。これで王国に平和が訪れます」
フレイルの言葉を聞き兵士達は歓声を上げた。その歓声はいつまでも鳴り止まずフレイルを祝福した。
フレイルが王都に帰ると民が盛大に出迎えた。既に邪竜を倒した事は王都まで伝わっていたのだ。フレイルは特に凱旋パレードのするつもりはなかったが、まさにそれと同じ状況になっていた。フレイルは窓から顔を出して沿道の民に手を振り歓声に応えた。
幼い少女がこれから国を治める事に懐疑的であった民も邪竜討伐を機に考えを改めて、全ての国民がフレイルが王座に着くことを歓迎し祝福した。
数年後フレイルは成人しスウィンバーン王国の女王になった。フレイルはその功績から英雄王と呼ばれ民に愛された。
王座に着いたフレイルだがその自由奔放の性格と問題に首を突っ込みたくなる悪い癖は最後まで治らずソニアを悩ませた。
しかしそれが国民から愛され理由であり、何処かで問題があるとフレイル自ら赴き、その力によって暴力的に無理やり解決していった。
フレイルの活躍は後に伝説となった。しかしその逸話が後の研究者を大いに悩ませた。
フレイルは大男を片手で軽々と投げ飛ばした。空を飛び山を越えた。火の海を傷一つ無く歩いて渡った。
どれも信じ難く、フレイルのスキルが一体どの様なものだったか誰も分からなかった。中には王族が自らの権威を高める為に嘘の逸話を残したと考える者もいた。
そしてもう一つ研究者を悩ませた事があった。
フレイルは各地に銅像が作られ、多くの絵巻を残した。不思議な事にそのどの作品にもフレイルの傍に謎の男がいた事だ。
助けてもらい感謝する村人、フレイルの気品に平伏し忠誠を誓った兵士、フレイルの強さに降参した山賊など様々な仮説が飛び出した。
そう、フレイルの伝説には必ず土下座をする男が常に傍にいたのだった。
妹に振り回される土下座する無敵の兄 完
妹に振り回される土下座する無敵な兄 なぐりあえ @79riae
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