後日談
ルーンが正式に護衛騎士になった事により改めてマルテを交えてお茶会をする事になった。
マルテは嬉しそうにルーンについて喋っている。
「本当にルーンちゃんが護衛騎士になってくれて嬉しいわ。それに前みたいに明るくなったし」
「はい!今まで心配をかけましたマルテお姉様!」
ルーンは初めてのお茶会と違い緊張も解けて、明るく話してくれている。
「それもこれもオーズさんのおかげです」
「いえ、自分は土下座をしていただけです」
「それでもです、爆発で火傷をしてからルーンちゃんは塞ぎ込んじゃって、姉として本当に心配だったんです。オーズさんが自信を取り戻してくれたんです」
マルテは心からオーズに感謝した。
「えっと、ソニア姉様から事情を全部聴きました。これまでの失礼な態度申し訳ありませんでした」
「いいんだよ、怪しかったのは本当のことだし。それに俺もレッドグレイブの人間になったからそんな他人行儀にならなくても」
オーズは人から頭を下げられ事が苦手であり、必死にルーンを宥めている。
「ルーンのスキルは強力です。私としても大変心強い護衛騎士が側にいてくれて嬉しい限りです」
フレイルもルーンの護衛騎士就任を喜んでいる。
「はい!このスキルがあれば姫様に迫る不届ものを一人残らず爆破させる所存であります!見て下さいこの爆発を!」
ルーンは手のひらで爆発させた。しかし今はオーズは土下座をしていないのでルーンの爆発は自らの手を焼いた。ルーンは椅子から転げ落ちてのたうちまわった。
「あっつい!あっつい!土下座!はやく土下座!」
オーズは慌ててその場で土下座をした。土下座によりルーンの痛みは引いて落ち着きを取り戻した。
「あらあら、ルーンちゃんったら、はしゃいじゃって」
マルテは微笑んでいるがソニアは呆れている。
ソニアはオーズに近付くとそっと小声で語りかけた。
「すまない、オーズ。ルーンは……その、なんだ、少しドジなのだ。だから……何と言うか、これからもよろしく頼む。本当に頼む」
「え?ドジ?ドジが爆発させてんの?大丈夫それ?」
「いや、大丈夫じゃなかったからスキルを使わない様にしてたんだ」
オーズはルーンが爆発で火傷したのも、もしかしてドジなのだろうかと思ってしまった。すると暗く重いトラウマも、ただのドジっ子エピソードに思えてきた。
向こうで涙目になりながら己の手を見ているルーンを眺めオーズは確信した。
――この子、俺がいないとダメなんじゃ……守らなきゃ
オーズはルーンも守る事を決意した。ここに来てオーズはおっちょこちょいの義妹ができたのだ。
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