王国の伝説
フードの男達が逃げた後オーズとアーティは兵士の詰所に居た。兵士に男達の人相等の情報を伝えていた。
兵士の聴取が終わり部屋にはオーズとアーティだけが残された。アーティは怖かったのだろうオーズから離れない。たまたまオーズの帰りが早かっただけで本当ならアーティは何処かに誘拐されていたはずなのだ。
アーティは小声で話しかけた。
「ねえお兄ちゃん、私確かにナイフに刺されたよね?あれってもしかしてお兄ちゃん……」
アーティが言いかけた時オーズは
「ごめん、ここでは話せない」
アーティの言葉を遮った。
「分かった、でも絶対後で教えてね」
アーティは何も言えないオーズに納得してくれた。何かを察知したのかそれ以上何も聞いてこなかった。オーズでさえもいまだに信じられなかった。
詰所の扉が開かれた。入っきたのはソニアだった。
「大丈夫か」
ソニアは走ってきたようで息が荒かった。オーズはソニアが来てくれて安心した。ソニアが詰所に来てくれたのはこれで二度目だ。
「自分も妹も無事です」
オーズは無事を知らせるとアーティを紹介した。
「こちらが妹のアーティです」
「初めましてアーティと言います」
アーティは立ち上がり頭の下げた。
「初めまして私は姫様の護衛騎士を務めいるソニア・レッドグレイヴだ」
二人は簡単な自己紹介を済ませた。
「早速で悪いが二人とも姫様の下へ来てくれ」
「二人はって、アーティもですか?」
オーズは驚いた。アーティも驚きオーズの服をギュッと掴んだ。その目は不安だとオーズに伝えている。
「そうだ、姫様からそう仰せつかった」
二人は何故か分からないが姫様からの要請には断れない。
三人はフレイルの自室に向かった。オーズは毎日通っているので何とも思わないが初めて城に入ったアーティはオドオドしておりオーズの服を掴んで離さなかった。オーズは歩きづらいがアーティの気持ちはよく分かるのでいつもよりゆっくりしたペースで歩いた。ソニアもそれを察したのかいつもより歩くペースが遅そくしてくれて。
三人はしばらく歩くとフレイルの自室の前に着いた。
「姫様、オーズとその妹のアーティをお連れしました」
「入って」
ソニアの声に中のフレイルが入室の許可を出した。ソニアは扉を開いた。
「ねえ姫様って私を殴ったりしないよね?」
アーティは不安そうにオーズに尋ねた。
「大丈夫だって、姫様を何だと思ってるんだよ」
オーズは笑いながら否定した。フレイルはオーズを殴ったりはしない。ただオーズで殴った事はあった。オーズはその事は伝えなかった。
三人が自室に入るとフレイルが椅子に座って待っていた。その姿を見たアーティからわぁと感動の声が漏れた。
アーティはフレイルの姿に見惚れた。綺麗に整えられたドレスと髪、そして可愛らしい容姿がまるでお人形の様に見えた。
――こんなに可愛い子がいるなんて
アーティは先程までの不安が消し飛んだ。
「初めましてフレイル・スウィンバーンと言います」
フレイルがアーティに自己紹介した。アーティは慌てて自己紹介した。
「あっ!初めましてアーティといいます。いつも兄がお世話になっております」
アーティ深く頭を下げた。アーティは声も可愛らしいと思っていた。
「そんなに緊張してなくていいですから」
フレイルは微笑んだ。その微笑みでアーティの心は完璧に掴まれた。
「誰だよ」
オーズはボソッとフレイルの猫被りに突っ込んだ。
「うるさい、それで何があったの?詳しくは何も知らないんだけど」
フレイルは突然態度を変えた。アーティはフレイルの雰囲気が急に変わり動揺した。
「あの喋り方が素だから」
オーズはアーティに説明してあげた。
「そうね、面倒臭いからこれからは普通に話すから。ほら早く説明する」
フレイルに催促されオーズとアーティはそれぞれの視点で誘拐未遂事件の詳細を語った。
アーティが買い物から帰り玄関の扉を閉めようとした時二人組の男が突然家に入ってきた。アーティは自室に逃げたがすぐに捕まり口に布を巻かれて声を出せなくなってしまった。アーティは自室で捕まっているとオーズが帰ってきた声が聞こえた。アーティは思い切り床に倒れ込み大きな音を立ててオーズを呼んだ。
後はオーズの視点と同じであった。
オーズも起きた事を事細かく喋った。二人組がオーズのスキルを知っていた事も。
「それはまずいな。城の中に内通者いる事になる」
ソニアの顔が険しくなった。
「でもそれは折り込み済みでしょ?カミガーナーの息がかかった連中が城の中にいたんだから。それにあんなに目立ってたんだから他の人にバレるのも時間の問題だったし」
フレイルの肝の座り具合は凄かった。これが王族のなのかとアーティは感心した。
「そうでしたね。となるとこの誘拐は城の関係者が指示したとしていったい誰が」
四人は悩んだがアーティがある事を思い出した。
「あのー私が捕まっている時聞こえたんですが私は邪竜様の供物にさせるって……」
アーティの発言に三人は驚いた。
「まさか邪竜教の犯行とは。姫様これはただの誘拐ではなさそうです」
ソニアの顔がさらに険しくなった。
「何でアーティと邪竜教が関係あるんだよ」
オーズは関係性を必死で考えたが答えは出ない。
「アーティがと言うよりオーズが狙いなのかもね。スキル自体が目的なのか、スキルが邪魔で消そうとしたのか分からないけどね」
フレイルの仮説にソニアが付け加えた。
「なるほど、カミガーナーに姫様の暗殺を唆したのは邪竜教の者。邪竜教の目的は姫様の暗殺。しかしオーズ殿のスキルがあると姫様は暗殺できない。なら先にオーズ殿を始末する為にアーティ殿を誘拐しようとしたのですね」
アーティ以外は納得した。アーティは根本的な事を知らなかった。
「あのー何でお兄ちゃんのスキルがあると姫様を暗殺出来ないのですか?」
アーティの質問にオーズとソニアは答えられなかった。不自然に黙り込む二人を見てアーティは焦った。何かいけない事を聞いてしまったと思った。
「別に教えていいんじゃない?もう無関係じゃあいられないし」
そう言うとフレイルはあっさりスキルの秘密を暴露した。アーティは驚いた。
「だからお兄ちゃんは姫様の護衛騎士になったんですね」
アーティの理解は早かった。正確には護衛騎士になった後に気付いた事なのだが今はそれほど重要では無いので訂正はしなかった。
「あのーその件でもう一つ判明した事があるのですが」
オーズは申し訳なさそうに手を上げた。
「何?言ってみて」
フレイルはオーズが先程判明した新事実を聞かされた。
「はぁ?アーティも無敵になるって!」
フレイルは驚くというよりも怒っていた。
「はい、そうみたいです」
オーズはしおしおしている。
「妹であったら誰でもいいって訳?私だけじゃなくて?何この尻軽兄貴は!」
フレイルはポカポカとオーズは叩いた。
「ごめん、ごめんって俺だってびっくりしたんだよ。わざとじゃないんだよ」
「知らないよそんな事、このバカ兄ちゃん!」
アーティはまるで兄妹の様に話す二人に驚いた。
「ソニアさん、お兄ちゃんの言葉使いって、それに姫様が兄ちゃんって」
アーティは呆然としながらソニアに聞いた。ソニアは呆れ頭を抱えた。
「私とこのバカは前世で兄妹だったの」
フレイルは怒りに任せてあっさり答えた。ソニアは大きくため息をついた。
フレイルのから発せられた驚愕の事実をアーティは理解する事が出来なかった。
「え?お?うん?前世?」
アーティは言葉にならなかった。とりあえずソニアがフレイルを落ち着かせてオーズは軽くアーティに説明した。
説明と言っても別の世界の話はしなかった。それを説明するとだいぶややこしい事になるからだ。
「なんだな今日は色んな事がありすぎて頭が回らない」
アーティは説明が終わる頃にはグッタリとしていた。それもそのはず誘拐未遂の後に姫様に会い、そして兄と姫様は前世があるなど盛り沢山の内容であった。
「姫様、今日は家に帰さず城に泊させていいか?」
オーズはアーティの身を案じてフレイルにお願いした。
「そうね、これからの事は明日にして今日はもう休ませてあげたほうがいいかもね。部屋なら好きに使って」
フレイルは優しかった。
「ありがとう、それじゃあアーティ、隣が俺が使ってる部屋だからそこで寝よう。後で兄ちゃんも寝に行くから」
「分かった」
二人は一緒に部屋を出ようとすると慌ててフレイルが止めた。
「ちょっと待って、同じ部屋で寝るつもり?」
「え?そうだけど今までもそうだったし」
「信じられない!何考えてんの!ソニア!貴方の部屋を貸してあげて!今日はソニアが守ってくれるから」
フレイルは怒りながらソニアに頼んだ。アーティはソニアに案内され部屋を出た。アーティは振り返り心配そうにオーズを見ている。それはアーティの身が心配なのではなく、フレイルに怒られているオーズを心配していた。
「今までって何?いつまで一緒の部屋に寝てたの!もしかしてベッドも一緒とか?!説明してよ」
「うちは貧乏で部屋が無かったんだよ、ベッドは別々だし、そんな兄妹だから大丈夫……」
「そう言う問題じゃあ無いでしょ!それとも貧乏だったら何やってもいいの!そう言う事?!」
オーズはまたフレイルに説教された。オーズはペコペコ謝るしかなかった。
その日の夜アーティはソニアが使う部屋で寝ることになった。フレイルの部屋はソニアとオーズが使う部屋に挟まれる様に並んでいる。隣からはまだ何か話している声が聞こえる。
長い事布団に入っていてもアーティは寝れなかった。布団の中からソニアを見るとソニアは椅子に座っていた。深夜になるというのに眠る気配は全くない。
ソニアはアーティの視線に気付いた。
「どうされましたか?」
「ごめんなさい、中々寝れなくて」
「それでは寝れるまで少し話しましょうか?」
ソニアは微笑んだ。
「いいんですか?」
「今日は寝ずの番です。構いませんよ」
二人は深夜にお喋りを始めた。
「姫様ってどんなお方なんですか?今日初めて会った時可愛らしくてそして凛としてる様に見ました。だけどお兄ちゃんと話す時は何だか小さな子供の様にも見えて」
アーティはフレイルの印象を語った。
「そうですね、概ねそのような印象で合っております。姫様は王族として相応しい振る舞いを求められてきました。それは姫様の性格に関わらず。だからオーズ殿と話している時の姫様こそ本当の姿なのかもしれません」
「私と同じくらいなのに周りから求められてる姿にならないといけないなんて可哀想です」
「王家に生まれたきた者の定めと言うべきでしょうか。なので私はオーズ殿には感謝しているのです。姫様が年相応の少女の様に振る舞う事ができる数少ない人物なのです」
ソニアは微笑んだ。アーティはソニアに頼られている兄が誇らしくなった。そして兄を盗られた気分にもなった。
そんな風に城の中での生活を聞くうちにアーティいつの間にか眠りに落ちた。
翌日四人はフレイルの自室に集まった。
「一晩考えたんだけどアーティは私の側使えになるべきだと思う。自宅も危ないし城の中にはまだ間者がいるかもしれないけど私の側なら安心でしょ」
フレイルはオーズの時と同様に勝手に話を進めた。オーズはアーティの身の安全が保証され嬉しかった。
「まあ本来なら有り得ませんがアーティ殿の身の安全には代えられません。アーティ殿の安全は姫様の安全に繋がりますから」
ソニアはフレイルの考えを認めてくれた。オーズの時とは対応が違うのはやはり護衛騎士かどうかの差であろう。
「さて私の側使えになる前に神殿に行きましょう」
「神殿?何で?」
オーズはフレイルの意図が分からなかった。
「神託を受けてスキルを授かることが出来るか確かめるため。言ったでしょ王族や貴族は成人しなくても神託を受けに行くって」
「確かに聞いたけど」
「それは側使えも一緒。可憐なお姫様を守る為にスキルがあるか無いかは重要だからね」
フレイルの説明を納得したオーズ。しかしこの世の中はとことん階級によって左右されてしまうんだなと少し悲しくなった。
「それじゃあソニアがアーティに色々教えて。今日は兄ちゃんに護衛してもらうから」
全てを自分の都合で決めたフレイルはオーズの手を引いて無理矢理連れ出した。アーティはあっという間に自分の事を決められてただ呆然と立っていた。
その日アーティはソニアの案内の下城を周った。メイド長にも事情を話したら快くアーティの教育を引き受けてくれた。
アーティはオーズの仕事が終わるのを待ち二人で神殿に向かった。
「アーティ城の仕事はやれそうか?」
「大丈夫だと思う。お兄ちゃんに恥をかかせない為に頑張るから」
アーティの決意は嬉しいが公衆の面前で土下座を幾度となく披露しているオーズは既に恥をかくという次元にいなかった。
神殿の階段を上り中に入ろうとすると
「久しぶりに来たけどやっぱり大きい神殿ね」
後ろからフレイルの声が聞こえた。
二人は驚いて振り返ると楽しそうなフレイルと困った顔のソニアがいた。
「ついてきたのか!」
「当たり前でしょ?私の側使えの事なんだから私には見届ける義務がある」
オーズの質問にフレイルは自信満々に答えた。周りは突然の姫の登場にざわついていた。
「それに神官なら邪竜の伝説について何か知ってるかも知らないし、これも調査の一環」
「それなら私が聞いてきますので姫様は城に戻りましょう」
ソニアが言うや否やフレイルはさっさと階段を駆け上がり神殿に入っていった。そうなるとソニアは追いかけるしかない。
二人はオーズとアーティを残して神殿に入ってしまった。呆然と立っていたオーズ達も急いで後を追った。
神殿は夜には閉まるので参礼者は次々に帰っていく。その人波に逆らって四人は歩いた。すれ違う人々は姫がいる事に驚いた。フレイルは可愛い笑顔を振りまき手を振りながら進んでいく。黙っていれば本当に可愛い姫であった。
フレイルが突然来たことに神官は驚いた。
「これは姫様、こんな時間に」
「ええ、民たちの安寧を女神様に祈り参りました」
「それはお優しいお心をお持ちでなさる」
フレイルは全力で猫を被っていた。
四人は神殿の奥に祀られている巨大な女神像に跪き祈りを捧げた。
神殿の中は静かで遠くから聞こえる帰路につく足跡だけが響いていた。オーズは神殿の厳粛は雰囲気が苦手であった。
フレイルは祈りが終わると本題を切り出した。
「本日は祈りを捧げる他に神官様に用事があって来たのです」
少し内容をぼかしながら神官にアーティが神託を受けたい事を伝えた。神官はそれを真剣に聞いてくれた。
「そうでしたか、分かりました。しかし神託は必ず受けれる訳ではありません。ほとんどの人がスキルを授かりません」
神官はアーティに注意事項を伝えた。
「分かっております」
「そうでしたか、それでは儀式を始めましょう」
アーティは女神像の前で跪き神官の祈りを聞いた。
「偉大なる女神よ敬虔なる信徒アーティに神託を捧げたまえ」
神官は黙って祈った。アーティは唇を噛み緊張した。オーズも何だか緊張していた。
神官の口がゆっくりと開いた。
「女神からの神託により貴方のスキルが分かりました。貴方のスキルは引き寄せるです」
神官は目を開いた。アーティはスキルを手に入れた。アーティは実感が無いのか目をぱちぱちさせている。スキルに授かっても何か身体に変化が起きる訳では無い。
「兄妹揃ってスキルを授かるなんて大変珍しい事です。きっと女神様から愛されているのでしょう」
神官は微笑んだ。
「あの引き寄せるとは一体どのようなスキルなのですか?」
アーティは恐る恐る神官に聞いてみた。
「それは私には分かりません。ただ女神様が授けたのですから必ずやアーティさんに必要な事なのでしょう」
「そうですか……ありがとうございました」
アーティは深くお辞儀をして神官にお礼を言った。
「神官様それともう一つお話があるのですが」
「はい、何でしょうかフレイル様」
「邪竜をご存知ですか?」
「ええ、女神様の逸話の中でその名は出てきます」
神官はフレイルの質問を不思議そうに答えた。
「宜しければ邪竜について詳しくお聞かせ願えないでしょうか?」
「構いませんよ」
神官は邪竜について話し始めた。
このスウィンバーン王国が建国される前この地に一頭の竜がいた。竜は女神様に仕えこの地を守っていた。
しかしそのうちの竜は欲深く女神様への供物を自分の物にし人間に自身の神殿を作らせて崇めさせた。
怒った女神様はその竜に呪いをかけ人間が近寄れなくした。呪いをかけられた竜は邪竜となった。邪竜は怒り狂い女神様に牙を剥いた。
女神様は竜を倒す為にこの地で一番の強者の戦士に竜殺しの槍を授けた。
戦士がその槍を竜に向かって投げると竜の左目を貫き竜は地の底へと落ちていった。
人々は戦士を称え戦士はこの地に国を作り王となり竜の代わりにこの地を治めた。女神様はこの地に千年続く安寧を祈った。
「それがスウィンバーン王国建国の伝説です。王国の象徴である竜と槍はこの伝説からきています」
神官は話し終えるとフレイルを見た。
「フレイル様、これが私が知る邪竜の全てです」
「ありがとうございました神官様、けれどどうして私はそんな大切な事を知らなかったのでしょう」
「私の口からは言うのは憚られますが、あえて言うならこの王国も常に平和ではありませんでした。他国からの侵略や王室での継承者争い等、そうやっていくうちに建国の歴史はその都度時の権力者によって都合よく変えられて行き本当の歴史は闇に葬られいったのです」
「そうでしたか。言い難い事でしょうが教えてくださりありがとうございます。それと邪竜教について何かご存知ですか?」
「邪竜教ですか?伝説で邪竜を崇めていた末裔で今だに邪竜を信仰していると聞いたことはありますが詳しくは……」
神官は困った表情を浮かべた。フレイルも思った手がかりが分からず残念であった。
「そうですか、ありがとうございます」
「いえいえ、フレイル様が女神様の本当の伝説を知ってくださり誠に喜ばしいことです」
神官は微笑んだ。
「姫様、そろそろ時間です」
ソニアはフレイルの耳元で囁き城に帰る事を促した。フレイルは渋々納得した。
「神官様、今日は突然の来訪にご迷惑をお掛けしました。私はこれで失礼します」
「フレイル様とスウィンバーン王国に女神様の祝福をお祈りします」
堅苦しい挨拶を済ませ神殿を出た。
「邪竜については分かったけどあいつらの目的は分からなかったか」
フレイルは身体を伸ばしながら言った。
「姫様、人目につきますその様な事はおやめください」
ソニアはフレイルに注意した。フレイルは不満な顔して渋々従った。
「それと城に帰ったらマナーのレッスンです、講師を待たせております」
「え!晩御飯じゃないの!」
「姫様が無理矢理神殿に行きたいと言ったのです、しっかりとレッスンを受けてもらいます」
「兄ちゃん助けてよー」
フレイルは目を潤ませてオーズに助けを求めた。ソニアの目は怖かった。
「いや、頑張れよ」
オーズはフレイルを突き放した。
トボトボ歩くフレイルを先頭に四人は城に帰っていった。
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