第6話
再開したダンジョン探索。
またしても近づいてきたウルフの攻撃を半身でかわし
強化された短剣で攻撃すると
先ほどとは大違いの切れ味でウルフがすぐに魔石と化す。
いままで強化スキルは身体強化程度した使わなかったから
気づかなかったけど、このスキルも結構やばいことに気付いた。
いろいろ考えつつ2階層を探索していると
3人くらいが集まったゴブリンを見つけた。
多対一の戦闘か。
少し危ないかもだけど相手がゴブリンなら何とかなりそうかな。
念のためちょっと離れたところに入替用の魔弾を設置しておく。
多対一とはいっても基本は一対一を意識することが大切だ。
一匹一匹を確実に狩っていく。
幸いにもまだ相手はこっちに気付いていないようだし
悪いけど先に一匹ご退場を願おう。
潜入を発動しつつ、身体強化を足に偏らせて一気に近づき
ゴブリンを一体狩る。
移動中に気付いたんだが身体強化中に
一部に魔力を多く流すとその分の効果が上がるようだ。
入替でもよかったけどこっちも戦闘で試してみたかったんだよな。
一匹倒されたことに気付いた2匹のゴブリンが
息を合わせたように棍棒をこっちに振り下ろしてくるのを避けつつ
一匹の首を刎ねる。
すると最後のゴブリンが棍棒を上げる勢いで攻撃してくるので
それを避けつつ短剣でゴブリンの体を切り裂く。
やっぱりこれくらいの魔物なら
複数を相手どっても何とかなるみたいだ。
さぁまだまだ探索していくぞ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2階層のマッピングを終えて
やっと3階層の階段が見えてきたと思ったら
あるものを見つけることが出来た。
そう、宝箱である。
正直この初心者ダンジョン攻略中に一個くらい見つけられたら
ラッキーだな程度に考えていたけどまさかこんなに早く見つかるとは。
宝箱は全ダンジョンに必ず一つ以上あるといわれているが
そう簡単に見つかるものでもない。
わかりやすい物なら別の人にすぐ開けられてしまうし
わかりにくいところは本当に見つけられないし。
じゃあなぜ俺が見つけられたのか。
そう。魔眼スキルの効果ですね。
どうやら宝箱は少し特殊な魔力が宿っているらしく
魔眼で見たときにかなりわかりやすかった。
具体的に言えば青色の魔力の中でいきなり黄色の魔力が見えたんだから
もう丸わかりである。
しかもこの宝箱、ちょっと変わった場所にあった。
普通に進んでいたら見逃してたであろう、
左右に木が入り組んだ小さな獣道の奥にぽつんと置かれていた。
ルートとしては明らかに正規ではない。
無理やり背中を木の枝に引っ掻かれながら通ると
足元にやや不自然な魔力が溜まっている場所があるのに気付く。
どうやら罠のようだ。
範囲は狭くて、踏まなければ起動しないタイプっぽい。
魔力の流れが円形になってて、罠本体は地下にあるんだろうな。
ギリギリで避けながら宝箱に近づく。
興奮で手が震えてしまっているが早速開けてしまおう。
一応罠を警戒して魔弾を用意して入替の準備をしておく。
さぁいざお宝とご対面!
ん?これは、もしかしてポーションか?
こんな時に鑑定スキルやアイテムがあればよかったのだが。
そう思っていると、突然目の前にウィンドウが立ち上がる。
______________________
初級ポーション
Eランク
効果:切り傷や打撲などの軽い傷を治すことができる。
骨折は直せない。
______________________
これは、俺がアイテムの効果を知りたいと思ったから
魔眼の効果で鑑定ができるようになったのか、、、。
ほんとに何でもありだなこのスキル。
それはともかくポーションだ。
危険がつきもののダンジョン探索にポーションは必需品。
しかし、ダンジョン以外の需要も高いのでお値段が結構高い。
俺も1つは持っているけどさすがに心もとなかったからラッキーだ。
売ったら1万は超えるみたいだけど、さすがに命には代えられない。
たいていの探索者が持ってるのは3つくらいらしいので
それ以上手に入ったら売ろうかな。
ちなみにショッピングモールで買った時の値段は5万円だった。
高い!でも命には代えられない!
宝箱の位置から3階層までは魔物も特になかったので
あっさりと3階層へたどり着く。
3階層も2階層に引き続き森林のようなフィールド。
でも2階層より魔物の強さや数も異なってくる。
さっそく2階層より強くなったゴブリンが見える。
具体的にどこが強くなっているのかといえば
その手には剣が握られていることだろう。
とはいってもその剣はさびてボロボロなので
防具さえ着ていれば問題なく防ぐことが出来るだろう。
まぁ戦い方も棍棒が剣になっただけなのであまり変わらない。
避けて斬るそれだけだ。
どうやらゴブリンがこっちに気付いたようで
剣を振りかぶりながらこっちへ向かってくる。
それを迎え、振り下ろしてきたのを入替スキルで避けて
後ろから切り裂く。するとゴブリンの体が青い粒子となって消える。
うん。剣を持ってたから余裕をもって入替スキルで避けたけど
やりすぎだったかもしれない。
その直後、別方向からまた魔力反応が近づいてくる。
さっきの斬撃音に反応したか、2匹目が出てきたようだ。
今度は弓を持っている。魔物のくせにやたらと武器のバリエーションがあるな。
間合いを取りつつ、木の影に入って接近を待つ。
弓を構える姿が見えた瞬間、魔眼で弦の魔力の揺れを確認して
放たれる直前に入替スキルで背後を取る。
そのまま背中に短剣を突き立てると、やはり粒子になって消えていった。
今回は初めて魔眼で攻撃予測までできた。
このスキル、本当に可能性しか感じない。
まぁ安全に探索ができるというのはいいことだ。
さぁ3階層のマッピングを終わらせて魔法の確認をしに行かなければ!
そんなことを思いつつ、あたりを散策していると、
4個くらいの魔力がこっちの方へ向かってきているのが見える。
この速度、おそらくウルフだろう。
4匹のウルフと相手か、とりあえずやってみよう。
そんなこんなでウルフたちがこっちへたどり着く。
ウルフが俺を囲むような配置につき、
4匹一斉に飛び掛かってくる。
なるほどこれを避けるのは難しそうだ。
だが、俺には入替スキルでの転移がある。
入替スキルで少し前方へ転移して避ける。
ウルフは互いに当たることなく着地して、
今度は波状攻撃のように一匹ずつこっちへ飛び掛かる。
まぁ一斉に飛び掛かられるよりはこっちの方がやりやすい。
最初に飛び込んできたやつを短剣で切りつけ
2匹目のやつをその勢いで刺す!
勢いをつけすぎたのかすぐには短剣が抜けなかったので
3匹目は身体強化を左手に集めて思いっきり殴り、
ようやく抜けた短剣で4匹目はしっかりと切りつける。
どうやら利き手ではない手で殴っても
身体強化マシマシで殴れば十分な威力があったようで
全てのウルフが青い粒子となって消える。
まさか短剣が抜けなくなるとな思わなかったな、
流石に今回は焦ったぞ。
でも殴りでも通用することが分かったのはよい収穫だ。
短剣を落とした時とかとっさの攻撃とかは素手での打撃でも通用しそうだ。
でも今度からはもう少し冷静に対処しないと。
今考えれば身体強化を偏らせたら短剣も楽に抜けたはず。
殴打なんて博打に賭けなくてもよかったわけだからな。
まぁ反省は帰り道にでもするとして、まずは3階層のマッピングだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ようやく3階層のマッピングも終わって家に帰ってきた。
午後の収入は
Fランク魔石 12個
ゴブリンの腕輪 3個
ウルフの毛皮 2枚
魔石で6,000円
ゴブリンの腕輪は1個250円だから計750円
ウルフの毛皮は1枚400円だから計800円
全部で7,550円である。
午前の分も合わせたら1万円をこえる大収入だ!
一応言っておくと普通のダンジョン探索ではここまで稼げない。
俺の場合は魔眼による索敵と身体強化による速さ。
そして収納による所持数の増加が要因だろう。
これくらいの稼ぎだと税金?が心配になるらしいけど、探索者の収入はすでにそういう税金が差し引かれた後だから考えなくてもOKだ。
今日の探索で3階層のマッピングが終わり、明日から4階層の探索に入る。
なんとかGWの間に初心者ダンジョンの攻略を終わらせよう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます