第23話 理解から遠い

ソロバンは構築式を作る。

構築式を特別な部品にぶち込んで、

それは特殊な部品として、電装などにも使われる。

構築式は、理解をしないと作れない。

知らない人が見たら、構築式は術か何かのように見えるという。

ソロバンはその感覚がわからないが、

とにかく、ソロバンは部品や電気の関係、そして、ぶち込む構築式。

そのほとんどを理解している。


ソロバンだって難解な構築式はある。

それでも、構築式の言語に置き換えれば、

たいていのことはわかる。

注文どおりの構築式を、言語に置き換えて処理する。

ソロバンの言語で物を語れるものは少ない。

それこそギムレットでも構築式言語では話さない。

こう動く構築式を作って欲しいといわれたら、

ソロバンはソロバンの中で処理をする。

ソロバンの中を通して、注文から、構築式の形、言語処理、

ソロバンの中で理解され、組み立てられて、構築式ができる。

その作業を嫌ではないが、

構築式を渡すときに、どうもソロバンの中身をのぞかれている気がするという。


ソロバンにも理解できないものはある。

意外に思われるかもしれないが、ある。

ソロバンは、白黒つかないものがよくわからない。

構築式上では理解しているつもりだけれど、

白か、黒か、それでもないどちらにでも属するものとか言われると、

ソロバンは理解できない。

それは一体何なのだと、ソロバンは考え込んでしまう。


ソロバンはもうひとつ、

人付き合いというものが、とても苦手だ。

見知らぬ他人はみんな電鬼並みに正体不明で、

ソロバンは怖くてしょうがない。

限られた人しかソロバンに会えないのは、

ソロバンが人見知りをするからだ。

決して客を選んでいるわけでなく、

正体不明を相手にするのが怖いのだ。


ソロバンはとても不器用なのかもしれない。

でも、生み出される構築式には間違いがなく、

人の信頼もあつい。

ソロバンは見知らぬ他人が内心怖くある。

理解できないものはたいてい怖い。

でも、理解から遠いそれも、いつか理解できるはずと信じて、

ソロバンはいつものように構築式を作る。

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