第22話 偽悪者
番人のカガミは、旧友に会いにいく。
電装技師のギムレットだ。
実は、闇電装技師だということも、
カガミは知っているし、脅かしたこともある。
いつか摘発されるぞ、電装技師でいられなくなるぞと、
カガミなりに散々脅かした。
でも、ギムレットは闇電装技師をやめることなく、
かろうじて人の姿のわかる電装に囲まれて、
いつものようにてきぱきと誰かの電装を作っている。
カガミは最近になってようやく気がついたが、
ギムレットは偽善者の反対をいっているのではないかと。
偽悪者。
偽物の悪者。
カガミはそんな風に思う。
ギムレットが闇電装技師なのは、
本当に必要な人のために、
電装がいきわたるようにしているからなのではないかと、
カガミはいまさら思う。
カガミは今日も番人なのに摘発せず、
ギムレットはそんなカガミをほっといて、堂々と電装を作っている。
カガミも多少あきれてはいるが、
電装の寸法を見ていたら、なんとなく、摘発のことは頭になくなっていた。
多分、子供。
正規の電装技師ではやりたくない仕事だ。
子供の神経をつないだり、
泣き喚く子供を押さえつけたり、
カガミは想像して顔をしかめる。
ギムレットは気がつかないふりをしている。
カガミがずいぶん神経が細いことを、
ギムレットはわかっている。
図太くしたたかに生きられない番人だ。
ハコ先生の下でいろいろ吐き出すのを、
ギムレットも噂で聞いている。
ギムレットもカガミも、気がつかないふりをする。
会話らしい会話があるわけでない。
ただ、番人の役目を果たせていない偽善者と、
闇の電装技師でいられない偽悪者がいる。
ギムレットは悪ぶる。
この電装の子供からもふんだくってやるさ、と。
ギムレットは、いつふんだくるのかを言わない。
きっと忘れたふりをするのだろうと、カガミは思う。
バカヤロウだ。
カガミがそう思うのと、ギムレットのつぶやきは同時で、
みんなバカヤロウだと、いつものように思っているんだなと、
カガミはようやく感じるようになった。
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