第46通 年末年始繁忙期編最終回。 繁忙期の最終日は大掃除の日でもあるのです。

さて、いよいよ今回で年末年始繁忙期編最終回でございます。


高校生アルバイト最終日。


「じゃあ行ってきまーす!」と元気に高校生アルバイトが配達に出発するのを見送ると、自分が配達する分の郵便物をカバンに詰めて出発準備に取り掛かります。


いよいよ今日で配達のアルバイトの高校生も終わりかあ。長いようで短かったなあ。


 内務の女子高校生を中心とした内務バイトは一日早くアルバイト終了となってまして、高校生アルバイト最終日は男子を中心とした外務アルバイトのみになっています。

ですので、男子バイトは「えーっ?女子は昨日で終わりなんですか!?マジですか⁇」と残念がる子も結構います。


10日間程同じ年頃の高校生達が一つの場所に集まるものですから、異性を意識する子達も割といるんです。

バイト期間中にお付き合いを始める子達や、バイト最終日には告白を考えてる子達もいるわけで、女子高校生バイトが男子より一日早くアルバイトが終了する事を知らなかった男子高校生で「聞いてないよー!!」とショックを受ける子もいました。


甘酸っぱいですよね?


 私もその当時は昨年まで高校生だったので、可愛い女子高校生バイトがいれば気になったりもしましたが、郵便局にアルバイトに来る女子高校生は真面目な子が多いせいか、敬遠されて残念ながら相手にもされませんでした。


逆に二十代半ばを過ぎると私自身に落ち着きが出てくるせいか、女子高校生バイトや女子大学生バイトに妙に懐かれたりして女子高校生達とプリクラを撮りに行ったり、後輩達と女子大学生達と映画を見に行ったり、飲みに行ったりした事もありました。

やはり、男は落ち着きが大事ですね。


さて、高校生アルバイト最後の日も配達が終わり、高校生アルバイトが郵便局に戻ってくる夕方になると職場内の片付けが始まります。


年賀状用の段ボール製の大区分棚や、順立てした年賀状を置いていた『竿と馬』を郵便局内の物品置き場の物置室に運び込み、普段使っている机と椅子を元の置き場に戻すといった力作業です。


 ここで男子高校生アルバイトの出番です。

「じゃあ、これをあの部屋まで運んでくれるかな?」

「えーっ!?マジですかあ!?ちょ!これ重いっすよーっ!!」

と言いながらも元気に手伝ってくれます。

このやりとりも楽しいんですよ。

なんだかんだと言いながらも、いろんな話をしながら手伝ってくれる高校生達と一緒に力作業をしながら会話をする。

高校生達も大人の世界に関われる時間を楽しんでいる。

こういった空間といいますか、時間を共有できたのも高校生アルバイトを採用していた時代の良さでもありました。


 年末年始に使われていた物品を片付けると出てくるのが大量の埃。


これを掃き掃除するのですが、今まで溜まりに溜まっていた埃が舞うわけです。

もう、ほとんど大掃除なわけですよ。

 そしてこの埃が厄介で、年末年始の疲れもMAXですのでマスクをしないと一気に体調を崩します。それに気づかずに郵便屋さんになった最初の数年間は毎年この大掃除の後に高熱が出て倒れていました。

やはりマスクの効果は凄いですね。


 そして、もう一つ気をつけなければいけないのが、年賀ハガキ用の段ボール製の大区分棚の片付けです。


 この段ボール製の大区分棚を片付ける時に、残留点検をしっかりとしないと年賀状が隙間に入り込んでる場合があるんです。

 実際、ある年の年末にこの段ボール製の大区分棚を設置していた時に出てきたのです。


昨年の年賀状が。


「班長…なんか年賀状が隙間に入ってたのですが…」

「…本当か?」

「マジです…」


というやりとりがあり、その年賀状はその年末に受け取り人にお詫びの粗品と共に配達しました。


「え?去年の年賀状??

あ、この人から年賀状来ないと思ってたんだよ!

一年遅れか…

まあ、届けてくれてありがとうな」

と、複雑な表情で受け取ってもらいましたが、先輩達にそういった事例を経験した事あるから気をつけろよ。と聞いていましたが、まさか自分がその経験をするとは思いませんでした。

昨年にその区の担当者の点検漏れだったのですが、やはり点検は何事もしっかりとですね。



 これにて、年末年始繁忙期編は終了とさせていただきます。

実はまだまだ年末年始繁忙期のネタは豊富なのですが、そのお話はまたいつか小分けに短編としてご紹介したいと思います。


次回からは『年賀はがきの光と闇』

郵便屋さんの年賀はがきの営業活動の裏側をお伝えする予定です。


今回もご愛読いただきありがとうございました。

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