六通目 図書館
人は死んだら本になる。その人生は一冊の文庫本にまとめられ、図書館に入る。誕生とともに死んだ未熟児も、数多くの偉業を成し遂げて大往生を迎えた賢人も同じ厚さである。ありとあらゆる傷つけられた者を救い、治し、立たせた医者と、命乞いをする子供を何人も残虐に屠った殺人鬼も、その装丁、厚さ、汚れ等に全く違いはない。
そうして神は気まぐれに手に取った本を閉じ、面白かっただのつまらなかっただの批評をつけ、次の本に手を伸ばす。神にとっては人間の生涯など、他愛もない物語の一つに過ぎない。喜ぶべきは人気や評判などに惑わされようがないということだ。
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