第13話 自炊
自炊って、不自由だと思う。
あらかじめ、メニューを決めて買い物に出かけても、スーパーにお目当てのものがなかったりする。
先週は、いいしょうが焼き用の豚肉があったので、今週買って帰ろうと思っても、いまいちだったりする。
鮭が欲しくて見に行っても、二匹パックのものは悪くて、一匹ずつ買うのが面倒くさいから、メニュー変更を余儀なくされる。
結局、本日のお買い得品や、奉仕品につられて、メニューが決まる。
野菜もそう。
なんきんが食べたいなと思っても、家にある野菜をまず消費してしまわないといけないので、買えない。
スマホでいい野菜の選び方を読んでも、スーパーにあるもので済ませるしかない。
実に、面倒で、不自由だ。
イトーヨーカドーの方が納豆とヨーグルトは安かったよな……と思って、結局、三軒くらいスーパーを梯子してしまう。
私は車に乗らないので、水や野菜ジュースはネットで買うけど、スーパーで買うより高い。
送料と手数料が含まれてるのかも知れないけど、家まで運んでくれるんだから安いと考えるしかない。
仕事帰りに食材を買って帰るのが嫌なので、ついつい、土曜日の英会話スクールの レッスンの後にまとめ買いしてしまう。
本当は、もっと、デパートでお洋服とかお化粧品とか見て、タワレコに寄ったり、書店をゆっくり見て回りたいのに。
お菓子を買う余裕がなくて、家にあった小豆とお砂糖で大量におぜんざいを炊いたこともあったっけ。
今年はスーパーに行っても、いつも小豆が売り切れていて、まだ一度も炊けてないけど。
御座候を買い込んで冷凍したこともあった。
今日はユーハイムでバウムクーヘンを買って、縦にして帰ってきた。
買い物袋を開けたら、本日のメインディッシュ、デパートで買ったハンバーグのデミグラスソースが袋の中で溢れてた。きちんと買い物袋の下に入れて、水平に保つようにしてたのに、上手くいかなかったらしい。
サラダは節約したので、母が一玉買ってたキャベツを切って食べるつもりだけど。
猫にお留守番させて、せっかく街まで出かけたのに、私は何やってんじゃい!という気がしてくる。
お金があれば、もう少し便利なところに住みたいけど、固定資産税が払えるか分からないし、賃貸を借りても家賃を払い続けられるか分からない。
田舎だからって必ずしも静かなわけではないけど、賃貸の厳格なルールを守れる自信もない。
八時以降は、楽器を弾いてはいけないなんて、誰が決めたんだろう?
一定の基準を超えれば、どんな音も騒音だし、子どもや車は二十四時間何らかの物音を出すのに。
楽器だけ、何故いけないんだろう?
疲れて帰って来て、肉や野菜を冷凍しておくのが面倒でまた嫌になる。
キッチンペーパーや、ラップやジップロックが勿体ないし。
停電などで長時間、電気が止まってしまったら、苦労して仕入れてきた食材が全てダメになってしまう。
面倒くさい。
猫みたいにカリカリだけで済めばいいのに。
どうして人間は、こんなにいろんなものを食べたがるんだろう?
一人だと、三人から四人用の古いレシピは使えないし、食材を買う時も、鶏もも肉を約五百グラム買って、シチューと親子丼とオムライスに使おうと思って、分けて冷凍したら、肝心のシチューの分が足りなかったりする。
冬だと、まだ自己責任で、シチューやポトフを二、三日に分けて食べることができるけど、煮込むのに手前がかかる。
メインを作ることで手一杯で、バランスのよい食生活なんてしてられない。
そんなことが出来るのは、よほど料理が好きか、センスのある人達だけやと思ってしまう。
私も慣れればできるのかも知れないけど。
とにかく、面倒くさかった。
人は人、私は私と言ったって、帰りが遅いせいか、街にも、帰りの電車にも、買い物袋を幾つも下げた人なんて、私くらいしかいないし。
みなさん上手に、ネットスーパーや個配を利用されてるのかも知れないけど。
ーーお金がないって嫌だ。
家事代行サービスも利用できないし、子育手当てもないので、母みたいに細かくチラシを見てあちこち回ることは無理でも、値段を見て驚き、時間の節約よりお金の節 約を優先してしまう。
結婚してる人達は、夫が一緒に買い物に行ってくれるからいいなと思っても、そう でもないみたいだし。
一人分でも大変なのに、夫や子ども、更には高齢の親の面倒までみるなんて、私には無理だった。
どうして、専業主婦は個人事業主ではないんだろう?と思いつつ、彼女たちのように時間とお金のやりくりが上手くない私は、どうやったら、ああなれるのか不思議で仕方なかった。
ーーこれも慣れなのかも知れないけど。
仕事をしながら家庭も持って、家事以外の趣味の分野で、インフルエンサーになってる人達もいるし、何をやるにも慎重でとろくさい私は、どうやったら、そうなれるのか教えて欲しいくらいだった。
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