第3話 お寿司

 駅前のショッピングセンターのエレベーターホールで、エレベーターを待っていたら、

「お寿司食べた~~い~~!」

 と、幼稚園の年長さんか、小学校低学年くらいの女の子の声が聞えてきた。

 付き添いのじじばばのばばが、

「お寿司?ええけど。ほな、下やな」

 と言って、私の隣にあるボタンを押した。

 ーー上待ってるのに、下押さんといてくれる?

 お寿司なんて、もうずいぶん食べてへんわ……。

 贅沢やな。

 と思いながら、隣を見ていたら、

「けえへんやん」

 エレベーターは諦めたらしく、

「ほな行こか」

 と、じじが言って、可愛らしく髪をふわふわにして、白とピンクのワンピースを着た孫を二人で挟むようにして、ばばが孫の手を引き、階段の方へと向かっていった。

 お寿司って、そっちか。

 スーパーの中に出来た販売専門のお寿司屋さんを思い出して、私は、

 いいなあ、私も食べたい。

 と思った。

 それなら、私も食べられる。


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