29話 悩む
ステラの提案はとても魅力的だ。
あいつらの厄介な所は、機動力と危機察知能力の高さにある。
例えば俺が探知魔法を使うと、あいつらは薄く広がった魔力を感じとり、逃げる。
要約すると、捕まえることが非常にめんどくさい。
だから、超一流の斥候が手伝ってくれるならばとてもありがたい。
金貨3枚、大体1ヶ月分の収入が手に入る。
既にメンタルは完全回復した。
「本当に行くつもりなんですか?」
「そうだよ。だから、帰るのは少し遅くなるから先に帰って良いよ」
「いえ、私もついて行きます」
ステラと森の奥へ進もうとすると、なんか変なことを言い出した。何を言ってるんだ? この魔女もどきは。
「本当に来るの?」
「えぇ、ステラなら大丈夫とは思いますが、何が起きるのか分かりません。念の為に私も同行します」
うわー、明らかに俺を警戒してるなぁ。まぁ、別に良いけどな? このクエストさえ、終わればあとはこっちのものである。
「さ、じゃあ行こうか」
「うぃーす」
「はい」
ーー
そこそこ森の奥へと来た。
ランク8が2人もいて、クエストはとても楽々。
だが、一つだけ問題があった。
ステラに言われて俺とカーラは待機中。
カーラは無言で魔法袋から取り出した本をずっと読んでいる。
俺はすることがなく、石の上に座ってひたすら草と木を眺めているだけの人生。
緊張感がすごい。ステラが1秒でも早く帰ってくることを願いながら待つしかない。
「お待たせ」
「早かったですね」
ステラが戻ってきてくれた。やっと、この地獄のような時間が終わる。クエストに取り掛かろうと、立ち上がる。
そこで、ステラの手に緑色の細長い物体が見えた。
「あれ、お前の手に持っているものって」
「あ、うん。アプトトスの角だよ」
え、もう取ってきたの? めっちゃ早い。ランク8の冒険者やべー。
「じゃあ、終わったことですし。街へ帰りましょうか」
「いやいや、まだだよ。あと一個あるんだから。次は一緒に探しに行こうよ」
「…………ステラ、貴方」
「ん? どうしたの?」
カーラが何か言いたげに見ていたが、諦めたように深いため息をつく。
なんとなく、俺も読めた。こいつ、わざと一個しか取らなかったな。
本当にいい性格してる。
「………まったく」
本を閉じて魔法袋に収納して立ち上がる。
嫌だわぁ。
俺ここにいたら、駄目かなぁ。
「早く来てください」
「はい」
どうやら駄目らしい。
大人しく2人の後ろを歩いていくことにした。
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