非日常1

『ううん、、、まあまあかな。』

『え?』

気が付くと何も無い真っ白な空間に立っていた。


『君が今まで積んできた善行はまあまあだねって言ったんだ。』

『俺の・・・善行?』

目の前にいる少年なのか少女なのか見分けがつかない子供が話していた。


『あれ?タイムリープについて彼から聞いていなかったのかい?』

『彼・・・とは、古本屋の店員のことか?雰囲気は聞いていたんだが詳しくは・・・

と言うか、君は誰なんだ?ここは?』

『ええー!また説明してないのー。困っちゃうなー、もう。』

頬を膨らませ、ぷりぷりしている姿が可愛らしい。


『仕方がない。じゃあ今回も僕が説明するね。』

『コホン、、、僕は君たちの・・・意識というのかな?魂というのかな?

 を管理している上位存在だ。ここは意識のみが存在する空間だよ。』

『???』

そうか!

夢を見ているんだな。

それかあの後酒を飲んで、奇妙な場所に迷い込んでしまったんだ。

この子も迷子になってしまって心細くなり、こんな奇天烈なことを話しているんだろう。


『ごめん、ちょっと何言ってるかわからないな。

 とにかくここを出て、君のお父さんかお母さんを探そう。』

『失礼だな。僕は君たちの年齢の尺度で言えばずっと年上なんだよ。

 というか、あまり年齢という概念が無いと言った方が正しいかも知れないね。』

『・・・』

この少年?少女?は何を言っているんだ?

上位存在?年齢の概念が無い?

最近の子供向けアニメはそんな難しい内容を扱ってるのか?

でも、もし仮に、仮にでもあの子の言っていることが本当だったら・・・?

もしかして、本当に過去に戻れるのか?

今の状況があまりにもぶっ飛び過ぎていて、タイムリープという夢物語が現実味を帯びてきた気がした。

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