後編 悪魔との出会い

手荷物を祭りの会場に忘れたことに気づいた俺はいったん会場の管理者に忘れ物がないかを電話で確認することにした。

ネットで管理者の電話番号を調べ

電話をかけた。

(プルルルル、ガチャ)

[やーい!お主何者だ!*************…]

管理者の言葉が少し訛っていて

うまく聞き取れなかったが忘れ物は

なかった。

しかし、奇妙な手紙が落ちてらしい。

手紙は全て数字で書かれているようで

管理者には心あたりがないようだ。

不思議に思った俺は数字を読み上げてもらいメモを取った。

数字には心あたりがあった。

それは俺の電話番号や住所、年齢など

個人情報が並んでいた。

とっさに悪魔からのメッセージだと気づいた。

その下には日時と時間だと思われる

数字が並んでいる”2028 6 30 18:00”

日時を確認するとまさかの明日だった。

1日でも管理者への問い合わせが遅れていたらと考えてるとゾッとした。

一度、胸を撫で下ろしたが、明日のための準備時間があまりない

鬼が優しく接してくれるとは限らない

それは手紙の文章からでも読み取れる

交渉する時や人と会うときは手土産を

持っていくんだぞと亡きおばあちゃんに

口酸っぱく言われてきたことが突然

脳内の記憶の中から回想してきた。

一か八かの賭けではあるが、

時間がないから仕方があるまい。

俺は使ったことがないがおばあちゃんの

伝説の手作り手土産の定番”タンキルアメ”

を作ることにした。

幸いにも”タンキルアメ”のレシピが

厳重に保管されていたため、すぐに

できそうだ。

タンキルアメのレシピを確認した。

•水飴,砂糖,蜂蜜,イチゴミルク

作り方も分量も細かく書かれていたが

よくわからないので、なんとなくで作ってみた。

鍋に水飴を入れて、そこに蜂蜜、砂糖

イチゴミルクを入れてかき混ぜたものを

型に流し込んで冷蔵庫で冷やし固めた。

型はおばあちゃんが愛用していた星形を

使った。

アメが無事完成するのを願って

俺は眠りについた

翌日の朝、冷蔵庫を開けて、一つ

味見で食べてみると驚くほど甘かった

鬼が甘いものが好きかはわからないが

何もないよりかはマシだと自分を

納得させた。

そして、タンキルアメを包装するため、

近くのコンビニに出掛けて

包装袋と紐を買った。

包装袋の上部には穴が二つ空いている物を

買ったから、その穴に紐を通すだけだから

簡単だった。

どんどこ祭りの会場までは自宅から2時間

ぐらいかかるので早めに家を出ることにしよう。

2時間も要する理由は乗る電車の出る数が

少ないのと、電車のホームまでの距離が

少し遠く、徒歩で30分ほどかかる。

最低限の身支度を整えて14:00に

家を出た。

電車のホームまでは予定通りの時間で

行くことができたが、電車が遅延していて

1時間ほど遅く着いた。

会場に着いたのは17:00

約束の時間まで残り1時間だ。

会場はあまり広くないが

3つのエリアに分かれているため

心当たりのあるエリアに行かなければならない。

マップを家に置いてきてしまったから

自分の足でエリアを回る必要がある

会場には街灯が点々と着いているだけで

少し薄暗かった。

障害物で怪我しないように慎重に

歩いていると何やら一筋の光が見えてきた。

光の見える方に近づくと

お囃子の音がだんだんと大きく聞こえ始めた。

これはニュースで流れていた音だと

すぐに分かった。

約束の時間まで残り30秒

思いの外、時間が過ぎるのが早かった。

残り20秒、急に空気が重くなり、息をのむ

残り10秒、寒気がしてきて、頭がおかしくなりそうだ。

残り5秒、カウントダウンが始まる

お囃子の音が徐々に小さくなっていくと

同時に鈍い音がどしどしと聞こえてきた。

後ろを振り返ると巨大な鬼が立っていた。

“よくぞ、ここまで来たな

 まず、来たことを褒めよう”

(う、うん)

“んで、おまえ、なぜ、ゴミを捨てた!”

(え、ええと、、あの時酔っ払っていて、あ、あまり覚えていないけど、

まぁ、ここに捨ててもいいやと思ってしまったと思います)

“そうか、まぁ素直でよろしい”

“だがな、ゴミを捨てられるとオイラも

大変困るのだ”

“なぜなら、俺はあの時、ゴミ当番で

一つのゴミがないように綺麗にしていたのに💢 翌朝、黒鬼がゴミが落ちてないか見守りに来た時に、ゴミが見つかったため、黒鬼から金棒で殴られたのだ!”

“おまえにこの気持ちはわかるかね”

(も、申し訳ありませんでした)

赤鬼をよく見てみると、右肩に擦り傷が

あるのが見えた。

“今回は素直ならおまえだったから

見逃してやるけど、次はないからな!”

(あ、ありがとうございます。

 もう二度とゴミは捨てません!)

/鬼がその場を立ち去ろうとする/

(あの、これもしよかったら召し上がって

ください)

/俺は鬼にタンキルアメを渡した/

“ああ、せっかくだからこの場でいただくとしよう”

/鬼が包装材を縛っている紐を解き、

タンキルアメを取り出した/

/タンキルアメは黄色で少しキラキラしている。/

“いただきます!

“ふんふん、あ、甘いね〜

俺は甘いのが大好物ほ!

めっちゃ嬉しいんほ”

/鬼は大喜びした/

(ギャップがありすぎて怖い、、)

“そうだ!俺もちょうどお菓子を持ってて

/鬼はお菓子を懐から取り出した/

“このお菓子はナカサンダーというんだ”

“仲間の印として鬼のあいだでは有名な

お菓子だ”

“おまえとは仲良くなれそうな気がするから,ぜひ食べてくれ!”

(ありがとうございます)

こうして、俺はなんとか鬼との約束を

果たし、家に帰ることができたのだった


END



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恐怖の飴 ひゃく蜂 @Shiyo4456777

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