第21話 異世界で新たに始めたい商売

 9月20日(異) 午後19時7分 王都:しゃくなげ亭


「それでは始めましょうか! まずは謝罪から入らせてもらいます

 えー前回は、大変不躾な態度でゴメンちゃいでした

 心よりお詫び申し上げる所存なのかも知れませぬ…

 そのような態度だったにも関わらず、受け入れてくれた御三方には、

 感謝感激雨,嵐はもう… 何があろうとも泣いてられねぇ… 俺たちは進むんだ!

 ですけれども~ 元からこのような性格でして、言葉遣いはもう直りましぇ~ん

 今後ともども、しょーもない事で怒らないで下さ~い よろしくで~す!(ジ)」


「・・・ワムプレ氏が旧ガイエンを率いる事、それが以前のような同盟の条件だ

 一応は、双方の思い描く形にはなったぞ

 それに伴い、ヘヴン・ガイエンではない名称を早急に考えてくれ(ノ)」


「お安い御用で(ジ)」


「ヘヴンが獣人族に"表面上関与しない"、その条件とやらを聞かせてくれ

 まぁお主たちが関与したとて、私たちに何ら問題は無いのだがな・・・

 "莫大な利益をもたらす"その方法とやらは何なのだ?(サ)」


「悪巧みをする時は、なるべく目立たないようにしますよ

 さて、本題に入りましょうか

 御三方にはお土産をあげちゃいましたけれども、どうでした?

 "ヤムヤムウマイ"って感じですかね?(ジ)」


「どれもが素晴らしい逸品だった 安定的に供給して欲しい物だ

 それとは別に、あの"秘薬"はとんでもない代物ではないか…

 ノートン、アルゼをここに(ノ)」


「はっ!」


 ノートンは、アルゼを連れて来た


「この者の名はアルゼ 5年ほど前の話だが、

 子供を助けた際に頭部に深いダメージを負ってしまった

 リハビリは頑張ってやってくれたのだが、言語と運動に障害が残った

 このアルゼに"秘薬"を飲ませたのだが… 今ではどうだ、アルゼ?(ノ)」


「はい、現在はとてもスッキリしております

 剣の方は長いブランクがありますが、段々と勘を戻していけると存じます

 貴重な"秘薬"を頂きまして、とても感謝しております キラーン☆(ア)」


「それは良かったっすね 大将も喜ぶと思いますよ(ジ)」


「その"秘薬"なのだが、できれば毎月融通してもらいたい

 錬金術の何も分からないが、製作するのは相当に大変だと思う

 とは言え、かねやそれに代わる物など、こちらでは用意できない

 どうだろうか… 何とかしてくれないだろうか?(ノ)」


「そんな感じになるだろうって事で、”莫大な利益をもたらす”って話を、

 ここに持って来たんですよねぇ~ 単刀直入に言いますと・・・(ジ)」


「あれ~・・・ どこだったっけ?(ア)」


「うるさいぞアルゼ 大事な話の最中だ! もう良い下がれ(ノ)」


「は、はい… 失礼しました…(ア)」


 アルゼは部屋を出て行った


「部下がすまない… 続けてくれ(ノ)」


「こっちの条件は、"フィエスタで商売"をやってもらいたいんですよね~(ジ)」


「フィエスタで商売を… 一体どんな商売なのだ? 詳しく聞かせてくれ(ノ)」


「御三方にお土産で渡した"ビール・果物・蜂蜜"

 それ以外にも美味い食い物が山ほどありましてね 1つ目は"飲食物"

 2つ目は日用品 販売予定の日用品は、ナッシュトルティーヤ大陸に

 根付いていない常識を覆すようなアイテムを揃えました

 3つ目に、快適に暮らす為にあったら便利なグッズで~す

 1年中こんな気候 この暑さで生活すんのかって考えたら、頭がクラクラする

 そんな時に"あって良かった"って思えるアイテムを集めました~

 4つ目は"文房具と事務用品" 紙やペンの質が全然良くないのでね

 仕事や家庭で使える商品を、数多く揃えちゃいました~(ジ)」


「確かに"びーる・果物・蜂蜜"は、とても素晴らしい物だったが、

 実際に売る物を見ない事には、何とも言えんぞ(サ)」


「まぁ、そうくるよね~ 急遽取り揃えたんで全部では無いですけどね

 極々一部を持って参りました~ ロックパイセンどうぞ!(ジ)」


「はいは~い こちらは"ソフトドリンク"と言いまして、

 お酒ではない飲料でございます

 果実の汁が入った"ジュース" "お茶系" "コーヒー系" "炭酸飲料"

 色々とございます

 こちらは"お酒"です "サワー"とか"チューハイ"と呼ばれる物でして、

 ワイン程ではございませんが、果実のフレーバーも香るお酒です

 こちらが"ハイボール" ウイスキーと言う酒を"炭酸”で割った物です(ロ)」


「全部置いていくんで、味については俺らが帰った後で確認してくださいよ(ジ)」


「続きまして酒のつまみ"乾きもの”です

 "乾きもの"とは、乾燥させた食べ物でございまして、"干し肉"のような物ですね

 一部のお菓子も"乾きもの"になるのですが、お酒を飲む時につまむ物ですね

 手間もかからずそのままで食べる事ができますので楽ちんです

 サラミ・ジャーキー・あたりめ・さきいか・ホタテの貝ひも・チーズ・

 アーモンドフィッシュ・野菜チップス・ドライフルーツ・ミックスナッツ等々、

 他にも沢山あるのですが、今回はこんな感じです

 野菜チップスは薄切りにして乾燥させた物

 ドライフルーツは、薄切りまたは小さくカットした物をそのまま乾燥した物と、

 砂糖をまぶしてあるのがございます

 ミックスナッツは、色々なナッツが入っております

 それぞれ”素焼きのみ塩なし”と”塩あり”がございます

 特定のナッツのみ入っているバージョンもご用意できますので はい~!(ロ)」


「日用品に関しては、男女兼用の物と女性専用の物がありま~す

 誰か女の子いますかね?(ジ)」


「女の子・・・ ノートン、ミーアをここへ」


「はっ!」


 ノートンは、ミーアを連れて来た


「ミーアちゃんって言うの? ここにいるのは俺の奥さん

 別室に行って、この奥様から商品の説明を聞いてね~(ジ)」


「ノア様… よろしいのですか?(ミ)」


「構わん 聞き洩らさず頭に入れてくれ(ノ)」


「はい、それではこちらにどうぞ(ミ)」


 ミーアとクラハは、別室に移った


「これはティッシュペーパーです 紙を極限まで薄くする事に成功しました

 これで口を拭いたりします 目ヤニを取ったり鼻くその後始末とかも

 どうぞ、1枚取ってみて下さい(ロ)」


「なんだ・・・ この薄さは!? 信じられん!(ノ)」


「ふわふわの紙など見た事も聞いた事も無い・・・(サ)」


「やわらかいの(エ)」


「えー、この界隈のヤツらは、身分と比例して清潔感が無いんですよねぇ~

 冒険者のお前、とても不潔だな! その臭い口臭、もう我慢ならない!

 そんな時は、この歯ブラシと歯磨き粉 このチューブの蓋を開け、

 この歯ブラシに適量付けます それで歯をゴシゴシ すると~

 あなたの口臭くちくさ人生の終わりもすぐそこに… こちらは歯間ブラシ

 歯に詰まってしまった何年も前の食べカス、もういい加減取りませんか?

 これを使えば、歯に詰まったカスはあっという間に除去できますよ

 最後の一押し、ベロにも汚れはつきます

 舌専用ブラシ これはソフトな歯ブラシ状の物でして、舌を優しくブラッシング

 これで口の中はピカピカ! もう、臭いとは言わせない!

 はい、こちらが口臭予防グッズでございま~す(ロ)」


「こちらは大将イチオシの商品 その名も"マジカルクーラー"

 魔道具を改良して完成した、幻の逸品!

 全ての家庭が欲しがる事間違いなし ノア閣下、コレ何だと思います?(ジ)」


「全然分からん・・・?(ノ)」


「どの街もクソ暑いですよねぇ~ そんな時に、1部屋に1つ置いておきたい

 この"マジカルクーラー"でござんすが、このようにどこでも取り付けられます

 ではサリト王様、こちらに来て頂いてここに手を翳してけろ(ジ)」


「こうか?(サ)」


「んだ(ジ)」


「ぶお~~~~」


「す、涼しい♪(サ)」


「どれどれ… 私も… 極楽だぁ~(ノ)」


「ひんやりなの(エ)」


「もう一度手を翳すと止まります

 冷えすぎの場合は、この"アタッチメント"をこのように取り付けます

 ここをスライドさせ、風量を調節する事ができま~す

 注意点が2つございまして 1つ目が”雪ん子”なる従魔か、吹雪系魔法の習得者

 どちらかが必要となりま~す

 2つ目は、従魔の"雪ん子"は、吹雪系が使える最低ランクの従魔なのですねぇ~

 これより強い吹雪系だと、寝ながら凍えて〇んでしまいますのでご注意下さい

 マックスチャージで確か、7~8時間の稼働ができますよ 最高っすね(ジ)」


「物はとても良いのだが、術者か従魔が必要なのか…

 そうなると、少しばかり敷居が高いな…(ノ)」


「吹雪系を覚えてるヤツはいないんですかい?

 風と氷の複合だって大将から聞きましたけど 簡単じゃねぇの?(ジ)」


「ドルーなら数多くいるだろうが、そんな簡単な訳なかろう…(ジ)」


「そうなんすか… だったら、レンタルにしたらどうですかね?

 "雪ん子"を何体か従魔にします お呼びが掛かったら、チャージしに行く

 そんでかねをもらう そんな感じでどうすかね?(ジ)」


「それならば、可能ではないか?(サ)」


「庶民も金持ちになってもらわねぇとダメだなこりゃ…

 まぁ、当面はレンタルって形でやりましょ(ジ)」


「そうだな… まずは商品が、一般の者に認知されないと話にならんからな

 知れば自然と広まっていくだろう(ジ)」


 ミーアとクラハが、部屋に戻ってきた


「ノア様、商品の説明を全て聞かせて頂きました(ミ)」


「女性用の商品とやらはどうであった? 需要はありそうなのか?(ノ)」


「はい、とても便利な商品でございます

 値段にもよりますが、私は使いたいと存じます 売れると思います(ミ)」


「そうか… ならばそれらを持ち帰り、女性兵に使わせアンケートをとれ

 アンケートはミーアがまとめ、ノートンに報告しろ

 期限は明日から5日以内にあげるよう 分かったな(ノ)」


「はっ!」


「ノートンはそのまとめたアンケートを2部複製し、

 サリトとエヴァンスに渡してくれ(ノ)」


「承知致しました(ノー)」


「他にも色々とありますけど、全部説明するのしんどいので・・・

 この後ロックを残して行くんで、こいつから諸々聞いて下さい(ジ)」


「ロックから聞けば良いのだな? 商品を吟味するのに、1週間くれ

 それでだ… 肝心なのは商売をするにあたっての条件だが…(ノ)」


「ジュリアに5店舗ほど用意してもらえませんかねぇ?

 フィエスタに3店舗 北・南・中央の良い場所にどデカい箱で

 そんで高級住宅エリアの北と南に各1店舗 その各店舗の店員

 それらを用意して頂きたいですなぁ~

 売上げについてですがね、半分はこちらで頂いちゃいます

 残りの半分を御三方で3分割して差し上げますよ(ジ)」


「半分を3等分か(サ)」


「商品はこちらで用意します それを売ってくれれば良いんですよ

 人件費と賃料だけ負担してくれりゃあ万事OK ってな具合ですけど(ジ)」


「"万疋屋のフルーツ盛り合わせ"も欲しいの(エ)」


「びーるも欲しいな・・・(サ)」


「"秘薬"もな 格安で…(ノ)」


「それは払ってもらいますぜ "万疋屋のフルーツ盛り合わせ"は1万5千

 それはすぐに用意できないんでね… 要予約って扱いになりますよ

 ビールは1本1000 勉強できまへんで

 "秘薬"は1本10億のところ… なんと~ 大特価1本7万でどないです?

 大将が毎日"血反吐"を… それをたった7万なんて… 俺…(ジ)」


「うぬぬぬ… 少し高いが仕方あるまい… 10億が7万なら御の字だ

 それで手を打とうではないか(サ)」


「私たちピクシーの大きさなら、"秘薬"1本の量は多いの

 1本を4つに分けて欲しいの…(エ)」


「量をねぇ… 伝えておきますぜ(ジ)」


「では、売上の半分を渡し、残りの半分を我々が3等分で良いのだな?(ノ)」


「それで構いませんけど、アンケート云々はさっさと済ませて下さいよ

 できれば今月中にはオープンさせたいんでね

 ここにある商品も飲み食いして使ってみて、どんな物が需要がありそうか、

 さっさと決めて下さいな 今後の窓口は、ロックがやりますんで(ジ)」


「は~い 今後私が責任者となります 仕入れ担当ですが、実質社長なのです

 今日お時間があれば、この後宴会でもしましょうか?(ロ)」


「私は大丈夫だが、お主たちはどうする?(ノ)」


「時間などいくらでもあるぞ(サ)」


「ナッツ食べてみたいの。。。(エ)」


「では、宴会とやらが何か分からんが、皆で飲み食いするか

 ノートン、ケニーに宰相閣下を呼びに行かせて、

 アルゼをもう一度連れて来てくれ(ノ)」


「はっ!(ノー)」


「そんじゃあ、俺らは失礼しますぜ 後はロックから色々と聞いて下さい

 粗相があったら、ぶっ〇して良いですから ぎゃははは!(ジ)」


「お前を先に処刑すんぞ、ゴラァ!(ロ)」

 

 ジークたちはロックを残し、新拠点へと戻った



「ようティセ、終わったぜ 商品を吟味するってんで1週間くれってよ」


「ふーん それなら、今月中のオープンはギリギリじゃん できるのかね?」


「だな… ハコ(店舗)と店員については何も言わなかったからな

 多分大丈夫じゃねぇかな?

 一等地でどデカいハコってのは伝えたんだけどな

 実際に現物を見なきゃ分かんねぇし、妥協しても良い事ねぇから

 ダメなら一応文句は言うぜ」


「女の子の商品も、受けは良かったよ」


「異世界なら、何を持って来ても売れるよ」


「ピクシーの女王様が言ってたけど、ポーション1本があの量だと多いってよ

 4本に分けてくれってさ」


「ポックルに専用の小瓶を頼まないと…」


「あれっ… レンちゃんたちは?」


「秘密の部屋2号室に連れて行ってみせてあげたら、

 3人とも気に入っちゃったみたい 特に部屋とお風呂

 私物はそんなに無いみたいだけど、今は引っ越ししてるよ

 普段はこっちに居させて、寝る時はあの部屋を使わせようと思って

 3部屋あるし、丁度いいじゃん」


「へぇ~ だからおばあちゃんたち(5人)を、拠点B(旧拠点)に移したのね」


「私たちがこっちに(新拠点A)移って、向こうを空けておくのも勿体ないしね

 4部屋なら(旧拠点)、5人で丁度いいでしょ」


「この物件は広さも部屋数も最高だよな♪

 家賃もクソ高いけど、セレブはこうあるべきだよなぁ~♪」


「ロックさんは?」


「今回持って行った全部の商品説明なんてできねぇから、あいつだけ残してきた

 説明がてら"宴会"するってよ 今頃盛り上がってんだろ 太郎たちも帰らせた」


「多分王様の前でも空気読まないから、下手したら〇されちゃうかもよ…」


「ヤローは"運"が最強だから心配すんなよ バカだけど大丈夫だって」


「ホントなのよ… 運とメンタルのステータスは"マックス"なのよね

 何事もすり抜ける才能だけは抜群なんだから 何だろうね…?」


「でもさぁ、お酒にだらしがないタイプでしょ?

 王様とかが相手でもさぁ、調子に乗りそうじゃん…」


「どんな時でも相手選ばず調子乗りなだけだ 酒は関係ぇねぇよ

 だけど不思議なほど、それが上手くいくヤツなんだよ あいつは…

 そんなに心配なら、縁も所縁もない外国にでも"粗末な墓"を建ててやろう

 できれば、日本人が1人も居ない所が良いな

 寂しすぎて、生き返るかもしんねぇぞ ぎゃははは!」


「せめて日本にしてあげなさいよ…

 奥さんと子供が、気軽にお墓参りに行けないじゃない…」


「なんでもう "〇んだ" 事になってんのさ・・・」


「例え〇されたとしてもだ…  備えあればって言うだろ?

 気遣う必要はないぞって事だ…」



 9月20日(異) 午後22時47分 王都:しゃくなげ亭


「なんだロック! もう帰ってしまうのか?(サ)」


「そうですね~ 色々と報告もしなければいけませんので…

 今回のお酒とつまみの残りが、こちらのマジックバッグにございますので

 皆様で分けて下さい マジックバッグは後日回収しますので・・・

 ジークも言いましたが、これ以外にも美味しい物は沢山ありますからね~(ロ)」


「"乾きもの"と言ったか… 全部美味かったぞ

 これ以外にもあるとは驚きだ 他の物も食べてはみたいが、まずは開業だな

 値段次第ではあるが、必ず売れるだろう それほどの物だ

 大将によろしく伝えてくれ(ノ)」


「承知致しました できるだけ大きい店舗でお願いしますね」


「うむ、検討しよう(ノ)」


「びーるとかのお酒は大きすぎるの… 小さいのは無いの?(エ)」


「ピクシーちゃんには、350mlでも大きいですもんね

 ビールやワインなら"ミニ缶"って、小さくてカワイイサイズのありますよ

 ウイスキーなら更に小さい"ミニボトル"がありますよ

 今度用意しておきますね(ロ)」


「お願いなの…(エ)」


「それでは楽しい一時をありがとうございました 失礼しますね(ロ)」


「あぁ、気を付けて帰ってくれ(ノ)」


 ロックは帰った


「・・・ノートン、ケニーを…」


「はっ!」


 9月20日(異) 午後23時27分 王都:新拠点


「ティセ様~ 只今戻りましたよ」


「お疲れちゃん どうだった?」


「全部大当たりでした⤴ 美味い美味い言ってましたよ 反応は良かったですね」


「だろうね 今度はお菓子も仕入れよう 

 こっちに在庫があったら、買いに行かなくても良いし」


「ピクシーちゃんが、小さいお酒が欲しいって言ってましたよ

 それも揃えますので、その時にお菓子も仕入れましょう」


「よろしく~」


「それでですね… 社長は私でいいですかね?」


「3人の前で"実質社長なのです"とか言いやがってコノヤロー! 

 テメェは我らが軍の"闇バイト"の分際なんだよコラ!

 いつ社長になったんだよ あぁっ? 立場を弁えろっつーんだ!

 おこがましいにも程があるってのは、テメェの事だオラ!」 


「誰が"闇バイト"じゃゴラァ~! 通報すんぞ ムキー!」


「そんなの決まってないのに、ロックが勝手に社長を名乗ったんじゃない…

 あれは私もダメだと思うわ…」


「異世界の"困難な道"を進むには、百戦錬磨の力と経験が必要だろがい!

 ティセ様もそう思いますよねぇ~?」


「そうだね~ ロックさんが頼りだよ 頑張ってよ」


「ほら聞いたか! さすがはティセ様 よーーく分かってらっしゃる!

 お前ら夫婦は、社長に跪けゴラァ!」


「おいティセ… あんまりこいつを甘やかすんじゃねぇ~よ

 見ての通り、秒で調子に乗るじゃねぇ~か」


「権力に溺れてるわ~… 浅ましいわよ!」


「うるさいうるさい! もう決まったんだ ティセ様のお言葉はぜ~ったい!

 はい、もう終わり~♪」


 ラングたちが戻ってきた


「ティセ様、引っ越しの作業は終わりましたぞ」


「ご苦労さん これでハルヨシ村の宿屋(賃貸)も部屋が結構空いたよね

 ハーランドたちも窮屈じゃなくなるよね」


「全部で6部屋空きましたからな 1部屋は移動用で"使用不可"にしましたぞ

 早速空いた部屋に移ると言っておりました」


「あっ、ロック殿 お帰りになられたのですね

 夜食は買っておきましたよ 食べられますか?」


「はいは~い、食べま~す レンさんありがとね! 

 どんな美味しいお弁当かなぁ⤴?」


「ティセ様に"でんしれんじ"の使い方を教わりましたので、温めて持ってきますね」


 レンは食事を持ってきた


「はい、どうぞ」


「は~い頂きます パカ… もわ~・・・ 何か臭いが…  何コレ?」


「テメェ~の為に、スペシャルメニューに変更してやったぞ

 "キングベアーの睾丸ソテー"と"コカトリスとワイルドベアーの睾丸スープ"の

 スペシャルタッグコラボメニューだ 嬉しいだろ?

 全ての食材に感謝を捧げて、ありがたく頂戴しやがれ! ぎゃははは!」


「なんじゃとコラ~!

 ホウセンカの酒場に"キングベアーの睾丸ソテー"なんてメニュー無いだろがい!

 "ワイルドボアのステーキ"食わせろや! ガッデム!」


「バカなヤツだ… ここは新拠点 ご近所さんは"ヒマワリ亭"だ

 レンちゃんがホウセンカの酒場まで、スープを買いに行ってくれたんだぞ

 しかもコカトリスは、"若鳥"にしてもらったぞ 涙が止まらない程の気遣いだな 

 新メニュ~の開拓は俺に任せろ そして感謝しろ! ぎゃははは!」


「わざわざホウセンカの酒場まで買いに行かせたんなら、

 "ワイルドボアのステーキ"買えるだろがい! いい加減喰わせろ! ムキー!

 ねぇティセ様~ こんな扱いって酷くないですかねぇ? イジメ反対!」


「イジメはダメだよねぇ~ 私が怒っておくから

 ジークさん… こら~ダメだぞ~! コツン☆彡」


「あ~あ… 怒られちゃったよ…」


「なんかすご~く緩くないですかね…? もっとガツンと怒って下さいよ!」


「でもさ、もう買っちゃったんだから 今日は我慢してコレ食べなよ」


「分かりました… 今日はこれで我慢しますよ…

 パカっ… なんか量が多い…」


「只今キャンペーン中でよ キャン玉増量サービス中だ

 ソテーは特別に2人前にしてやったぞ ラッキーだな、俺様に感謝しろ!」


「ムギー! 何が感謝しろだ お前もキャンペーン適用にすんぞゴラァ!

 ガツガツっ!ガツガツっ! ぷはぁ~ 喰った喰った…」


「文句タラタラな割に、随分と満足してるじゃねぇか 美味かったんじゃねぇのか?

 なぁキャン玉大臣 賛成多数で罷免すんぞ!」


「お前如きにそんな権限は無いんじゃボケェ! ねぇ~ティセ様~」


「そんな事よりさぁ、オープン前に大量に仕入れないといけないね

 今回買った量で幾らだったっけ?」


「今回はお試しのサンプルですから4万弱でした

 次は5店舗分の仕入れですから、数百万の規模になりますよ」


「高っ! たったあれだけで4万もするの!?

 そんなに高いんじゃ、コンビニで買ってられないじゃない…

 卸で安く仕入れないとダメだわ…

 これじゃあ儲かんないからさぁ、スーパーとかが仕入れるルートを調べてよ」


「分かりました どうせなら江東地区に、卸専門の店舗でも構えましょうか?」


「それいいねb! 私たちも食べるし、ダブルで儲かるかも… ゲラゲラ!」


「キャン玉2個分の脳みそで、良く考えたな 褒めて遣わすゾ ぎゃははは!」


「おどれは誰に上からモノ言ってんだ シバくぞゴラァー!

 キャン玉喰らわすぞコンニャロめ ガッデム!」


「テメェが毎回喰らってんだよ アホか!」


「ねぇティセ 私さぁ~ アパレルやりたいんだけど」


「アパレル? 洋服屋さんの事?」


「そう ここってカッコいい装備はあるけど、カワイイ洋服って無いじゃない

 街の女の子たちも、オシャレしたいじゃない?」


「ふ~ん… それだったらオークションに、中古まとめ売りで大量に出てるよ

 "ラサ"や"アンチタイトル"… 他には"東京得区・デュランダル・スライデル"とか

 ビュ~トンとかプラメスとか、ピュオ~ルみたいな高いやつは入ってないよ

 高級ブランド以外のブランドならごちゃごちゃに入ってるからお買い得だよ」


「なにそれ~!? ヤバ~ それって幾らぐらい?」


「20~100枚とか入ってて3000~1万くらいじゃないかな? 送料別ね

 Tシャツのみとかワンピースだけとかのセットもあるの サイズはバラバラね

 キャバ嬢ドレスセットも売ってたな… それは高かった気がする…」


「凄く安いのね… 何でそんな事知ってんのよ?」


「お小遣い稼ぎでやってたから… 残ってるのあるから、全部あげるよ」


「もうやらないの? もったいないじゃない…」


「オークションとかフリマで売るのは、正直管理がめんどいからさぁ…

 充分元は取ったし、もう要らないよ だってお金持ちだから ゲラゲラ!」


「お金持ちがそう言うなら遠慮なくもらうわよ うひひ~♪」


「そうだそうだ、ラングさん もうすぐ月末だからさぁ

 貯めてある"魔石"売っぱらってよ」


「全部ですかな?」


「そう、全部」


「量が多過ぎるので、価格が底まで落ちますぞ」


「あ~・・・ あり過ぎなのか・・・ 森にあったやつほぼ全部だもんね

 なら3人でさ、毎日ちょこちょこ売りに行ってよ それなら下がらないでしょ?」


「分かりました 1人日に30万程度なら、影響は全く無いでしょうな」


「へぇ~ それで充分だよ みんなのご飯代賄えるじゃん

 エドワードたちにも毎日売らせてよ もうちょっと少な目でも良いからさ」


「10万くらいでよろしいですかな?」


「うんいいよ 3人で10万くらいね 換金したらご飯代で持ってろって」


「承知しました 明日伝えますぞ」


「ドルフさんは、魔道具作家のポックルのところに行って、

 エニィポーションの小瓶を作ってもらってよ

 新しい方※のポーションだよ 1本を4本分に分ける小瓶ね」


 ※エニィポーションとスピードアップポーションを混ぜて味変をしてるので、

  量が多くなっている 両方の効果はそのままで、美味しさは格段にアップ


「何本必要なのだ?」


「そうだねぇ… 注文は全部で80本

 まずは5本分で15本でいいかな? 急ぎでね

 調合済みのストック1本持って行って それ1瓶を4等分できる小瓶ね」


「承知した "魔石"を売却した後で向かおう」


「レン氏は、ここから超近い場所に1件店舗を借りてきてよ

 クラハさんが洋服屋さんやりたいんだってさ」


「衣服店ですか? 衣服はそんなに売れないと思いますよ…

 防具なら売れそうですけどね・・・」


「いいのいいの 儲け度外視で、私がただやりたいだけなのよ~」


「はぁ、それなら… どのくらいの大きさが良いですか?」


「オル商会くらいの大きさで良いよ

 あれくらい(広さなら)なら、フィエスタでもお手頃価格で空いてるでしょ?」


「オル商会くらいの大きさですね 分かりました」



 9月21日(異) 午前0時7分 王都:しゃくなげ亭


「そろそろお開きにするか(ノ)」


「いやぁ、全てが美味かったな… 我が領内にも商店を構えたいくらいだ(サ)」


「私はナッツ屋さんをやりたいの…(エ)」


「はっはっはっ! ロックに頼んでみれば良いじゃないか?

 王都で営業する5店舗の売上が入ってくるんだぞ(ノ)」


「入ってくるとは言え、売上の半分の更に三分の一だぞ

 大して稼げんだろ たかが知れてる…(サ)」


「でも"莫大な利益"だってジークが言ってたの(エ)」


「やってみない事には何とも言えんだろう…

 1か月くらいは様子を見ようじゃないか 個別の仕入れはそれからだ

 お主ら… 賃料と人件費も3等分だぞ… 分かってるのか?(ノ)」


「そうだな… 善処しよう それではもう寝るぞ(サ)」


「ナッツ屋さん… (エ)」


 サリトとエヴァンスは、それぞれの部屋で眠りについた・・・


「ミーアとアルゼで片付けてくれ

 残ってるつまみとこの2本は飲んで良いぞ」


「やった! ありがとうございます♪」


「お任せください 腹の中に(飲み食いして)片付けます キラーン☆」


 ノアたちは部屋を後にした・・・


「ねぇアルゼ 調子はどうなのよ…?」


「全然問題ないよ これが"酔う"って事なんだね 今は凄く心地が良いよ」


「本当に…? また(症状が)戻っちゃうんじゃないかって、凄く心配なの…」


「本当だよ 怪我をしてから昨日の朝までは… 僕はもやの中に居たんだ

 それこそ寝ても覚めても四六時中、"もやに溺れてる"みたいだった…

 治ったと言うより"生まれ変わった"って感覚かも知れない

 思い通りに動く体、すらすら出てくる言葉、思考から行動に移せる時間・・・

 例えるなら、狭くて息苦しい所から這い出れたみたいな・・・」

 

「深淵みたいに?」


「深淵…!? そうだ、深淵だ! ちょっと行ってくる」


「えっ!? こんな時間にどこに行くのよ!」


「ノア様の所~ キラーン☆彡 ぴゅ~」



 王都:しゃくなげ亭 ノアの部屋


「コンコン… ノア様! ノア様!… コンコン!」


「ガチャ… アルゼか… 何かあったのか!?」


「お休みのところ、申し訳ございません…」


「まだ床に就いてはおらん 中に入れ」


「はい、失礼します…」


「それでどうしたのだ?」


「思い出したのです ジーク殿の後ろに控えていたあの従者たちを」


「従者… あぁ、あの仮面の3人だな ジークは手下A・B・Cと言っていたが…

 アルゼは知っているのか?」


「はい… 直接喋ってはおりませんが、見た目は記憶に残っております」


「どこで見たのだ?」


「入場ゲートでございます…」


「入場ゲートだと…!? それでは、"深淵"に潜る冒険者なのだな?」


「はい…」


「それだけか?」


「いいえ… 同じパーティーには・・・」


「何だと・・・! それは間違いないのか!?」


 

 次回 第22話『魔道書:変身の使い道 プランA・プランB』

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ティセの異世界経営戦略 騎村ちせ @kimura666

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