奪還

「本当にいいの?」

「はい。トトも一緒ですから!」

 マシーンを前に、ドロシーはトトの肩を抱いた。

「それと、もう一つお願いがあります。ホビーを預かっていただけませんか」

「ドロシー? 私は一緒に行けないのですか?」

「ごめんねホビー。でも、あなたに心を。感情をあげたいの。小津さんなら、きっとあなたをアンドロイドにできる」

「アンドロイドとは驚いたわね。あなたも科学の魔女みたい」

 ジュディの笑顔を見たドロシーは、私は科学の魔女の娘なんだと胸が熱くなった。

「わかりました」

 ホビーはただ大人しく従った。


 準備が整い、それぞれに別れを告げるとドロシーとトトはマシンに入った。来た時と同じように抱き合うと、二人を光が包んだ。


 目が慣れると二人はパウム時空研究所が見える場所にいた。一陣の風が吹き、舞ってきた紙をドロシーが掴んだ。珍しい紙媒体には『スペシャルプリント 戦後初! 月と地球合同でのワールドフォーラム開催! タイムスリップを成功させたパウム夫妻も参加』と書かれていた。

「トト。ママに会いたい?」

「会いたい!」

「よし。じゃあママを助けに行こう」

 二人は手を繋いで研究所に向かって歩き出した。


〈Fin〉

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Little Travelers リトルトラベラーズ 夜空の散歩者 @YORUARUKI

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