奪還
「本当にいいの?」
「はい。トトも一緒ですから!」
マシーンを前に、ドロシーはトトの肩を抱いた。
「それと、もう一つお願いがあります。ホビーを預かっていただけませんか」
「ドロシー? 私は一緒に行けないのですか?」
「ごめんねホビー。でも、あなたに心を。感情をあげたいの。小津さんなら、きっとあなたをアンドロイドにできる」
「アンドロイドとは驚いたわね。あなたも科学の魔女みたい」
ジュディの笑顔を見たドロシーは、私は科学の魔女の娘なんだと胸が熱くなった。
「わかりました」
ホビーはただ大人しく従った。
準備が整い、それぞれに別れを告げるとドロシーとトトはマシンに入った。来た時と同じように抱き合うと、二人を光が包んだ。
目が慣れると二人はパウム時空研究所が見える場所にいた。一陣の風が吹き、舞ってきた紙をドロシーが掴んだ。珍しい紙媒体には『2146年スペシャルプリント 戦後初! 月と地球合同でのワールドフォーラム開催! タイムスリップを成功させたパウム夫妻も参加』と書かれていた。
「トト。ママに会いたい?」
「会いたい!」
「よし。じゃあママを助けに行こう」
二人は手を繋いで研究所に向かって歩き出した。
〈Fin〉
Little Travelers リトルトラベラーズ 夜空の散歩者 @YORUARUKI
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