第39話 決断

 私、エリム

フロンティア学園の生徒だ。


「行ってらっしゃいませ。ご主人様」


「行ってくるね」


 イリスと交わすいつもの登校


「エリム、おはよう。いい朝だな」


「おはよう。ベルリス」


 登校中にベルリスと交わすいつもの挨拶


「エリム、おはよう」


「おはよう。ジェシカ」


 ジェシカと交わすいつもの挨拶


「おはようございます。エリム」


「おはよう。シャロリア」


 シャロリアと交わすいつもの挨拶


「皆さん、着席してください。授業を始めます」


 これから始まるいつもの授業


「エリム、食べに行きましょ」


「行こっか」


 ジェシカと食べるいつもの昼食


「はい。では授業を始めます」


 そして続くいつもの授業


 ここまではいつも通り


 だけれどここからの私はいつもとは違ってくる。


「シャロリア、良い?」


 私は下校前にシャロリアに話しかける。


「どうかしましたか?」


「あのさ。私、決まったよ。将来」


 シャロリアに悩んでいた将来の進路が決まったことを報告する。


「まぁ...何をなされるのですか?私はエリムの未来ならエリム自身が決めることですので尊重しますよ」


 シャロリアからは将来、お姫様になる話を提案されている。

なのでシャロリアには何をするのか決まったのかをしっかりと話したい。


「ごめん...今はまだ話せないんだ」


「そうですか...いつなら話せそうですか?」


 打ち明ける日は決まっている。


「卒業式の日の夜!フロンティア学園の前の展望台で...良いかな?」


 そう。

卒業式の日の夜にフロンティア学園の前にある展望台でこの話をしたいと思っている。


「分かりました...卒業式の日の夜、ですね。待ってますよ。エリムがどんな未来を決めたのか...それを聞けるだけでも私は楽しみです」


「ありがとう」


 シャロリアにはまず伝えた。

次はジェシカだ。


「ジェシカ!」


 上手いタイミングでジェシカに会えたので話しかける。


「どうしたのよ?」


「あのさ。ジェシカは進路...決まった?」


 最初にまずジェシカの進路を聞くところから話を振ってみる。


「えぇ。決まったわよ」


 ジェシカは既に決まってるみたいだ。


「エリムは?」


「私もさ...決まったんだ」


 ここで私も決まったことを報告する。


「良かったわ!ちなみに何をするの?」


「...まだ言えない」


「そう」


「でもさ?卒業式の日の夜、フロンティア学園の前の展望台で言っても良いかな?」


 ジェシカに言うタイミングの話を出す。


「...えぇ。待ってるわ」


「ありがとう」


 これでジェシカも大丈夫だ。

あと2人


「ベルリスは何処かな?」


 ベルリスにも話さなくちゃいけない。

ベルリスには以前、騎士の道に進む話を提案されたからだ。


「あ!ベルリ...」


 ベルリスを見つけた。

が、木に引っかかっていた。


「くっ、殺せ!」


「あーはい...」


 杖を使い、風魔法でベルリスを地上に連れていく。

無事にベルリスは地上に着地した。


「すまない...引っかかってしまっていた...」


 ベルリスは申し訳なさそうに私の方を見て礼をした。


「大丈夫だよ...あのさ?ベルリス」


「なんだ?」


「進路、決まったよ」


 ここでこの話を出す。

タイミングは完璧だろう。


「決まったのか!?どれ、今すぐ...」


 ベルリスは何故か何かの手続きをしようとしてきた。


「まだ何も言ってないしまずフロンティア学園卒業してないよ!?」


 私はまだ進路が何に決まったのかすら言ってないし、ベルリスは急ぎすぎに見えたので急いでベルリスを落ち着かせようとした。


「そ...そうか...」


 ベルリスは落ち着いてくれた。


「ちなみに何に決まったんだ?」


「まだ...これは言えない。ある日に言いたいんだ」


「ある日?いつだ?」


「卒業式の日の夜、フロンティア学園の前の展望台で」


 私はいつなのか?と場所を話した。


「あの場所か...」


 ベルリスはフロンティア学園にいた頃、授業が上手くいかなくて落ち込んだ日等、ここで夜景を見ていたりしていたらしく、ベルリスにとって思い出のある場所でもあるだろう。


「分かった...」


 ベルリスは頷いた。


 後はイリスだけ。


「ただいま」


 私は家に帰ってきた。


「おかえりなさいませ。ご主人様」


 イリスが待っていてくれた。


「イリス、話があるの」


「なんでしょう?」


 イリスは私の話が一体何なのか?と疑問を持っただろう。


「私さ。この先の将来、自分で決めたんだ」


「そうなのですか。ちなみに...どういったことでしょうか?」


 気になったであろうイリスは聞いてくる。


「ごめん...まだなんだ」


「そうですか...」


 イリスは聞きたかっただろうが、私はまだ言うことではないと思っている。

なので、これを貫き通す。


「でもさ。卒業式の日の夜、言うよ。フロンティア学園の前の展望台で!」


 イリスに伝えた。


「...分かりました。ご主人様、待ってます」


「ありがとう」


 そうして私は食事と入浴を済ませて自室に入った。


「私の...決めたんだ」


 まだ緊張する。

けれどしっかり今まで仲良くしてくれた皆には必ず話そう。


 そして...あの子に私のこの思いを届けよう。


 次回、卒業式と告白

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