第32話 シャロリアと天使
私、エリム
今日も授業が終わり、帰り道を歩く。
そこで。
「シャロリア?何してるの?」
同級生のシャロリアが体育座りをしながら何かを見ていた。
かなり真剣そうに見ているのできっと何か大事なことなのだろう。
「エリム、丁度良かったです。これを見てください」
誰か倒れていた。
見慣れない格好をしている。
「どうしよう...この子、倒れてるけど...」
「そうですね...」
そう私とシャロリアが話をしているとその子は目を覚ました。
「お腹...お腹が...空きました」
どうやら空腹みたいだ。
起きてもらったのは良いが、このまま空腹を放置していたら大変だ。
「大変です...私、助けます。動けそうですか?」
シャロリアはその子を助けようとした。
「うぅ...」
その子は倒れたままで動けそうではなかった。
「私、おんぶするよっ!」
私も何かこの子とシャロリアの力になりたかったので、この子をおんぶしてあげた。
「ありがとうございます。それでは私の家にまで行きましょう。食べ物なら用意できますので」
ここでのシャロリアはかなり頼もしい。
この流れだとこの子は助かるかもしれないのでシャロリアの後ろを、この子をおんぶしながらついて行った。
で、シャロリアの家に到着する。
「食べてください」
シャロリアがすぐに料理をし、この子に食べさせてあげた。
シャロリアの料理の味は調理実習の日に食べたことがあるので知っているが、とても美味しかったので、きっとこの子の口にも合うだろう。
「ぱく...美味しいです...」
この子は美味しそうに料理を食べている。
「ありがとうございます。申し遅れました!私はミカリル、天使ですっ」
この子は元気になり、ミカリルと名乗った。
どうやら天使らしい。
「ミカリルですね。私はシャロリアです」
「私はエリムだよ」
私とシャロリアはミカリルに自身の名を名乗る。
「天使?ですか?」
「はいっ」
シャロリアは驚かずに普通にミカリルと会話している。
「ちなみにミカリルはどうしてあそこで倒れていたの?」
ミカリルには色々聞きたいが、最初に何故あそこで倒れていたかが気になるので理由を聞いてみる。
「はいっ。実は神様にこの世界が大丈夫かどうかを見てきてほしいと言われたので見に来たのですが...」
神様には会ったことがあるので大体どういった状況で頼まれたかは予想がつく。
「途中で落っこちちゃって...てへへ。私ったらドジですよね」
理由は分かった。
「それでは帰る前に...助けてくれたお2人に何かお礼がしたいです!そうでなきゃ、帰るに帰れませんっ」
「お礼...ですか」
シャロリアはどうお礼をしてもらえばいいかが分からないからか、困惑した。
「どんなことでもいいですよ!」
天使だから割と頼んだら実現可能にはなりそうだ。
だが、シャロリアはお姫様だ。
願えば願いが叶う人物と言っても過言ではない。
だからこそ、こうなったら悩むのもよく分かる。
なので。
「シャロリア、こんなのはどう?ひそひそ」
「はい?ひそひそ」
シャロリアが迷ってそうだったので私はひそひそ話をしてシャロリアにアドバイスをした。
「それ、良いですね。それにしましょう」
「じゃあ...決まり!」
シャロリアが何を頼むのかがここで決まった。
「えっと...決まりましたか?」
ミカリルの耳には私たちが何を話していたかが届いてなかったみたいなので、ここで発表する。
「はい。私たちにこの街を案内させてください」
シャロリアと話し合ったが、2人でミカリルにこの街を案内することに決まった。
ミカリルは天使だが話し方的に見ればまだこの街を歩いた経験がないのではないか?と察してシャロリアと話し合い、この街の良さをミカリルに知ってもらおうとなった。
さぁ、ミカリルの反応はどうだろうか?
「それ、楽しそうです!見てみたいです!」
ミカリルは話に乗ってくれた。
「それでは行きましょう」
「はいっ...あの...」
「どうかしましたか?」
ミカリルは恥ずかしそうに私たちの方を向いてる。
「はぐれたら大変なので...手、繋いで頂けないでしょうか?」
ミカリルは私たちとはぐれるかどうかが心配みたいなので手を繋ぎたがっている。
「はい。喜んで」
「ありがとうございますっ!」
シャロリアはミカリルと手を繋ぐ。
「エリムも」
「私も?」
「はい。3人で繋ぎましょう」
シャロリアは私も空いてるシャロリアの手を繋ぐ様に言ってきた。
言われてみれば3人で手を繋ぎ合っていたら微笑ましいかもしれない。
「じゃあ...」
私はミカリルと手を繋いだ。
「で、では行きましょうっ!」
そうして私とシャロリアとミカリルの街の名地巡りが始まった。
名所を見たり、名物を食べたり、何をしてもミカリルは楽しそうにしてくれた。
「ふぇ〜楽しかったです...」
ミカリルは満足そうに手を繋ぎながら私たちの方を向く。
「それは良かったです」
「でもそろそろ帰らないと...神様が心配してしまいますので...」
ミカリルは寂しそうな顔をしながら下を向いてしまった。
「ミカリル、楽しかった?」
私はそんなミカリルに今日は楽しかったかどうかの感想を聞いてみた。
「は、はいっ!とっても楽しかったです!」
ミカリルはすぐに前を向いてそう答えた。
「それならさ?また来てよ!この街、誰が来ても皆いい人だからミカリルのことを歓迎してくれるだろうし、私で良ければまたこの街を案内させてよ!いつ来ても私たちは大歓迎だからさ!」
私は今日を通してミカリルは明るくて元気な子なのが分かり、もっとミカリルのことが知りたくなった。
なので、ミカリルはいつでもこの街に来るのは大歓迎なのを伝えた。
「はいっ!また来ます!」
ミカリルはすぐに嬉しそうな表情になり、背中の羽を広げた。
「それではまた会いましょう〜」
ミカリルは私たちの手を離して礼をし、そのまま空へと羽ばたいて行った。
「行ってしまいましたね」
「だね」
私とシャロリアは手を振りながらミカリルを見送る。
まさかの天使と街を回れて今日は楽しかったな。
「戻りました。神様」
「おかえり。ミカリル」
ミカリルは神様の元へ帰ってきた。
「で、どうだった?あの子...あの世界でちゃんと上手くやってけてた?」
神様はミカリルに私がいる世界で私がちゃんと生きていけてるかどうかを聞いた。
「それは勿論です!」
ミカリルは自信満々に答えた。
「それは良かった。本当は転生してあげた僕が見に行きたかったんだけど死者の成仏とか転生とかしなきゃならなかったから助かったよ。それに、今の百合に目覚めたあの子は女子の方が馴染みやすいかもしれないから丁度良かった」
神様がミカリルを私の世界に送った理由を説明した。
「そうですか。ちなみにその百合に目覚めたエリムさんは誰と付き合うと思いますか?私は今日、一緒にいたシャロリアさんな気がするのですが...」
ミカリルは興味本位で私の付き合う相手の予想を神様に聞いてみる。
「それは分からないよ。誰と恋に落ちるかは...あの子自身が決めることだからね」
神様は自分なりの答えを出した。
「そうですか...やはり、恋の先は神様にも分からないんですね...」
ミカリルは真剣に神様の話を聞いている。
「まぁでも...あの子はきっと自分に合った答えを出して好きな子と付き合うはずだよ。だから、僕はそれをのんびりと見守るよ」
「そうですねっ!私も見守りたいです!」
ミカリルは神様の話に共感する。
「いい子が見つかると良いね。エリム」
神様とミカリルは神様や天使が暮らす世界からこのイケメンフロンティアの世界に転生した私の恋をそっと見守ってくれるのだった。
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