第20話 シャロリアと歌
私、エリム
今日も授業が終わり帰ろうとする。
「エリム、すみません」
学園のお嬢様、シャロリアに話しかけられた。
「この後、大丈夫ですか?」
「特に何もないから大丈夫だよ」
「良かった...」
シャロリアが私に何か用があるらしい。
一体なんだろう?
「今度、ある会で歌を披露するのですが、私の歌を聞いてもらえないでしょうか?」
「歌?うんっ。いいよ」
シャロリアは歌が上手い。
音楽の授業で合唱をする機会があるのだが、シャロリアの場合、歌声が綺麗なのでクラスの中でもかなり目立っている。
その歌声をソロで聞けるなんて最高だ。
これは聞くしかない。
「ありがとうございます。では、私の家にいらしてください」
「分かったよ、イリスに伝えてから行くね」
「はい。お待ちしております」
そして私は一旦家に帰り。イリスに話をした。
「来たよ〜」
私はそのまま、シャロリアの家のドアの前に立った。
相変わらずの豪邸だ。
「お待ちしておりました。どうぞ…こちらへ」
シャロリアはある部屋にまで案内してくれた。
「この部屋は?」
「私が歌を歌う為に作ってくださった専用の部屋です。防音にもなっていますよ」
「凄いね…」
歌を歌う専用の部屋とはなんて豪華な。
流石、お姫様。
「それでは…歌いますので聴いてください」
「は〜い」
そしてシャロリアは歌う始める。
歌声はとても綺麗だ。
「…どうでしたでしょうか?」
「うん…完璧!完璧だよシャロリア!」
これはもう完璧。
ずっと聞いていたいぐらいの歌声だ。
「ありがとうございます…」
「自信持って!シャロリアのその…歌の会?絶対成功するから!私。シャロリアの歌ずっと聞いてたいってなったぐらいだし」
「そんなにですか…?照れますね…」
シャロリアは横を向きながら照れている。
可愛い。顔もずっと見ていたい。
「エリムもどうでしょう?」
「どうって…何を?」
「歌です。私、エリムの歌声が聞きたいです」
「私の!?いいよそれは…」
「お願いします…」
シャロリアが潤いに瞳で私を見つめてくる。
私、歌うのは合唱の授業ぐらいでしかないし、1人で歌うとなると正直恥ずかしい。
けれど、シャロリアに頼まれたので歌おう。
「じゃあ…歌うよ…」
そうして私がシャロリアが今、歌った歌を歌った。
かなり緊張した。
「どうだったかな…?」
「まぁ…お上手ですね」
シャロリアは褒めてくれた。
褒められるのは正直嬉しい。
「ありがとう…かなり緊張しちゃったけど…」
「エリム、良ければ歌の会…一緒に出ませんか?」
「私が!?」
「はい…エリムの歌声は会場を穏やかな温もりで包んでくれる…そんな気がするんです」
「良いのかな…私が出ちゃって…」
お姫様のシャロリアが出る会だ。
私が出ても大丈夫なんだろうか?
「寧ろ…エリムに出てほしいです。私1人で歌うのは…少し、緊張しますので…」
「…分かった。私、歌の会に出るよ」
どうしようか迷ったが、シャロリアとなら歌い切れるかもしれない。
なので、歌の会に出ることを決意した。
「ありがとうございます…では今日は練習しましょう。泊まれそうですか?」
「イリスに言ってくるね」
そうして私はすぐに家に帰り、イリスに泊まることを伝えてすぐにシャロリアの家に戻ってきた。
「早かったですね…」
「ま…まぁね…」
そして私とシャロリアは数日、歌の練習に励んだ。
シャロリアと一緒だったので楽しかった。
「エリム、もう少し声を大きくできますか?」
「やってみるね」
シャロリアがくれるアドバイスも分かりやすく、すぐに取り組めれた。
そして本番の前日になった。
私はシャロリアの家に泊まっていた。
「いよいよ明日ですね。エリム」
「そうだね…緊張してない?」
私とシャロリアは同じベッドで2人で添い寝しながら話していた。
「してませんよ。平気です。エリムがいますから…」
「も〜」
楽しい。
「それでは、おやすみなさい」
「おやすみ」
明日に備えて眠った。
そして、本番当日
「歌えますか…エリム…」
「うん…大丈夫…」
私とシャロリアはドレスを着て会場の舞台裏で待機していた。
これから多くの人に私とシャロリアの歌を聞いてもらうことになる。
「練習通りにすればきっと大丈夫…」
そう。
今までの練習があったので練習通りに歌えばきっと大丈夫なはずだ。
「では、お願いします」
「はい」
「分かりました」
そして私とシャロリアは舞台に上がり、多くの人の前で歌を歌った。
見ていた多くの人の反応は拍手喝采だった。
「…どうでしたか?エリム」
「…歌い切ったよ!」
最初は多くの人を見て緊張してしまいそうになったが、シャロリアが隣にいたので最後まで歌い切れた。
「シャロリアは…?」
「私も同じですよ」
シャロリアも同じく歌い切れていた。
「やったね!」
「はいっ!」
ここでまさかのシャロリアが抱きつく。
「シャロリア…見られてるよ…?」
「良いでしょう。私たちのこういった一面も皆さんに見せてあげるべきです」
「そっか…うん…」
多くの人にシャロリアに抱きつかれるところを見られながら歌の会は無事に成功した。
シャロリアと歌えて楽しかったし、また機会があれば2人で歌を歌ってみたいと思った。
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