第2話 友達未満
入学式の日から、奏とは「おはよう」と挨拶をする関係になった。これを関係と呼んでいいのかは分からない。関係は、お互いに影響しあってこそ生まれるものだから。
私は、四年経った今も奏に影響を与えられたのか分からない。もし、私が奏に何かを与えられていたとしても、それは悪い影響かもしれない。
今、奏に会えるなら、聞きたいことがある。
「あなたは、私と一緒にいて楽しかった?苦しくなかった?」
知ってどうしたいのか自分でも分からない。でも、きっと私は奏に
「あなたといるのは楽しかったし、あなたのいる空間は息がしやすかった」
こう、返事をして欲しいのだ。
「おはよう」を言い合うの関係になってから二週間。
私たちの関係は、少し進展したような気がする。それは、学校行事のおかげだ。
一年生がクラスメイトと仲を深めるための二泊三日のオリエンテーション。
私が、一番恐れていたイベントだ。
他人と三日間も共同生活をするなんて辛すぎる。考えるだけで腹痛を引き起こす。実際、私はこのオリエンテーションの話し合いをするたびに腹痛に苦しんだ。
そして、何故このイベントで奏との仲が深まったのかというと、同じ班だったからだ。出席番号順に組まれるグループで、私と奏は同じ班になった。
私と奏は、この時は少し似ていた。二人とも、大人しくて、あまり話さない。そんな二人が仲よくなることは難しいと思ったけど、仲良くなりたかった。
だから、同じ班になったことで生まれるチャンスを最大限に利用しないといけない。
ここで遭遇したチャンスは、係決めだ。
最後まで係が決まらなかった私たちは、最後の二つの係がある中、同じ係を選んだ。そして生まれたじゃんけんチャンス。これを、チャンスと呼んでいいのか分からないが、少し関わることができて嬉しかった。
入学から二週間、挨拶以上友達未満。
友達以上親友未満 明月朱春 @Subaru0129
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