友達以上親友未満
明月朱春
第1話 出会い
この世界には、必ず始まりがある。そして、もちろん始まりがあれば終わりもある。
そんな当たり前のことが、嬉しくて悲しい。
この感情を消化する方法を私は知らない。
一番乗りで教室に着き、窓側の一番後ろの席に荷物を下ろす。
毎年教室は変わっても、教室の間取りはどの教室も変わらない。そして、クラス替えもないので、出席番号順で座る時の私の席はいつもこの場所だ。
中学生の時も含めると、四年間同じ席に座っていることに何だか不思議な気持ちを抱く。
この席は、私にとって特別で、お気に入りの席。教室は違えど、思い出の詰まった場所なんだ。
まだ誰もいない教室を見渡して、四年前のことを思い出した。
入学式の日、私は斜め前の席の方にシャーペンを落としてしまった。
慣れない雰囲気の中、シャーペンを落としてしまったことに恥ずかしくなり、なかなか体が動かなかった。すると、斜め前の席のロングの髪をなびかせた優しそうな女の子が拾って、手渡してくれた。そんな普通のことが、私にはとても嬉しかった。
初めて、知らない人ばかりの環境に置かれ、緊張と不安に押しつぶされそうだった私の心は、その一瞬で救われた。
それ以降、「おはよう」と言い合うようになり、目が合えば笑い合った。
まだ、友達未満だったが、これが私、
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