第39話 摩天楼の空戦
いたるところで煙が上がるハオの都。
バサラの私兵集団である唐傘兵が、ハオの都に攻め込んできたのだ。ハオの正規軍である龍騎士隊が迎えうち、いたるところで激しい戦闘を繰り広げていた。
「うわわ〜〜〜。街中戦場になっちゃってる〜〜〜!? オッサン、俺なんか追いかけてる場合なのかよ!?」
「たわけ! キサマが率いてきたのだろう!」
「誤解だって〜〜〜」
飛び交う龍と唐傘兵、そして龍の放つ閃光と唐傘兵の放つ弾丸が飛び交う中、ロンとコルルは必死にかいくぐりながらゲンブから逃げていた。
「アレは、ゲンブ!」
「何!? 手柄は俺のものだ!」
唐傘兵の最重要目標は、バサラの対抗勢力である龍騎士隊のゲンブ隊長だ。唐傘兵達は、ゲンブを見つけるやいなや、我先に攻撃を仕掛けていく。
「未熟! 未熟! 未熟〜〜〜! どおりゃぁぁぁ〜〜〜!」
『バシンッ ドカ〜ン ズバン ズバン ドカ〜ン ドカ〜ン』
ゲンブの暴れっぷりは、まさに無双である。
攻撃を仕掛けてきた唐傘兵達を次々に薙刀で弾き飛ばし、唐傘兵達は人々が住む楼に激突し爆発していった。
「うゎ〜、おっかね〜。街の人かわいそ〜〜〜」
ゲンブの無双に怖気づいていた唐傘兵が、ロンに気づいた。
「キサマは青い龍を追いかけていた、さっきの龍騎士(ドラゴンライダー)か!?」
さっきまで青龍を追いかけていた唐傘兵と、ばったり出くわしてしまったようだ。
「ゲンブは、化け物だ! アイツなら弱そうじゃないか」
「しかし、得体が知れんぞ………」
「なら、特別な手柄になるんじゃないか」
唐傘兵達は、話し合い標的をロンに変えたようだ。
「ゲゲッ、さっきの奴等か!? いったい皆、俺に何の恨みがあるんだよ〜〜〜!」
狭い摩天楼の間へ、逃げ込むロンとコルル。
コルルの翼も、唐傘兵のプロペラも、スレスレの広さだ。右へ左へ切り返しながら楼の間を飛んでいく。
「待てーーー! こっちは、狭い所が得意な回転推進機だ!」
「ひぃ〜〜〜。何だよ、その竹トンボみたいな機械は〜〜〜!? うわっ、コルル前!?」
楼の間を曲がった先が、行き止まりだった。
『アギャーーー!』
『ガシッ ガリガリガリガガガガッ』
コルルは、楼の壁に爪を突き立て、しがみついて止まった。
「うっ、うゎーーー!?」
『バラバラバラ………ドカ〜〜〜ン』
唐傘兵は、突然現れた行き止まりに対処しきれず、楼の壁に激突して爆発した。
「ふぅ〜〜〜、コルルよくやった」
『コル〜〜〜』
コルルの背中を、さするロン。ゆっくり羽ばたき、舞い上がっていく。
『ズッ ビーーーーーーッ』
「うわっ!?」
楼から飛び上がった途端に、龍が放つ閃光が空を薙ぎ払った。
またしても、すんでのところで身を反りかわすロン。焼けちぢれるロンの前髪、さらに周囲の唐傘兵が燃え上がり落下していく。
「何と、反応の鋭い奴だ! 生まれが違えば、我が娘のいいなずけにしてやったものを………。とりゃ〜〜〜!」
「うゎ〜〜〜。竜巻オヤジの婿養子なんて、ゴメンだね〜〜〜」
水路の上を、低い高さで飛んでいくロンとコルル。それを、薙刀を振り回して追いかけるゲンブ。
やがて、都の玄関口である巨大な吊橋にさしかかってきた。
「お父様、やめて!」
逃げるロンと追いかけるゲンブの前に、チェンが操る青龍が飛び込んできた。
「うわっ!?」
「なぬ!?」
とっさにかわすロンとゲンブ。ロンが操るコルルは水しぶきを上げながら吊橋をくぐり、ゲンブが操る龍は吊橋の上空へ高く舞い上がった。
「ん!? アレは、バサラの船? 最近座礁した貨物船で何を? そうか、あそこを根城にしていたか!」
高く舞い上がった事で辺りを見回したゲンブは、バサラの拠点を発見したようだ。
ゲンブはロンの事をそっちのけにし、座礁した貨物船の隣に停泊するバサラの船に向かい飛んでいった。
「あのオッサン、急にどうしたんだ…。ってか、お父様って言った?」
「だったら何だ?」
飛び去るゲンブを見つめながら、呆気にとられるロン。ふとチェンの言葉を気にかけたずねるが、そっけない態度でゲンブの後をつけていくチェンだった。
「まっ、待ってくれよ〜。何で、そっちに行くんだよ〜」
しぶしぶチェンが乗る青龍の後を、追いかけるロンとコルル。
バサラの船を、見渡すように旋回するゲンブ。
「天に抗うバサラよ! 正々堂々と、姿を見せ〜い!」
船上に、色白の少女がたたずんでいた。
ハナである。
すっかり暗くなった運河に、月明かりに照らされぼんやり浮かび上がっていた。
ゲンブは、龍をバサラの船にいるハナのもとへ寄せ、飛び移った。
『カキ〜〜〜ン』
突然、光る刀身がふりかかり、とっさに打ち止めるゲンブ。
「さすがは龍騎士隊長、衰えは無いようで………」
「こんな所でコソコソと、武人の将としての誇りはどうした? バサラ殿」
「荷物を待っているもので…。ハナさん、下がっていてください」
暗闇から、光る刀身を引っさげてバサラが現れた。
対峙するバサラとゲンブを、空中から視認したチェンとロン。
「お父様!」
「あれは!? ハナ〜〜〜!」
チェンとロンの声に気づくバサラとゲンブ、そしてハナは精一杯の声でロンに返事をした。
「あっ………、ロ〜〜〜ン!」
ハナの視線をたどり、ロンを睨みつけるバサラ。
ゲンブは、近寄るチェンを制止した。
「邪魔をするな、チェン!」
その時、バサラの船が大きく揺れ始めた。
『ザバ〜〜〜ン』
水面が盛り上がり巨大な何かが、チェンとロンの行く手を阻む。
水が滝のように流れ落ちると、白く巨大な鋼鉄の虎が姿を現した。
鋼鉄の虎の頭が開き、中からシシアカが立ち上がる。
「バサラ様、助太刀いたします」
「何処を、ほっつき歩いておった!? ………ほぉ〜、コレはまた立派な…。ハッハッハッハ、気に入った。“白虎”と名付けよう! そやつらを遠ざけておけ。武人の本分を済ませたら、私自ら操りたい」
「御意」
シシアカは唐傘兵が使う物と同じ回転推進機を傘のように広げ、ロンとチェンを睨みつけた。
「やはり…、貴様達は愚か者だ。こんなモノを準備して、本当に白龍さまを………。ええいっ、成敗してくれる」
ゲンブは薙刀を振り上げ、バサラに飛びかかっていく。
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