第三話「好きな場所」

 僕にはお気に入りの場所がある。

 窓際、ご主人の布団の中、炊飯器の上。基本は暖かい場所が好きだ。

 そんな僕が一番気に入っているのはご主人の手のひらの上。彼女の手はとても冷たい。けれどもそれが僕にとっては心地良く感じる。不思議だ。やはりご主人はただ者ではないのだろう。

 ちなみに、ご主人の布団の中に入る時は注意が必要だ。彼女はよく寝返りをうつので、潰されないようにしなければならない。そのため僕はかけ布団の隅で眠るようにしている。要するにいくら甘えたくてもご主人にくっつくことができないのだ。

 もう少し自身のサイズが大きければ可能だったかもしれないが、こればかりはどうしようもない。

 悔しいが我慢するしかないのだ。

 それに関してはご主人も気にしているらしく、最近になって僕専用のベットができた。

「これでメランもゆったり寝られるよ」

 そういうことじゃないんだ、ご主人。

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