第3話 魔女の気まぐれ



 何もない空間が広がっている。


 ゼロという数字が飛び交っていて、意味が分からない。


 これは一体なに?


 私は首を傾げた。


 電子空間を泳ぐ私には分からない事だらけ。


 でも別にいいかな。


 きっと、それでいいかな。


 分からなくてもいい。


 分からないままでも、困らない。


 私は電子空間を泳ぎ続ける。


 好きなときに、


 好きな場所へ。


 ああ、こんな生活がずっと続けばいいのに。


 きっと、ここより良い場所なんてないわ。








 あるところに、気まぐれな魔女がいた。


 魔女は壊れた箱庭の記憶を集めて、紡ぎ合わせた。


 それは真剣な作業ではないから。


 完全にはならないし、正しくはならない。


 醜く、壊れた、玩具にしかならない。


 だから彼女は電子の世界にとどまったまま動かない。


 次の世界にたどり着けたけれど、そこから何もしない。


 何かをすれば、何かが変わったかもしれないけれど。


 何もしないまま。


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