壁

文久を迎えるすこし前の頃の話である。

江戸では「力の斎藤」と恐れられた神道無念流の練兵館、その「双璧」と讃えられる桂小五郎と渡邊昇が二八蕎麦を手繰りながら雑談をしていた。なんでも、あくる日は互いに「用事」があるとのことだったが、気脈のしれた二人であったのでお互いに「いつものこと」と深くは考えなかった。

しかし、この「用事」が思いがけない場所で、思いがけない事件を引き起こすことになる。その顛末をここに記す。

※本作品は幕末という時代をテーマにしたフィクションです。実際の歴史上の人物、団体および事件とは無関係です。

ノベルアップ＋掲載作品【https://novelup.plus/story/254770374】