属性過多転生 

@danboru1232

100年続く戦いの始まり

1話

「こんにちは、人間さん」

「こ、こんにちは」


目の前に居る美女ににこにこで話しかけられる自分。

数分前の出来事が頭の中に残っており、状況が読み込めないまま返事をする。


「君は死にました。その実感はあるよね?」

「は、はい。自分は何かに撥ねられて死んだような気がします」

「うんうん。結構!僕はね君に転生をしてもらいたいんだ」

「て、転生ってあの…転生ですか?」

「そうそう、あの転生ね」


腕を組み、指を立てる彼女。

なんだか現実味がなくて、夢を見ているようだなと感じていると目の前の彼女は話しかけてきた。


「それでね。君の魂をこの世界に呼んだ理由はすごく簡単で、趣味が合いそうだったから」

「しゅ、みですか?」

「うん。僕はねヒーローとか魔法少女とかが颯爽と現れて人々を救うのが大好きなんだ。君もそういうの大好きだよね?」


そういわれると自分も彼女の言うシチュエーションが大好きだったような気がする。


「そこで、君には僕の作った世界ですごく強い能力を持って転生してもらうことにしたんだ」

「すごく強い能力ですか?」


ファンタジー系な世界なのかなとは思ったが、彼女の話す世界は一部分を除いて自分の世界と大差なかった。


「うん。ちょっと自分の世界で君たちの世界みたいな世界を巻き込んだ戦争をしそうな気配がしたからさ、それを止めるために共通の敵になるように怪物を作って世界に流したの。一応団結して怪物処理をしてくれているんだけど、ちょっと強すぎて人類がこのままだと滅亡しかねないんだよね」


そう言い彼女はこちらを見て「だから」と付け足した。


「そこで君の出番さ。ヒーローのように突如として日本に現れ、化け物を倒していく。後で詳しい話はするし、自分の世界だからゲーム感覚でいいからヒーロー…やってみない?」


手を差し出してくる彼女。

非現実的でなんとも実感がないが、自分は楽しそうだという好奇心で彼女の手を取った。


「あは、それじゃ契約完了だね」


そして自分はいつの間にかあった椅子に座らされるとゲームのステータスウィンドウのようなものが目の前に現れた。

そこに映っていたのは見事なのじゃロリっぽい金髪のお狐様が居た。


「こっちで君の転生後の肉体の雛形は作ってみたんだ。おっとなんで女性なのかという質問は受け付けないよ。で、これを見て君はどう思った?素直な意見が欲しいな」

「あー…すごく普通だと思いました」


彼女は神様であり、機嫌を損ねれば何をされるか分からないという若干の恐怖はあったものの、何かを隠して嘘をつけばさらにひどい目に合うという直感から自分は思ったことをそのまま言う。

すると神様は笑みを浮かべ、頭を縦に振る。


「うんうん。それじゃ、君がそこから創り上げてみて。ゲームのキャラデザみたいな操作感だから」

「はい!」


そう言われ目の前のキャラを自分の好みに改変していく。

どのぐらい時間が経っただろうか。自分の趣に合わせたキャラクターが画面の中に出来上がっていた。


「おお、なかなかいいね。どんな感じに変更したか教えてもらっても?」

「はい!見た目は180前後の高身長にし、糸目の黒髪、顔は可愛いよりも綺麗に寄った顔つきにしました。胸は…自分の体なのであまり大きいと不便だと感じ控えめにしてます。服装は平常時は巫女、戦闘時は見た目では女性か男性か判断できない程重装備に包まれた武者鎧。武器は刀、強さの調整ができる式神を召喚することができて、別の姿を持っています。力を解放し続けると体が溶け始め、完全に溶けると中から神様が創ってくださったのじゃロリをかなり小さくしたものが出てきます、ちなみにこの状態は武士ではなく獣みたいに戦うという設定です!ちなみにどちらの姿でも尻尾で物が持てるようにしました!」


かなり早口で喋ってしまったが大丈夫だろうか?

神様は話の途中で目を瞑り、無言で頷いていた。機嫌は悪くなっていないような気は下から問題ないと思うけど…どうだろうか?

すると神様は無言で拍手をし始めたと思ったら、今度は目を覆った。


「神様?」

「だ、大丈夫!さすがは僕が見込んだ子だ!素晴らしい!すっごい趣があっていいよ!!」


しばらく神様の暴走状態は続き、自分のキャラを見て途中でシンバルを持つ猿のおもちゃで見たことあるような動きを少しだけし始めたときは本当に大丈夫かと心配した。


「ふぅー…ふぅー…うん。落ち着いた」


元に戻った?神様は自分を送る世界について話し始めた。


「今は大体1800年前後位かな?少し違うけど大体は君の世界と同じだと思ってくれていいよ。それでね、君が転生した後100年位戦ってほしいんだ」

「100年ですか…」

「うん丁度100年。その前に怪物について話さなきゃね。怪物は僕が少し前に言ったように世界で起きる大きな争いを止めるために生み出した世界共通の敵ってのは覚えてるね?」

「はい」

「で、その共通の敵はどこから来るっていう話なんだけど次元の亀裂…あっちの世界だと『悪魔の巣』とか『地獄の穴』とか言われてるね。で、これを閉じていくのが君の仕事なんだけど…正直君一人が本気出したら一瞬ですべての穴が閉じるぐらいには君を強くしているから、周りの人と協力してい君という存在を強く世界に刻み付けて欲しい」


刻み付ける?世界が平和になるなら全力を出して穴を閉じても世界に自分の名前を刻めると思ったが、少し神様の考えとは違うらしい。


「人間って意外に白状だからさ。君が全部片づけちゃったらさ、すぐに君のことを忘れちゃうよ?だから最初の100年で世界に君が居たということを刻み、100年後位にもう一度君を世界に送る。そういうシナリオにする予定なんだ」


そこまで自分を刻み付けていったい何をさせるつもりなのか疑問に持ってきた。

そもそもそこまでして神様にとっていったい何の徳になるのだろうか。

自分は素直に疑問を神様にぶつけてみた。


「んふふ、今は内緒。100年後、僕の本当の目的を話すから行っておいで」

「分かりました」

「詳しいことは君の頭の中に入れておくから、気楽に過ごしてねー」


神様が手を振ると自分の視界がどんどんと白くなっていく。

自分があの姿に生まれ変わってこれから100年戦うんだなと思いながら、世界は白く染まった。

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