07/21


俺たちウサギは厄介なもので他の動物に比べれば年中発情期で妊娠可能という羨ましいやら悲しいやらなドスケベ一族なんだ。


ムラムラしてるとイライラしやすいし街中でおっ勃てて女のケツを追いかけ回すわけにもいかないから社会性を保つために薬の服用をしている。


生理周期を調整するピルみたいなもんで、体は若干キモチワルくなるけど身体から発情期特有の匂いをばらまいたり誰彼構わずに体をこすりつけなくていいと言うのは俺たちにとってもメリットが大きい。


街に繰り出して男を誘う女バニーには飲んでないやつも多いけど。


フェロモン出るし、それが誘っていい“メス”という合図であるというのは既に世界の暗黙の了解だ。


そのため、飲むのは性欲をもてあました肉食動物なんかに路地裏に連れ込まれるリスクを減らすために大事なことなのだ。



そんでもって今深夜2時何が起きてるのかというと、ヴィリー(16歳、オス、彼女なし)が俺の腰を掴んでかつんかつんと腰を振りまくっている。


「はあっ、はあっ、」


吐息が耳にかかって毛も湿り気を帯びてきているのが分かる。


香ばしい匂いが鼻腔を刺激して頭の奥から胸までがざわざわし始めてきた。


時折ヴィリーの身体がびくん、と震えて深い息をついたと思うと栗の花の香りがほのかに漂う。


その香りにあてられてまた腰を降り始める、もうずっとこの繰り返し。事の発端はこうだ。





明日から夏休みだし、みんな遊びに出てるだろうから街へ他校のメスをナンパしに行こうと繰り出したはいいものの、そこは“街”であり、似たようなことを考えたオスと、それにあやかり財布だけ出させんとするメスでごった返す欲望うねる魔境だった。


そしてどうなったかと言うと社会的ステータス、経済力のある“怪しい化粧品広告で稼ぐ金持ち大学生”や、“一流企業の社員証を見せてアピールする新卒社員”が総取りする、まさに弱肉強食の世界ができていた。


昨今の女子高生は夏、海とか彼氏の家ではなくバリ○ンの無駄に広いベッドでその花を散らすのだ。


もちろん金もなく性欲だけいっちょ前の制服に着られている股間は膨らませずとも興奮で耳がふくれたウサギ男子2人など相手にされるはずもなく…


最終的に夜19時、ダメ元で駅前で客引きを始めていたバニー服を着たドワーフウサギの女に声をかけたら唾を吐きかけられた。



_____


「夏にする青春って、何もメスがセットでなくてもいいよな。2人で酒飲んでみるとかさ!」


「…そぅだよねぇ。お前といれればそれでいいよ。ナッツとウイスキー買おうぜ。コーラで割ってさ。」


そう言って一人暮らしの俺の部屋にヴィリーを招いて100円大豆バーガーとか食べながら金持ちと尻軽に悪態をついて夜を過ごした。


どこにでもいる、普通の普通の友達と過ごす普通の夜だった。



このとき子どもで頭が溶けていた俺らには薬を飲むアラームは意識のシャットアウトで通り過ぎてしまっていたみたいだ。


俺は飲みすぎたのか体は重たいけど意識と感覚だけはハッキリして、血中のアルコールのせいかヴィリーが欲望のままに腰骨に股間を当ててくる度に胸がどくりどくりと高鳴ってくる。



程よくくびれた腰を掴まれて、耳元で


「ごめんっ、止まら、ないっ」


意識はあるのか、謝りながらも性欲を抑えきれずにまたズボン越しに俺の尻に発射していた。


発情とアルコールのセットで自分の行動が制御できていない。


振り払うことだってできたかもしれないけど、それをするとヴィリーはきっと傷ついてしまうだろうし、酒を飲んだのだって2人で決めたことだから、何も知らないフリをしてやり過ごすのが1番だと分かっている。


そんな僕の気持ちとは裏腹にヴィリーは僕の体を右に倒して、四つん這いの形にさせた。


ヴィリーと何度も一緒に見た、オスとメスの交尾体制だった。


…冗談…


「ホランっ、ホラン…」


お互いのズボンは穿いたままだったけど、上からうち下ろされる姿勢から出るピストンは、アルコールで敏感になった恥骨を震えさせるのに十分で、気づけば俺も荒い息が止められないでいる。


「はあっ、はあっ、ホラン、起きてる?」


「………」


「気づいてないなら、続けさせて、お願い…」


返事はしないけど、ヴィリーは絶対に気づいてる。

もう、止める気すら無くなったのか腰を広く離したかと思うと俺の肩を押さえつけて奥まで入れんと突き動かした。


「はあっ、ホランっ…」


がつり、がつりと激しくぶつけられるうちに俺のペニスも張り詰めていて、肩と一緒にベッドに押し付けられた顔は先程からヴィリーが出した精液の香りが染み付き始めていて脳を痺れさせる。


苦しいはずなのに、女にさせられて悪い気分じゃない俺がいた。


「ホランっ、もう、出っッ…」


ヴィリーの体が覆いかぶさってきて、ビクビクと震えているのを感じる。と同時に、お尻の辺りに温かなものを感じた。


染み出して来ているらしい。


果て切ったのか、ヴィリーとはそのまま寝てしまった。


俺は全然収まらなくて、夜通し自慰に耽った。



____


翌朝、汗でびっしょりとした感覚に気持ち悪さを覚えて目が覚めた。ヴィリーも同じタイミングで起き出し、俺な顔を見るなり泣きそうな顔になる。


「…気にしなくていいよ。調子乗って薬飲まなかったのは、お互い様だし。尻穴は無事だしさ。」


なんでもない、大丈夫だ、分かってるという顔で慰めるとやっぱり泣き出してしまった。


「ごめんよぉ、ホラン、誘ったのも全部俺なのに。酔ってて、どうしても止められなくてよ…」


「こういう失敗くらい、誰にでもあるって。ほら、夜通しイキまくってたんだからシャワー浴びてこいよ。ガッコのみんなにも内緒にしてやっからさ。」


「うぅ、ほんと、ごめんな…」


「いいからパンツ脱いでシャワー浴びて来いって。俺は布団全部引っペがすから。今日こそ女の子捕まえてモノホンにぶち込んで上書きすれば解決だって。」


いいからいいからとヴィリーを風呂場におしやる。程なくしてシャワーの音が流れ出したのを確認して、ベッドと向き合った。


そう、全部解決だ。


俺に欲情したことも、俺に射精しまくったことも、肩を押さえつけて犯しかけたことも、息を荒くして無様な姿をさらしたことも、全部秘密にすればいい。


ベッドに顔を擦り付けて、また大きくなった自分のモノを触り出す。


2回撫でるうちにもう出てしまった。脳が痺れる感覚が気持ちいい。


止まらない。また触る。


この夜起きたことも、ヴィリーの香りを嗅ぎながら自慰をすると気持ちがいいことも、強い力に押さえつけられることが悪くないことも、全部俺の中に秘めていればいい。


誰も知らない、俺たちの秘密が隠れたベッドにぱたぱたと精液が垂れていく。どろりとした液体を付いたばかりのシーツの染みに上から擦り付けると、より一層濃い香りになった。


鼻をこすりつけてもう一度だけ、もう一度だけと繰り返し自分を慰める。


シャワーの音がまだ止まない。


あそこには、もうズボンもパンツもないヴィリーがいる。


今あいつの姿を見たら俺はどうなるだろう?果たして止まれるだろうか。どんな顔をするだろうか。


それを考えているうちに、またベッドで果てた。








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獣人ショートストーリー集 智bet @Festy

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