第45話 ほのぼの

 厨房の中に入ると、二人が一生懸命に作業をしていた。 


 すぐに俺に気づき、慌ててやってくる。


「エルクお兄ちゃん! お帰りなさい!」


「エルク……お兄さん、お帰りなさい」


「ぐはっ……」


 素直な女の子の、お兄ちゃんからの笑顔でお帰りなさい。

 そしてツンデレ女の子の、そっぽを向きつつのお兄さんからのお帰りなさい。

 ……こいつはダメージがでかいですぜ!


「なにを膝をついているんです?」


「い、いや、シリアス展開が多かったから……つい、ほのぼのしちゃった」


「まあ、気持ちはわからないこともないですけど……ほら、二人が困ってるから起きてください」


「そうだね、さて、ではやるとしますか……というわけで、ほのぼのタイムです! アルル! アメリア! 復唱!」


「ふぇ!? ほ、ほのぼのタイムです!」


「ほ、ほのぼのタイム……?」


 俺が右腕を上げて宣言すると、二人がそれぞれ真似をする。

 その姿が可愛いらしいので、思わず俺は二人の頭を撫でてしまう。


「よく出来ました!」


「えへへ、褒められちゃった」


「……悪くないわね」


「全く……ほら、やりますよ」


 シオンが手を叩き、皆で調理場に向かう。

 そこには解体されたワイバーンなど、その他の仕込みが終わっていた。

 これが、二人に頼んでいたことだ。


「二人とも、ありがとね」


「えへへ」


「頑張ったわ!」


「うんうん、助かったよ。それじゃ……レッツクッキング!」


「エルクお兄ちゃん。ところで、なにを作るの?」


「頼んでおいたやつはある?」


「うん! こっちこっち!」


 アルルについていくと、そこには煮込まれている大きな骨達がいた。

 二人にはワイバーンの骨の処理を頼んでおいたのだ。


「おっ、良い感じだね。きちんと水洗いをして血合いを抜いたり、その後にきちんと砕いたかな?」


「うん! やったよ!」


「結構大変だったんだから」


「そっか、ありがとね。一番時間のかかるものが終わってるなら、あとは難しいことはない。それじゃ、二人は少し休憩をしてて。仕上げになったら、また手伝ってもらうから」


 二人は椅子に座ると、すぐにうたた寝をしてしまう。

 きっと準備をしながらも、心配しながら待っていたに違いない。


「ふふ、可愛いですね」


「んだね。 さて、今回のメニューは贅沢だよ。アルルとアメリアにも、お腹いっぱい食べさせちゃおう」


 探索で香草類や、肉やキノコは手に入ったし。

 元々野菜類と、アレとタイ米もある。

 これで、贅沢な三種類の料理を作っちゃおう。


「ええ、そうですね。主君、私は何をしますか? お手伝いくらいならできると思うのですが……」


「じゃあ、肉を一口サイズに切ってくれるかな? それを醤油とみりん、ニンニクと生姜、最後にお酒を少し入れて揉みこんでね。できたら、野菜類もお願い」


「それくらいなら私でも出来そうですね」


 シオンは役に立てるのが嬉しいのか、ニコニコしながら作業を始める。

 俺は大量のコンロにそれぞれ銅鍋を置き、水を入れて火にかけておく。

 後は、俺にしかできないであろう調理だ。

 フライパンを用意して、そこに砂糖と水を入れる。


「焦げないように、それでいてギリギリを……よし」


 キャラメル状になったものを平たい容器に入れ、これを数回繰り返す。

 容器の下にさらに大きなバッドをおいて、間接的に氷水に漬ける形にする。

 これで、粗熱が取れるだろう。

 ついでに、空いてる鍋で牛乳も温めておく 。

 すると、作業を終えたクレハが声をかけてくる。


「主君、終わりました」


「ありがとう。それじゃ、手伝ってもらおうか」


 ボールに卵と砂糖を入れ、それをシオンに混ぜてもらう。

 俺はそこに、少しずつ温めた牛乳を入れていく。


「ところで、これは何を作っているのです?」


「ふふふ、デザートです」


「デザートですか? ……果物はありませんが」


 そう、この世界にはデザートといえば果物だ。

 基本的に暑く、冷蔵庫もない世界では無理ない。

 貴重な卵や牛乳を、そんなことに使う発想もないだろう。


「まあまあ、楽しみにしてて……よし、良い感じだ。それじゃ、これを容器に流しこもう」


「ええ、わかりました」


 キャラメルが敷かれた容器に、作ったものを流し込んでいく。

 これを繰り返し、最後に大きな鍋で湯煎にかければ準備完了だ


「なるほど、これは中々に力仕事ですね」


「そうそう、シャカシャカ混ぜるの大変なんだよ。流石に、アルルやアメリアにはやらせられないし」


「ふふ、お役に立てて何よりです」


 俺は男女差別をしないので、力仕事であろうと任せるのです!


 これが適材適所という……合ってるよね?




~あとがき~


みなさん、本作品を読んでくださりありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))


悪役と氷魔法を使った三部作の三作目を投稿いたしました。


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「主人公に滅ぼされる悪役家族の末っ子に転生~今度こそ家族を守るために破滅フラグをぶっ壊す~」

 

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