第14話 豆腐の起源調べ始める人※食の話

 どうも、中華風ファンタジーを普段書いている人間、狩野緒 塩かのお しおと申します。


 第14話の題名を読んだだけでは豆腐の話だけかと思ってしまうのですが、今回のテーマは主に”食について”です。


 やはり、小説において食の表現は欠かせません。味の好みや好き嫌い、食べる所作など、登場人物の個性を出せる格好のチャンスです。その食べ物に関しても4つほど苦労話があるので話していこうと思います。



 第一の苦労話、梨という果物についてです。


 現代中国では梨は离という文字と音が同じらしく、離別を感じさせて縁起が悪いとのことで、親しい相手と梨を分けて食べたり、梨を贈らないらしいのです。


 それを踏まえて自分が書いた小説を読み返してみたところ……初対面の人間に梨出してるやないかい! しかも作中の季節的に梨の旬ではないのでそれもおかしい! 


 ということで、現在は該当箇所を修正してあります(ずっと放置していましたが、このエッセイを書くにあたり重い腰を上げて修正しました)。


 しかし、あくまで中華風ファンタジーですし、人にあげると縁起が悪いという意味は後世で作られたものだと思われます。作中の登場人物も人を招くのに慣れてない人達だったので、許してください!



 第二の苦労話、今回の話の題名にもなっている豆腐についてです。


 小説の最終話を書くにあたり、最後なので豪華な食事を作中で出してみたいと思いました。前に読んだ古代中国の食に関する本に豆腐が載っていたため、豆腐を小説に出してみようと思い立ちました。


 そのまま書けばいいものを、間違いがあってはいけないからとかどう調理されていたか気になると言って、豆腐の起源まで調べ始めましたよこの人。


 古代中国の豆腐に関する本はざっと見る限り無さそうなので、とりあえずネットを調べてみると、漢代に豆腐があったと後世の文献に記述があるだけで決定的な証拠はないやら、急に日本の豆腐の発祥の話をしだすやら、各サイトで適当なことが書かれています。


 決定的な証拠がない話を、出版されている本で書かれるのでしょうか? いや、学術書ではないにしろ、一応新書ですし、どこかに何か根拠があって書かれているはず……。


 そうしてどんどん調べていくと、謎の20年ほど前のサイトが出てきました。なんと、そのサイトには、漢代に豆腐を作る画像石が残っているとの記述が……。


 本当かどうかは分からないですが、ひとまずこれで良しとしておきましょう(もう調べるのに疲れましたし)。


↓そして、豆腐について調べた結果、出力されたものがこちら。(書いた小説の最終話です)

https://kakuyomu.jp/works/16817330665904417899/episodes/16818093086185943226


 ほとんど豆腐について出てきてないじゃないですか! この数時間、豆腐という二文字を書くために一体私は何を……。



 ◆注意◆ 動物好き(特に犬好き)の方は、今回↓の話、次の◆まで読み飛ばしてくださいね。そんな大げさなことは書いてはいないのですが、念のため。



 第三の苦労話は肉です。古代中国では、羊や豚、牛と同じように犬も普通に食べられていたそうで、古代中国の医学や養生に関する本を読んでいたりすると陰陽五行にあてはめられて普通に出てきたりします。


 現代日本の価値観において、犬はペットないしは家族であると考えている方も多いでしょうし、読んでいる人が引いてしまうので、さすがに小説内で食わせられんな~という感じですね。というか、書いていて嫌になっちゃうかもしれないです。



 第四の苦労話は、食器です。小説に出す料理を決めたはいいものの……モデルとしている時代の食器のことをよく知らない! そこで、調べてみると、器自体は出土品が結構見つかっているらしく論文も見つかりました。


 しかし、器の形によって細かく種類が分けられていますし、特徴も調べないとよく分かりません。現代で使用されていない漢字だったりもします。例えば、漢代には豆という器があったそうですが、食べ物の豆と紛らわしくて小説などで出しにくいですね。


 というわけで、私が書いた中華風ファンタジー小説では、漆塗りの器としか書いていません。ちなみに漆塗りの出土例は結構あるらしく、文化遺産オンラインなどでも漆塗りの耳杯(人の耳みたいな取っ手が付いた形の器)を見ることができます。中には文様がある耳杯もあり、写真を眺めるだけでも楽しいものです。



 今回は食に関する話でした。思い出せばまだまだある気がしますが、二千字を超えそうなので、今回はこれくらいで終わりにしておきましょう。


 食に関して調べていると、遠い過去の時代の人も身近に感じることができますね。古代中国と中華風ファンタジーは違いますが、食事シーンを通して、読む人にも登場人物のことを身近に感じてほしいと思いながら書いています。


 


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