結局守備が雑ですねん。

いたずらをした子供のように持ち上げられた俺は、顔面蒼白から一変。



「イェーイ!フジヤマー!!」



「ナイス、フジヤマー!」



「カモーン、フジヤマー!」



チームメイト達とハイタッチを交わして、平柳君とバーンズと3人で抱きあった。



「それでバーンズ、教えて欲しい日本のゲームとは?モンハンか?ドラクエか?」



「パチンコデース!」



「パチンコかよ!」



ともかくそんな男のホームランもあり、シャーロットが初回に3点を先取して、1回裏の守り。





カンッ!




「打ちました!ナイスバッティン!レフト前です!ロアスが今日も初回からヒット。ノーアウトランナー1塁です!」



打率3割をキープする、マイアミの1番も調子は良さげだ。



インコースのボールをしっかりミートして、シングルヒット。



また足を警戒しなくてはいけなくなった。





今のメジャーリーグは、同一ランナーに2回までしか牽制出来ませんから。正直、1回牽制したら、バッテリーとしてはきつくなる。



2回しちゃったら、1球はピッチングしないといけないからね。


ランナーとしてスタートのタイミングを計るだけだからね。リードも大きく取りやすくなる。



キャッチャーからの牽制もあるから、カバッとはいけないけれど、くぱあっぐらいは2塁に近付けますから、当然盗塁を狙う機会は増えていく。



「スティール!!」



内野陣が叫ぶ。投球は高めに外し、立った状態で捕球したロンギーが2塁にぶん投げる。




ビューン。




バシィ!



ズササーッ!!



「アウト!!」



素晴らしい。スライディングしたランナーのスパイクが入ってくるところに平柳君のグラブが置かれるような、そんな送球。



ストライク送球という言葉があるが、ストライクゾーンの高さだとセーフになってしまうタイミングだった。



ワンバンするかしないかのスレスレ神コース。



昨日は散々走られましたからね。子だくさんですから。簡単に盗塁を許すパパとは思われたくありませんのでね。



ロンギー、意地のスローイングで盗塁ランキングトップの足を止めたのだった。




「ボールフォア!!」



しかし、ウェブは珍しくコントロールを乱し、2番バーディーにはフォアボールを与えてしまった。



純粋な足の速さだけなら、1番ロアスを凌ぐポテンシャル。



また盗塁をケアするシチュエーション。同じように1度速い牽制を入れた後の2球目。



さっきと同じように高めに様子見しようとしたボールがバットの届くところに行ってしまった。




カキィ!!



打った瞬間、鮮やかなブルーのユニフォームに身を包んだ観客が立ち上がる。打球は右中間寄りのセンター後方。





レフトの位置からはよく分かる。



あかん。追い付かないやつだ。



しかし、バーンズは上空を見上げながら追っていき、フェンス際でジャンプ。




打球はその上を超えてフェンスに直接当たった。




バーンズの背中にあるフェンスに当たったボールがどういうわけか、フェンスに沿うような形。



ライト線に向かって勢いよく転がっていったのだった。



それを見たクリスタンテが逆を突かれるような動きになり、足を滑らせて膝を着く。



その光景を見た瞬間に悟りましたわね。




打った3番のマテオ。あの伝説の落球でお馴染みの。


7年前のプレミアム12にも出場していた、ドミニカ共和国の選手だが、この人も3年前の盗塁王である。



35歳とベテランの領域に入っている選手ではあるが、高い身体能力を生かしたプレースタイルは健在ですから。



色黒の長身マン。大きなストライドでグングン加速していきながらあっという間に2塁を蹴る。



クリスタンテがフェンス際を罰走のようにダッシュし、ようやくボールに追い付いたが、一瞬握り直してからカットマンへ。



マテオは大歓声を背に受けながら3塁も回る。



セカンドザムからのバックホーム。ロンギーの真っ正面に返ってきたが、ショートバウンド。



それを上手く捌いてタッチにいくが、それはランナーの背中。一瞬早く、ヘッドスライディングを決めたマテオがひっくり返りながらガッツポーズ。



乱暴に抱き起こされながら、落ちたヘルメットを拾って、笑顔でベンチに戻っていった。





「バッティフォー、ファーストベースマン。ナンバーテン!シェンドリーックス!!」




シュドッ!




「いったー!!レフトスタンド!!4割打者は見向きもしません!!……ここまで飛びましたー!!マテオのランニングホームランの後は、シェンドリックスに久々の1発。22号ソロで、すぐにマイアミが同点に追い付きました」



打たれた瞬間に、グラブを外してスパイクの紐を結び直したもん。レフトスタンドの上段。深い1階席を超えて、2階席の奥の方に飛び込む特大のホームラン。




平柳君の先頭打者ホームランと、バーンズの泳ぎ左中間最深部ホームランのリードがあっという間になくなってしまった。



そして途端に連続三振でチェンジになるという不思議。



そして試合はそこから膠着。



両エースが初回の3失点でお目覚めしてしまったようで、バッターはキリキリ舞い。



クリスタンテの打球だけですかね。変化球を引っ張って、ポール際に飛ぶ打球になり、フェンスかポールの根元に当たったかでビデオ判定になったやつ。



結局、ポールには当たっておらずのツーベース止まりになり、後続は生かせず。



マイアミのアンテラ、シャーロットのウェブ。互いに7回被安打5、6奪三振、3失点で、痛み分けのマウンドを降りていったのだった。






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