第2話

 

 私はねぇ、「諦める」のが嫌いなんだ。


 諦めて、ラクに生きていこうとする、軟弱な奴らが嫌いなのだよ。


 本当の願いは、諦められる程度なのか?

 純粋に、率直に思ったその想いは捨てても構わぬ程度のものか?


 他人などどうでもいい。家族も友人も、他人の意見などどうだっていいのだよ。


 私は君の切なる願いをこそ、聞きたい。


 ずっと、こらえて我慢してきた、その心のうちこそに、宝がある。



 ……宝を宝と見ない連中がその価値に気づく前に、こっそり掘り出して、泥を払って、磨いてみよう。


 それは素晴らしい光を放つ、何億何兆を払っても手に入らない宝石に違いない。掘り出したそれは、この世で唯一無二の、お宝だ。


 私は、お宝には目がないんだ。


 その価値はいかほどか。その輝きは何色か。その在り方はどれほどに美しいものだろうか。


 私はこの世の全ての宝を手に入れるために、生きてきたのだ。


 その辺に転がっていて、既に価値が分かっているものなど、興味はない。


 そうではなく、未だ見出されず、くすぶっているお宝。それこそ、興味の対象だ。


 ……そして、ゆくゆくはその宝をすべて暴き出し、日のもとに晒し、我がコレクションの一部となってもらいたい。


 私は、すべての人の心を自分のものにしてみたいのさ。

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喰ってやる 鈴乱 @sorazome

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