第2話 国民的アイドル
僕は今、国民的アイドルの白石 月崋(しらいし げっか)の抱き着かれている。
今の僕が週刊誌に取り上げられたらネットで沢山叩かれるだろう
「お前……見知らぬ男に抱き着いてさ、芸能活動に終わりを迎えてもいいのか?」
問いかけど問いかけど
ひっくひっくという嗚咽しか聞こえないわ、俺のワイシャツは涙でびちょぬれだわでもう最悪すぎる。
‘‘ガラガラ‘‘
保健室の扉が開く音がした
「季華(きが)くーん?体調大丈夫?」
保険室の先生が来たみたい
まずいぞ、非常にまずい
この状況一般人からしてみたら
泣いている国民的アイドルを抱いている一般学生だぞ!?
てか、改めてこの状況字面に起こすとやばすぎるだろ……
さっきは冗談でゴシップなんて言ったが今のこの状況を見られてしまったら……
「季華(きが)くん?あれ?寝てるのかな、カーテン開けるよー?」
そもそもなんでこいつはまだ泣いて抱き着いてるの?
馬鹿なの?
俺を殺したいの?
「開けるねー」
詰んだ
潔く俺はネットで叩かれることにしようと思う
‘‘シャー‘‘
カーテンが開かれる
「あっ!季華(きが)くん起きてるじゃない!返事しなさいよー」
「あはは、さーせん」
あぁ、終わった。人生終了のお知らせが天界から舞い降りてる。
「急に倒れたって聞いたけど大丈夫そうね、安心したわ」
「なんかくそ頭いたかったんすけどもう治りました」
「じゃあさっさと授業かえんなさい、じゃないと留年するわよ。あんたが沢山遅刻してること私知ってるんだから」
留年も何ももう学校にすらいられなくなるんじゃないか?
この状況
「あ、はい。先生はこの状況を見ても何も言わないんすか?」
「だからさっさと授業に戻んなさいって言ってるでしょ」
「いや、国民的アイドルさんが今俺の胸にいらっしゃるのですが」
「は?誰もいないじゃない。あっ!それもしかして先生に対する口説きぃ?」
は?ちげーよ何言ってんだこのババア
「違いますよ!いるじゃないっすかここにあの白石 月崋(しらいし げっか)が」
「はいはい、妄想はそこまでにしてさっさと教室帰ってねー。私向こうのガイダンスルームで作業してくるからそれまでに帰んなさいよ」
そうしてババアはどっかいった
「なんだってんだ……一体。なんでみえてないんだよ」
あの先生は見逃してくれるとかそういうのじゃなくて
単純に見えてなかったんだろう。反応がそうだった
てかいつまでくっついてるんだよ、こいつ。
「だぁーー!!いい加減離れろ!!」
抱き着いてくる彼女をベッドにドンッと押しのける
「あぁーもうびちょぬれだよ!」
「……のに」
「は?」
白石はぼそぼそと何かを言っている
「なんだよ」
「……貴方に見えたからなにか変わると思ったのに」
「けど貴方は私が見えるんだよね?」
え?ガチ怖いこれなに?学校使ってホラードラマの撮影中?
俺エキストラ?
悲鳴とか上げたほうがよくて?
「み、みえますけど?」
「よかった……よかった……」
そう嗚咽交じりに呟く彼女
「でこれはホラードラマの撮影かなんかっすか?」
「撮影?違うよ。私ね透明人間なの」
「は?」
何故この世界の誰も疑問に思わないのだろうか ぺけらんど @pekerando
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。何故この世界の誰も疑問に思わないのだろうかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます