第4話 運命を分けたのは
はぁはぁ。
息を切らし走って来たレーキは、木に寄りかかり背を預けた。
死んだモンスターと主人公のオーランを見下ろす場所から観察する。
この後、二人の幼馴染が駆け付けるはずだ。
本来は、その二人が止めをさす。
「オーラン!」
女性の声が聞こえ、幼馴染がオーランへと駆け寄る姿が見えた。
こげ茶色の外套のフードを被った魔法使いに、腰に剣を下げたオーランと同じぐらいの年齢の青い髪の少女。
(間違いない。クローズとナギだ!)
レーキは、二人の姿を見て、オーランは大丈夫だと安堵する。
フードを被った方がクローズで剣士がナギ。クローズは、フードをとれば今のレーキと同じ濃い紫色の髪だ。
(オーラヴェイラーの世界で間違いない。でも僕は、前世を思い出す前に光の光線を一度放っている)
時間的に言えば、ゲームでも光の光線を一度は放っていただろう。
運命を分けたのは、前世を思い出しもう一度光の光線を打てた事だ。
ゲームでは、オーラン目線だったので、一度画面が暗くなり目を覚ませばレーキは死んでいる。
もっと言えば、レーキが光の光線を放った事によりオーランは命拾いしているのだ。
だがそこは、描かれていなかった。
そしてもう一つ、描かれていない事がある。
オーランとレーキの出会いだ。
商人を装っていたからか馬車が襲われ、そこへオーランが通りかかった。
その時、彼は一人だった。
レーキを助けたオーランは、目的地であるテルテルタウンは歩いて行ける距離だと言い、それならレーキをお願いしますと連れが言うので一緒に歩き始めたという経緯がある。
馬車は壊れ、レーキと一緒に行動していた二人は怪我をしていたのだ。
腕が立つオーランといる方がいいと判断したのだろう。
(三人とは関わらない方がいい。僕の生死がストーリーに影響を及ぼす事はないだろうし)
モンスターとオーランが出会った事でストーリーが展開していくだけで、レーキが死んだことでオーランたちが何かに巻き込まれるストーリーではない。
レーキは、テルテルタウンを目指し歩き出した。
(あのモンスターはなぜ、あそこにいたのだろうか。ストーリを進める為だけなのだろうか。でも、普通はいないよね?)
ゲームは、ダンジョン型RPGだった。
なので、ダンジョン以外の場所に普通はモンスターはいない。ただ、モンスターは増えすぎるとダンジョンから出て来るという設定にはなっているので、いてもおかしくない。
(あのモンスターは序盤のモンスターじゃないからこの辺には居ない。だからオーラン達だけでは倒せない。つまり、僕の最初の一撃で、瀕死になったんだ)
威力から言えば、オーランよりレーキの方が威力があったのは間違いない。
しかもレーキは続けて光の光線を打っている。
ゲーム上、オーラは連続で使えない。
その事は、前世を思い出したレーキは知っていた。
だからオーラが使えた事も驚きだが、連続で使えた事に更に驚いた。
(前世を思い出したからと言って、連続で使えるなんてあるのだろうか? それともゲームでは連続では使えなくても、この世界では使える? だったら無敵になっちゃうんだけど)
オーラは、魔法とは違い魔力を必要としない。なので、何度も使えるならボス級のモンスターを簡単に倒せる事になる。
(いや、何度も使えるならオーランは即座に使って倒したはずだ。って、やっぱりテルテルタウンは遠いじゃないか)
モンスターと出会うまでに、一時間ほど歩いていた。だが、街並みすら見えてこない。
オーランが言った、歩いて行ける距離とはどれくらいの距離なんだと思うも、移動手段が徒歩しかないので歩くしかなかったのだった。
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