第27話 とまどい②

 ちょっと、待て。

 何で泣いてんの俺。疲れてんのかな、何、この気持ち……なんかヤダ。おかしいのか、違う、違うそんなんじゃない。えっと、違う。嬉しいとかはない。


 わけもわからず、み上げてくる感情に戸惑とまどいをかくせないまま、涙が出てしまった。あー、もう、なんかヤダ。


 ちゃんとした人を好きになる。


 これまでの自分の中の価値観かちかんこわれていくのが怖い。本命は、違う、もっとちゃんとしてる。あんな女じゃない。優しくて、思いやりがあってひかえめで、かみがサラサラでツヤツヤで長くて……。きちんとしてる女性となんだ。


 なのに、なんで……


 心の中に浮かぶ、彼女の名前。口に出そうものなら、あふれ出す分からない感情を止められなくなりそうで怖い。これは、一時的なものなのか? どうしたらいいか分からなくて、泣いてしまう。


 涙をぬぐって、大きく深呼吸しんこきゅうした。


 何考えてんだ俺、もしかしたら他に付き合っている男がいるかもしれないだろ。

 心を落ち着かせるために、もう一度、深呼吸をした。


 だったら、2人で行くか、買い物やご飯なんて……。


 もう、なんで出てくるんだよ。せっかく、めかけたのに。1人で、葛藤かっとうしていた。話していた時には、こんな感情はなかった。2人でいたときも別にこんな気持ちはならなかった。何でだろう、分かんないや。考えても、きっかけの理由が見つからない。あの時、一緒に喜んでくれた。一緒に買いに行ってくれた。


 たいしたことは、何もなかった。


 思い出とは言えない、過去のことが出て来る。どうしよう、どうしたらいいんだ。この気持ちが何なのかも分からないし、どうあつかって良いのかも分からない。ちょっと、ダメだ俺。なんか、しっかりしなきゃ。いつもの俺と違って、違う俺が出て来て、分かんなくなった。
















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