第34話 逃げ③

 ダメだ、俺には自信が無い。いくら年上の女性だからといって年が離れているし、きっと話題も合わない。もし、きちんと向かい合ったら、それはそれでキレイな話なんだけど、これはドラマの中ではない。一応、彼女の育った時代やトレンドを調べてみた。


「分かんねぇな、一応、言葉としては聞いたことはあるんだけどな」


 その年代の流行ったものや人気のあった音楽を調べてみたけど、知ってる!ってなったものは……無かった。アニメも映画も。多分、そのころは子供だったからだろうな。あっ、でも待てよ。食べることが好きなんじゃなかったっけ。もしかしたら、流行りものとかより、ご飯とかが好きだったりして。じゃあ、そんな気にしなくていいのか。まぁ、でも話題がなぁ、合わないよな。


「10歳差かぁ、大きいよな。しかも、年上だから相手にもされないか。友達?」

 沢村と話をしていた時のことを思い出した。それぞれの年齢になって感じたことを話をしたこと。何だろうな、この感じ。ちゃんと思ったことを話してたな。お互いに対等に話が出来た感覚かんかく。30になって、もっと落ち着いた大人になっていると思ってた。


 色んなことを経験して、もう何が来ても大丈夫って感じで、家族もいて頼りになるお父さんにでもなってんだろうなって思ってたけど、現実はちっともそうじゃなかった。周りが身を固めるじゃないけど、家庭をつくることを耳にすると、最初は、いつかは俺もって興味津々きょうみしんしんで聞けたけど、今はかなうかも分からなくなってきたから遠ざけていた。


 やっぱり、年は近い方が良いのかな。沢村は気にしてないようだったけど、そもそも男女の友達ってあり得るのか。そのようには、はじめから見てませんよってことか。少し考えて答えを出して、落ち込んだ。なんで落ち込むのかも分からないけど、何度か期待しようとして考えて、現実を直視ちょくしすると止まった。


 想わないようにはするけど、でも影響えいきょうはあるんだよな。沢村の言葉で、なんであそこまで行動的に変わっていったんだろう。料理も少しずつ始めて、会社に弁当を持って行くなんて。これまでの俺からは考えられなかった。女性の言葉一つで、変わるなんて。なんでなんだろう。


 俺と真正面ましょうめんから、対応してくれたからだろうか。他の女性の前だとカッコつけて、本来の自分を出さずに、ボロが出ないように必死につくろっていたからかな。


 この素直さや嬉しさは、なんて気持ちなんだろう。

考えれば考えるほど、自分の気持ちが分からなくなってしまった。





























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る