悲哀

「ク……クソが……騙しやがったナ……お前に力が使えると見せかけて」

「そうだよ?自分で自分を刺しちゃったね」

 けろっとしているヘリオは、つかつかと魔装核兵に近づいていった。

「いつからダ、いつから狙っていた」

「ゴブリンを倒すところから、ちょうどいい群れをみつけてね、起点を利かせたレネがいったの“レネとネーラで攻撃するふりをして、あなたの能力で剣を赤くそめれば”って」

「しかし、これもまた……“非情サ”か、人間ごときに負けるなど……非常さで」

「私は……」

 ヘリオは、魔装核兵に近づく、そしてその刀にふれる。無意識的に体が震える。血が恐ろしいが、恐ろしいながらもむしろ心音は跳ねるようにたかなる。むしろそれに反して、生命の危機を感じて、冷静になる。まるで両親が死んだときのように、苦しむ間もなくまるまっていた母と、それを庇うように抱いていた父、家具におしつぶされて変形し、流れる血からできた血だまり。

「なんだ……泣いているのか?」

「!!」

 そんなわけ……そうおもい自分の目の下に手を伸ばす。みるが、血がまじって、それが涙かどうか判別がつかなかった。

「お前は……やはり人間だ、ならばどうしテ私を倒せるのか、お前は、答えをみつけろ、この剣はマダ使えるダロウ、お前がもて」

「ちょっ!!」

「情けナドかけるな、勝者は、勝者なりの答えを探せ」

 そういうと、魔装核兵は、自分で自分の剣にてをかけ、腹を引き裂いた。

《ブシュウゥウウ》

 その腹部には、煌々と燃える意図が絡まったような球状の“核”があり、それを破壊した。そして魔装核兵は、跡形もなく砂となり消えていくのだった。

「……」

「ねえ、ヘリオ、ねえ……倒した……の?」

 ネーラが心配そうに呼びかける。

「ええ」

「どうやって?あなたも、魔装核兵みたいに“非情”になれたの」

「あるいは……情じゃない、意思か」

「どういう?……」

「それより……エイブスは」

「!!エイブス、エイブス!!」

 ネーラは狂ったようにエイブスのもとに向かった。ヘリオもかけつける。ヘリオは、エイブスの様子をみて愕然とした。応急処置を加えられているが、魔力の消費が激しい、これでは免疫機能にも問題が生じるかもしれない。

「何をやってたの!!」

「私、私は……」

「どうしたの?」

「私、私、自分の大事な人が、こんな目にあったことがなくて、どうしたらいいか、わからない、混乱して、頭がまとまらないの……」

「……あんたは、私につらく言ったでしょ、あの感情を思い出してよ」

「わからない、わからない……ただ」

 なきはらしてはれた涙袋をみせて、ネーラがいった。

「お願い、私をぶって」





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