第66話 親子の再会

ドドドドド

「報告!!」


「全軍停止!!」


前方から先行させた手勢から伝令が来た為

部隊を止める。


「ハッハ…どうしたッ」


劉良は、流れる汗を拭いながら質問する。


劉良達は、公孫瓚の軍から離れ強行軍で馬を走らせ両親がいる村に向かっていた。


「はっ偵察が戻りまして

 どうやら戦いの後はありますが

 賊はおらず無事の様です。」


「そうか…それは良かった

 とりあえず村の近くまで行こう」

「「「はっ」」」


劉良達は、村に前触れを出した後向かう。


「開門!!」


劉良達が南門から入ると高順が歩いてくる。


「劉良!!」

「叔父上よくご無事で!!」


劉良は、馬から降りて挙手する。

村の外は、激しい戦いの後があり心配だったが村の中にまで入られていないようだ。


「うむ、…それよりも劉良

 兵は、部下に任せてついて来てくれ」

「えっ?あっはい」


劉良は、兵達を趙雲達に任せ高順の後をついていく。


「ここで着替えてくれ」

「いや鎧を脱ぐ訳には」

「いいから着替えろ」


とある屋敷に連れられて

有無を言わせず、着替えさせられる。

(何だ?まだ賊の襲撃があるかもしれない

 状態で鎧を流されるとは…何があるんだ?)


劉良は、そう言う疑問が浮かぶが

高順の言う通り着替える

前触れがあった為だろう使用人やお湯が準備されスムーズに鎧が脱ぐことができ

血生臭から解放される。


「…終わったかそれでは行こう。」


部屋の外で待っていた高順が先に歩き出す。

やはり叔父上の様子が何処かおかしい

確かに寡黙な方だがここまで話さず

厳しい顔をした事がない。


「…ここだ、私は兵達の指揮に戻る」

「え…はい」


高順は、屋敷の一角についた途端

護衛していた兵に

劉良が来た事を伝えた後去って行った。


「劉良様どうぞこちらに」

「あぁ」


兵の案内で屋敷の奥に歩いていく

すると徐々に匂いを感じるようになる。


(ん?この匂いは…薬草の匂いと血?

 もしかしてこの先には、

 傷兵がいるのか?)


劉良の読み通り歩みを進めていると

痛みに耐える苦痛の声や血塗れの兵士などが治療を受けていた。


「ここは」

「傷ついた兵達それも重傷な者達が

 ここに集められています

 劉良様にはここの外れにご案内いたします」

「あぁわかった」

 

(うーん?

 叔父上は、何故ここに連れて来たのか?

 …まさかな)


劉良は、嫌な予感を感じながら

兵の後ろをついていく

そうしていると少し離れた場所にある

ずいぶんと守りが厳重な小屋についた。


「劉良様が来られた」

「少々お待ちを確認してまいります」


立っていた兵が小屋の中に少し入った後元の位置に戻ってくる。


「どうぞ中で高春様が

 お待ちになっております」


劉良は、意を決して小屋の中に入る。

薬の匂いと香の匂いが充満している部屋の中に母である高春や呉範がおりその中心に

一人の男が目を閉じて寝ていた。


「…父…上…?」

「…良」

「母上…父上は…」

「旦那様は…旦那様は…ううう」


母上が泣き崩れる

その姿に嫌でも気づいてしまう

自分は…間に合わなかったのだと。


…嘘だ


そんなあり得ない


父上が…亡くなるなんて


「…父上」


劉良は、ふらふらと一歩ずつ

子敬の元へ歩く。

寝ている子敬の顔には、

布が巻かれておりそこから血が滲み出て

激戦を戦った様子が伺える。


「…こんな…こんな事になるなら

 共に…共についていけばよかった

 父上この親不孝な息子を許してください。」


劉良は、膝をつき涙を流す。

今世では、家族を…大切な者を

守ると誓ったはずなのに!!

…守れなかった…そう守れなかったのだ私はッ!!


悔しくて後悔するが

それでは…大切な家族…

父上は、帰って来ない。


「…劉良」

「呉範…俺はどこを間違えた…どこで」

「間違ってなどいないさ」

「何処がだ!!

 家族を守る為に必死に頑張っていたのに

 結局この様だ!!

 俺は!!愛する家族を死なせてしまった!!」


劉良は、感情の爆発を抑えきれず慟哭する。


私は何の為に今世に甦ったのか

これでは意味がないじゃないか!!


嘆く劉良を見て気まずそうに呉範が告げる。


「劉良…いや心の友よその…勘違いだ」

「…何をだ?目の前にあるのが現実だろう!!」


劉良は、怒りを呉範にぶつける

友人であろうが冗談を言っていい時と悪い時があるだろう。


「…良」

「何です

 私は呉範に聞いてるのです」

「いや…そのだな」

「だから父上!!………へ?」


劉良が顔を上げると

目を開けながら気まずそうにしている

子敬の姿があった。


「…勝手に死なさないでくれるか?」


「ちっ…父上が

 …………喋ったッー!!」


劉良の絶叫が村中に響き渡った。

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