第64話 思わぬ援軍

「じゃあなおっさん」


…すまない……高春。


無慈悲な刃が子敬の首を目掛けて振り下ろされる。


ダダダダッ


「…ッ!?下がれッ元紹!!」


「は?…ぐぶッ!!」


突然襲いかかって来た荒々しい衝撃を受け止めきれず、元紹は吹き飛ばされ地面を転がる。


「ふぅ…間一髪だぜ

 あんた劉子敬殿だな?」


筋肉隆々で無精髭を生やした偉丈夫が

子敬に話しかける。


「だっ…誰…だ」

「俺か?俺は…ふんッ!!」


子敬を守る様に立つ男は、

周倉の一撃を受け止め弾き返す。


(くっ…まるで巨大な岩を叩いた様に

 びくともしない…)


周倉は、手の痺れを感じながら距離を取り

飛ばされた元紹をチラリと見るが

先程から動いていない様子だ。


(気を失ったか?それとも…

 とにかく戦力にならないか)


「俺の名は、張飛益徳ちょうひえきとく

 友に頼まれてな助けに来たぜ」


そう言って無精髭の男は、ニヤリと笑う。


「張飛益徳…覚えたぞ」

「お前は、覚えなくていいぞ

 …ここで死ぬんだからな」


張飛は、そう言って武器を構える。


「死ぬつもりは無い

 ゆえに引かせてもらおう」


周倉は、背を向け逃げ出す。

張飛は、追いかけようとするが

周倉の逃亡を援護するかの様に矢が飛んでくる。


「逃すかよ!!…ちっ」


張飛は、後ろの子敬に矢が行かない様に叩き落とす。

その隙をついて周倉は、倒れている元紹を

担いで村に侵入した賊達と共に村から脱出する。


「逃げられたか、くそっ!!

 まぁいいおい!!急いで門を閉めろ!!

 また賊が入り込むぞ!!」

「はっはい」


張飛は、村人達に指示出す。


「お疲れ様ギリギリ間に合った様だね」

「おう…そっちはどうだった?」


張飛は、こちらに歩いてくる呉範に問いかける。

 

「残念ながら死んでいたよ」

「口封じか卑怯な奴らだぜ」


呉範は、後ろから子敬を撃った者を追っていたがその者に追いついた時には、

何者かに殺されていた。


「あぁ…そうだな

 っとそれより子敬殿の治療だ

 張飛ここは任せてもいいかい?」

「わかったぜ、おいお前ら

 まだ気を抜くんじゃねぇぞ!!」


張飛は、檄を飛ばしながら門の方へ歩き出す。


「…さて、それじゃお願いするよ」

「はっ」


呉範は、控えていた部下に子敬を運ばせる。


「治療は、専門外だがやれるだけ

 やってみようか…心の友の為に」


呉範は、そう言って歩き出した。



 

 

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