第28話 種族、容姿解説



 とりあえずフィオさんは無事に回復。


 うん、それだけは喜んでおこう…



「というわけで〜、今日は〜種族について〜教えていくわ〜。バンス公国は〜種族差別が〜か〜〜なりきついから〜覚えておかないと〜面倒事に〜なるかも〜。」


「はい、お願いします。」


 マギさんは一夜明けたらいつも通り。

 これだけ切り替えられるのはほんとすごいよ…


「種族には〜見てわかる特徴と〜見ただけでは〜わからない〜それぞれの能力っていう〜特徴があって〜、この特徴があるから〜って〜排斥するのは〜私は〜好きじゃ〜ないわ〜。」


「わかります、だれもがその特徴を個性だと思えればいいんですけどね。」


 地球での肌の色や民族なんかですら差別されるんだ、こっちだと種族から違うんだからその差別はすごいんだろうな…


「じゃあ〜フィオちゃ〜ん、あとの説明はよろしくね〜。補足とかは〜ちゃんとするから〜心配は〜しないでね〜。」


 あれ? マギさんが説明するんじゃないのか。


 あ、今日も運転はじいちゃんで助手席はルイさん。じいちゃんは運転にハマったみたいだ。


「えっと… まず、広い意味で「ひと」って呼ばれる種族はたくさんいるんだけど、狭い意味で「ひと」って言うと普人族ヒューマンを指すの。何かのときに人族って言うと普人族ヒューマンのことね。

 普人族ヒューマン以外を亜人族デミヒューマンとか言うこともあるけど普人族ヒューマン以外って言い方だから一般的にはエルフとかドワーフとかその種族名を言うわね。

 普人族ヒューマンの特徴は特にないのが特徴ね。ただ、肌の色がいくつかあるくらい。

 種族的な得意不得意なんかも特になくて個人差レベルね。この中だとティーロくんやルイさんが普人族ヒューマンよ。」


「たしかに特徴が薄いよね。」


「次は森人族エルフね。白い肌のグループと褐色の肌のグループがいるわ。

 白い方を説明して褐色の方との違いをあとから言うわね。

 外見の特徴は横に長い耳と華奢な体つきね。身長は普通だけど総じて線が細いわ。

 全体的に魔法適性が高いけど、水や風が得意で、火や土はあまり得意じゃないひとが多いわ。その体つきから盾で攻撃を受け止めたり重量武器で殴りかかったりするよりは遠距離から魔法や弓で攻撃するのを得意としてるわ。

 褐色の方は黒森人族ダークエルフと言われて呼び方はほぼ定着してるわ、外見の違いは肌の色、魔法適性は水の代わりに火が得意でその他はだいたい森人族エルフと同じね。」


 ファンタジーの代表エルフ! 是非とも実物を見てみたいな!


「エルフとダークエルフは仲が悪かったりするの?」


「そんなことはないわよ、住んでる地域が違ったり好みが違うから本人たちは近い別の種族って認識のひとが多いわね。」


「種族同士で仲が悪かったりはあんまりないよ。それより国とか個人でどうこうって感じだねぇ。」


 なるほど、ある意味平和でよかったかも。


「次は洞人族ドワーフね。

 身長は小柄だけど筋肉質で力は強いわ。手先が器用で職人になるひとと多いけど、その力強さで前衛をするひとも多いの。種族としてエルフが苦手な火と土の魔法が得意なひとが多いわ。

 身近だとジークハルトさんとバルバラさんがドワーフよ。」


「そっか! 小さいなーとは思ってたけど2人はドワーフだったのか、なんか納得した。」


「ははっ、あたしらドワーフは鍛冶や錬金術、大工と色んな職人が多いね。鍛冶師ギルドはだいたいドワーフがトップだよ。」


「次は獣人族ね、人族の体に動物の耳と尻尾があると思ったらいいわ。その動物ごとに猫人族や狼人族って細かく分けることもあるけどまとめて獣人族って言うことが多いわね。

 どの動物の要素を持つかで体格が変わるわ、熊人族は大柄だし鼠人族は小柄ね。」


「たしかに熊より大きな鼠はいないよね。」


「そうそう、あとは総じて魔法適性は低いわ。そのぶん身体能力は高いけどね。

 一部に魔法が得意な獣人もいるって聞いたことがあるわ、たしか狐人族だったかしら?」


「そうね〜、狐人族は〜火魔法が得意よ〜。」


「あとは… 鬼人族ね、身長は普通のひとからかなり大柄なひとがいるわね。小柄なひとはほぼいないわ。魔法適性は全体的に低くてそのぶん身体能力が高いひとが多いわ、でも魔法が得意なひともいて、そういうひとは身体能力は低めね。」


「鬼人族にモンスターのオーガに似てるって言うのはかなりの侮辱になるから、言わないとは思うが気をつけるんだよ?」


「わかった。見れば違いはわかるんでしょ?」


「そうさね、鬼人族はちゃんとひとだから実物を見ればすぐわかるよ。」


「大柄繋がりで巨人族ジャイアントっていう種族もいるわね。体が大きくて力が強いから肉体労働で大活躍してるわ。」


「あとは吸血鬼ヴァンパイアかの、魔法も身体も強いけど昼間は弱体化するんだよ。」


「それから… えっと…」


「魔人族は〜私が言うわ〜。

 体格は普通だけど〜魔力、魔法適性、身体能力が〜とても高いの〜。見た目の特徴は〜少しだけ尖った耳と〜ほんの少し尖った犬歯、でも〜1番わかりやすいのは魔紋ね〜。

 生まれつき〜身体のどこかに模様があって〜これは刺青じゃないわ〜。ちなみに〜魔紋を模した刺青は〜魔人族への冒涜になって〜見つかれば〜殺されても文句は言えないのよ〜。

 魔紋の位置で〜魔力の強さがわかって〜、顔、胸、おへそ、その他の順になるわ〜。魔人族の貴族なんかは〜顔にないと〜跡継ぎになれないって〜話もあるくらいよ〜。」


「えっと… じゃあ、顔にあるフィオさんは…?」


「フィオちゃんは〜右頬から〜こめかみにかけてあるから〜最上位って言えるくらいの〜か〜なり〜上位になるわね〜。」


「そっか… あの魔力量なら納得かも。」


「あとは… 被差別者についても話しておかんとね…」


「そうですね… 今まで挙げた種族で、ダークエルフ、獣人族の一部、鬼人族、吸血鬼、魔人族は普人族の一部の国から差別を受けているの。」


「それは… なんで…?」


「その国の宗教が理由ね、邪悪な種族だって教義で決めているの。

 あとは魔人族の国の王のことを何て言うと思う?」


「魔人族の王様? そりゃ… 魔王?」


「そうじゃ、その名前で敵と見なされるんだよ。ただ魔人族の王様って意味なだけなんだけどね…」


「しょうもな…」


「ふふふ〜、やっぱり〜ティーロくんは〜いい子ね〜。」


「それから… 左右の目の色が違ったり、身体の色が異常に薄い子供が生まれると差別されるし、極まれにだけど魔人族以外にも魔紋を持つことがあるの。そうなると差別対象になるわ。魔紋持ちはどの種族でも高い魔法適性を持つけど、危険人物として処刑されることもある…」


 うわ… 差別要素多くない…?

 オッドアイとアルビノは遺伝的な確率で生まれるだけだよね…


 フィオさんの魔紋ってトライバルタトゥみたいでかっこいいって思ってたけどこの位置にあるってもしかして… いや、やぶ蛇になりそうだからやめとこう…


「それで、じゃ。なんでこんな話をしたかというとだね、これから行くバンス公国は差別が強い国柄でねぇ…」


「ヒューマンと〜エルフ以外は〜下級人種扱いなのよ〜、ドワーフとか〜獣人はまだいいけど〜魔人族や〜ダークエルフは〜奴隷じゃないと国に入れないし〜、もし〜間違って入っちゃったら〜奴隷にされるわ〜。」


「えっと… じゃあフィオさんのことはどうするの?」


「フィオちゃんのことは〜私の奴隷ってことにして〜誤魔化すわ〜。ティーロくんには〜そういうところも含めて〜いろんなことを〜見てほしいの〜。」


「フィオさんはいいの?」


「ティーロくんのためなら問題ないわよ、それにマギさんは無体むたいなことはしないしね。」


 なんだか楽しみとは言えないよな…


「フィオさんがマギさんの奴隷… でも見た目が…」


「それは〜親が用意した〜召使いの奴隷って〜ことにして〜押し通すわよ〜。小さくて悪かったわね〜。」


 マギさんって○学校高学年くらいの体格だからね… たしかに親が召使いを付けたって言えそう…


「ティーロ〜く〜ん? ま〜だなにか〜言いたいことが〜あるのかな〜?」


 言えないけど笑顔が怖い!




作者です


フィオさんは右頬に魔紋がある魔人族。

マギさんは合法ロリ。

じいちゃん、ばあちゃんは小柄ドワーフ。


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