第17話 新製品の試作品

客間に敷かれた布団が3組。

元農家の客間だけあって、3組敷いてもまだまだ余裕有るし。

いや、問題はそこではない。


「………………………………………西河!どういう事かな?」


「ん?お布団敷いただけだよ?」


ギャルが首傾げて答えても可愛くないぞ。


「何故に3組並んでるのかな?」


「ん、東山と私と、オマケで法川さんのだよ?」


そういう意味を聞いたのでは無いんだけど!

ていうか、この『高級そうなお布団』、どこから出てきたんだよ!

掛け布団は羽毛、だよな?枕も、モコモコそうだし。

しかも、新品か?

この大きさは、セミダブルサイズだよな?

もし、二組色違いで並べたら、まるで新婚さんだぞ!


ワンコとにゃんこの面倒を三人で見て、飽きるまで遊び倒してオネムになって寝かせた後からいつの間にか用意された豪華な食事を三人でとって、同じくいつの間にか用意されたお風呂を済ませて何故か脱衣所に用意されていた下着とパジャマを着て戻ってきたら!

僕が自分で用意した着替えは無くなっていたから仕方なくだからね?

僕のパンツ、脱いだのも含めて何処へ消えたのかな?


ここは、僕の家だよね?

いつもより、遥かに過ごしやすいんですけど!

空調なんか無かったはずなのに、ちょうど良い室温になってるみたいだし。


「………………………………………西河?何でお前までパジャマなのかな?」


「ん?お揃いだよ?」


だから、そういう意味で聞いてるんじゃないぞ?


肌触り最高な、初めての感触な、パジャマ。

僕はブルーの水玉模様、西河はイエローな水玉模様で。

コイツが色っぽく見えるなんて、くやいしんだけど。


「パジャマだけじゃなくて、下着も私達とお揃いだからね?」


「………………………………………はぁ?」


僕のこの薄いブルーなシャツとトランクスと、お揃いだと?


「ねえ?下着の見せっこしましょうよ?」


「……………………………………断るっ!」


「ちっ!残念。」


チョットは見たかったけど………………


「………………………………………私もお風呂、いただきました〜」


恐る恐る戻ってきた法川さんは、ピンクの水玉模様のパジャマで。

あれ?

って事は、法川さんの下着も、僕とお揃い?

法川さんはピンクで西河はイエロー?


「東山君、シャンプーリンスボディソープとスポンジ、良いもの使ってるわね?」


「………………………………………へっ?」


「………………………………………えっ?」


法川さんが、変なことを言い出したぞ?

リンスイントニックシャンプーと固形石鹸しか無いはずだぞ?

スポンジ?吊るしてあったヘチマの繊維の事かな?あれ、女の子には痛いと思うんだけど。


いや、そんな事よりも、法川さんのお風呂上がりのパジャマ姿だぞ!

西河のパジャマ姿とは大違いなんだからね!

勿論、西河が法川さんに劣るわけでは無いけど格が違いすぎる。


「あっ、それ私が用意させたの。新製品の試作品だからどんどん使って感想聞かせてね!」


「えっ?何それすごいっ!あれ使っちゃうともう元には戻れないわよっどうしてくれるのよっ!」


「嬉しい事言ってくれるわね!今ある分何種類か法川さんちに届けさせるわね。使用感レポート頼まれてるからよろしくねっ!」


………………………………………用意させたって、誰に?

部屋の隅と天井裏で何かが動いたような気がしたのは、気のせいだよね?

まさか、西河の指示がすぐに実行されるのか?

小人さんか妖精さんでも居るのかな?

まさか、ね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る