やり取り②

『急に連絡してすみません。岩井 巧です。DM見ました。

きっと俺が名前を呼びながら走っている夢の相手は貴方ですよね。でもいつも目が覚めると名前も顔もはっきりとは思い出せないんです。俺もずっと忘れられなくて連絡してしまいました。』

「え!?!?!?たく君からの連絡!?いや偽物かもしれないよね。だって私しかフォローしてないし。」

『本物ですか?』は失礼だよな。でもこの夢の事は私は誰にも話していない。という事は本当にたく君だよね。なんて色々考えていたら

『本物の岩井 巧です。グループのアカウントだと共同なのでバレてしまいます。だから新しく俺だけが使えるアカウントを作っています。』

と顔付きの動画が送られてきた。

「本当に本当の本物のたく君!?」頭が追いつかない。

『まさか返信が返ってくるなんて思いませんでした。でも他にも夢の相手を装う子達が沢山いるのに私がその相手かもしれないと分かったんですか?』

『昨日俺も君と同じ夢を見たんだ。そして何故か君の名前を見た時に懐かしい気持ちになったんだ。』

『そうだったんですね。本当に不思議ですよね。』

『どうしてこんな夢を見るんだろう。俺ら会った事ないよね?』

『ないです。初めは私がたく君が好きすぎて出てきてしまった夢なのかと。』

『なんか照れるな(笑)』

『まだライブも当たった事無いですし私は北海道住まいなので会った事ないかと。』

『北海道か!いいなあ自然いっぱいでご飯も美味しいらしいし行ったことないんだよねー。』

『今度ライブに来る事あったら是非色々食べてって下さいね!』

『そうだね。今度ね!!』

そんなたわいも無い会話が夜明けまで続いた。

また夢で出会うかもしれないね。なんて話も。

『俺らがこうやって話をしている事は誰にも言わないで欲しい。』

『もちろんです。夢にたく君が出てきた事すらも誰にも話していません。これからも話すつもりはありません。』

『ありがとう。』


会話が終わり俺は幸せな気持ちと罪悪感がごちゃごちゃになっている。そして同時にバレたらどうしようという焦りも出てきた。あくまでも俺と彼女はアイドルとファンだ。

もう夢は見る事がないかもしれないし今までもたまたまだったのかもしれない。

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また夢で逢えたら 北斗 七星 @nanase-maru

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