メリークリスマス

 机の上に回答済みの用紙が積みあがっていく。

 ふざけた質問はほとんどなく、皆の疑問に答えていく。

「大体これで終わったかな」

「ええ。さすが。仕事が早いわね、佳織」

 皆で分担して作業しているが、佳織の作業量は一番多い。

 サリは佳織の手元をのぞき込む。

「それに、回答の文章も長いよね」


「好きなことだったから、効率よく勧められただけよ」

「そうね。サンタのこと、一番好きなのは佳織だからね」


「ウフフ。皆も好きだからこの仕事をしているのでしょう?」


「まぁね。みんな昔の夢はサンタさんに会うことだったんだから、日々の仕事をできているのよね」


「外国の人は皆夢を見るのよね。日本はあまりないけれど」

 サリは佳織の方を向いて言った。佳織にしか聞こえない声で。

「メリークリスマス。私ね、昔からクリスマスイブとクリスマスの夜には魔法が使えるのよ。皆、せーの」

「佳織、いつもありがとう」

 皆が一斉にお祝いのクラッカーを鳴らす。


 嘘か本当か信じるかどうかはあなた次第だ。

 雪の降らない街にも彼女の魔法の力があれば雪が降ったりするようだ。

「雪だ。ホワイトクリスマスね」

「ええ」

「サリ、あなた、すごいわ」


「これは誰にも内緒ね」

 サリは口元に人差し指を持ってくる。


「私はこれ、誰にも行ったことないんだからね。佳織だから特別ね」


 願いは叶う。

 諦めなければきっと。

 END


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サンタクロースに憧れて 完 朝香るか @kouhi-sairin

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