エッセイで「アジアゾウの子象」と自己紹介するフォッカ氏が、象をテーマの中心に据えた本格アクション作品というだけで、読む前からすでにグッとくる。
プロローグの構成が巧みだ。「白暦1326年、象が絶滅した」という歴史的事実から始まり、56年後の1382年に人間に擬態できるゾウの化け物「ファント族」が人類を支配する世界へ。象牙乱獲への怒りと因果応報が、SFアクションの設定として機能している。「椿色の弾丸と記憶」の銃舞《スイーパー》に続く、フォッカ氏お得意の「固有名詞で世界観に格を与える」手つきがここでも出ていて、「AM暁光(サクリフィキウム)」「Dead Ivory」「Crescent Fang」とネーミングセンスが光る。
「能力を語っている間は相手が動けない、だが語り終えたら自分の防御力も0になる」という月猫の戦闘スタイルは、リスクとリターンが裏表になっていて、バトルシステムとして面白い。そして最後月猫に擬態したライカの存在がオチとして落ちる構成は、次話への引きとして申し分ない。
現在3話と序盤だが、フォッカ氏の全作品の中で最も「大きくなれる」土台を持つ一作だ。続きを強く期待したい。