フォッカ氏の全作品を読んできた人間にとって、この作品はすべての伏線が集約した場所だ。
「ゾウさん」という自己紹介、「アニメ大好き!!」のアニメキャラが現実に存在する世界観、「象牙兵戈革命」の象モチーフの能力者それらが全部ここに繋がっている。主人公・廿月が使う絵本の能力の名前が「エレフン・パオン」(フランス語でゾウを意味するéléphant)なのも、フォッカ氏の世界観の核がここにあることを示している。
プロローグから容赦がない。アニメキャラが普通に働いている平和な世界で、弟がサイン会の乱刃に倒れる。カートゥーンキャラのコミカルな掛け合いと、13歳の少年が流す涙が同じページに並ぶこの温度差こそがフォッカ氏の作風の核心で、「椿色の弾丸と記憶」でも磨かれてきた技だ。
49話・15万字・連載中で、フォッカ氏のカクヨム作品の中で最も読者がついている。ショートショートから入って、エッセイで作者を知り、椿色で物語の重さを体感した人が最後にたどり着くべき一作だ。