第39話 【10月9日】

 最近周りのものの食い方が気になって仕方がない。まず若い連中の食欲。無駄によく食べる。見ているとその遠慮のない食いっぷりに段々ウンザリした気持ちになる。

昔の映画で大怪我をした主人公がヒロインの少女を救うため無茶苦茶に食べ体力を取り戻そうとするシーンがあった。ボクはそれを見ながら「人間、まずは食欲だな」と変に納得したものだが、今の若い連中のそれにはむしろ何もかもを食らい尽くす、ある種の「業」すら感じる。

 今日コンビ二に入ると夕方の食事時だったせいかとても混み合っていた。ところがよくよくカウンターの方を見ると、一組の若い集団がワイワイやりながら、「チキン」やら「饅頭」やら「ホット弁当」やらを思いつくままに注文して店員を翻弄しているのだった。

 見る者が見たら、それは週末の開放された雰囲気そのものであり、「青春の1シーン」ですらあるだろう。しかしボクは逆にそこにおぞましさすら感じた。単にエネルギー効率の問題かも知れない。しかしそれ以上にボクが戦慄するのは彼らが目の前の豊かな食料の存在を信じて疑わない、その無防備さだ。

 彼らはその食欲をもって、戦うべきその時にいかに戦うのだろうか?ボクにはその姿がどうにも想像できない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る