好奇心
- ★★★ Excellent!!!
「裸の箱」は、科学と人間の記憶が交差する、不思議な温度をもった一編でした。宇宙時代という舞台でありながら、登場人物たちの言葉やふるまいにはどこか懐かしさがあり、未来であって未来ではない、そんな感覚に包まれます。
特に印象に残ったのは、遺品整理という行為に対する研究員たちの姿勢です。表向きは「ちょっとした息抜き」や「研究資金稼ぎ」と語りつつも、その奥にあるのは、過去の人間の残した“痕跡”に対する純粋な敬意や好奇心です。亡くなった科学者の名が刻まれた箱を囲み、談笑しながらもどこか緊張感をまとって作業する様子は、まさに科学という営みの神聖さを物語っているように思えました。