アドミン

「ふう。今日の会議もやっと終わったかぁ。」

綾村は一仕事を終え、上司たちが席を立った後の会議室でホッと一息ついていた。


「ねぇ、もう良いんじゃない?」

同僚の八嶋が、横から大河の顔を覗き込みながら、声を掛けてきた。


「ん?」


「いや、あげすぎでしょ。係長に昇格したばっかで忙しいのに、みんなが心配してるよ?」


「あー、、、。なんか習慣になっちゃってさぁ。」


「運営側が依存してどうするよ。」


「確かにな。」

綾村と八嶋が談笑していると、


「それで最後の会議も居眠りしてたのね?惰眠さん。」

二人の後ろで笑いを制するように冷ややかな声が聞こえる。


「お、大河課長、、、、」


「業務を忠実にこなしてくれるのは有難いことだけど、前回会議でも話した通り、次次と先のステップに行動は移行しているから置いて行かれないようにね。」


「は、はいっ。」


「それにしても、admin(運営者)をもじって名前を付けるなんて、キミらしいわね。まあ、ほどほどにね。」


じゃあね、と大河は二人に手を振りながら、会議室を去って行った。


「あー、びっくりした。」


「ねー。幹部たちはもういなくなってるかと思って、気を抜いてたよ。」


「まあ、あんたも主任なんだから、次は幹部と呼ばれる立ち位置にあるんだからね。」


「それはそうなんだけどさ。役職的には一個しか変わらないのに、係長と課長の差がありすぎて実感ないわ。」


「そうだねー。私ら同期からしたら、あんたの実力はすごいと思ってるけど、課長はやっぱ能力高いよね。」


「うん。自身無くすわ。」


そういって軽く雑談しながら、二人は会議室を後にする。

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トット oira @oira0718

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