第59話 帝都侵攻
ドゲムは空中で腕を組み、遠くに見える商業都市レミアを見ていた。
「次はここに住んでいる人間を皆殺しにするのだ」
誰もドゲムを阻止できる者は居ないので、人間達を全て殺しながら悠々とここまでやって来た。
ドゲムの部隊は上級魔族5匹。それも特にドゲムをディスっていた奴らをピックアップして先兵にしてこき使っていた。
殺戮を好む、飛べない魔族達がドゲムの後を遅れてぞろぞろと歩いて付いて来ていた。
ドゲムの通った跡は凄惨なものであった。
現場の状況を聞いた人々はドゲムを避けるように帝都に向かってひたすら避難をしていた。
その時ドゲムの元に黒い影が現れる。
「ドゲム様、調べて参りました」
「そうかドゲルク聞かせてくれ」
「大陸北はファザリスに阻まれて膠着状態です」
「そうか。まあファザリスが居るならしょうがないな。南はどれぐらい進軍したのだ?」
「それが突如現れた、炎を身にまとった男と、氷魔法の女に翻弄され、一進一退、ゲリン原から先に進めないようです」
「なるほどな。炎の男は知っている。あの地獄の体を武器に変えるとはな。素直に大したものだと言ってやろうダルトン。まあ平和ボケした三下魔族共も各地でそれなりに頑張っているようだ。大目に見てやろう。よく調べてくれたなドゲルク。それでは前方のレミアも探ってきて来てくれ」
「はい。ドゲム様」
ガス体の飛翔型魔族ドゲルクは、商業都市レミアに向かい凄いスピードで飛んで行った。
ドゲルクはドゲムが新しく創ったドゲムの眷属である。
ドゲムの手下たちはドゲムに対して心の底では反発しており、それはドゲムも薄々感じていた。それで自分に忠実な手下を新たにつくることに決めた。
いつもファザリスの専属魔族である優秀なスナミを羨ましく思っていたドゲムは、新たな眷属は優秀な偵察型の魔族にしようと思った。
新しいドゲムの体から創られたドゲルクは、スピードと、偵察に優れていて、何よりドゲムに忠実だった。
ドゲムは心底ドゲルクに満足していた。
少しするとドゲルクは戻って来て
「レミアには人が居ません。帝都に向けて避難したようです」
ドゲムは少し考えて
「人間の希望は帝都にあるようだな。では大魔王ドゲムが帝都を絶望に変えてやろう。商業都市レミアは飛ばして、帝都を一気に占領することにする。各地から避難民が殺到しているのだ。きっと殺しがいがあるぞ。三下魔族共にも帝都を攻めると伝えておいてくれドゲルク」
「はいドゲム様」
「新しいドゲムもそうだが眷属も非常に優秀だ。以前の奴等が何だったのかと思うぞ」
ドゲムは甲高い笑い声を上げ、ドゲルクはそれに聞き惚れていた。
魔王城のプリシラ姫の部屋、今はゲスールの部屋。
扉を開けて部屋にガーゴイルが入って来た。
「おいゲス野郎何やってんだ?」
「猫に餌をやってたでゲス。最近ちょっと太り気味かもしれないでゲス」
「皆が出て行ったが、お前はドゲム様の軍に加わらないのか?」
「俺が行ってもすぐ殺されるだけでゲス。こうして城の中に居た方がいいでゲス」
「ゴブリン共は皆ここにいるのか?」
「いや喜び勇んで前線に行った奴もいるでゲス。そこはゴブリンの性格にもよるでゲス」
「ああそうなのか。この魔王城も閑散としていて寂しい限りだな」
ガーゴイルが部屋を見回すと、壁の出っ張りに掛けてある、プリシラが魔王に貰った久遠の炎のランプの輝きが目に入る。
「あの嫌なランプはなんだ?、ファザリスが居ないのだからもう捨ててもいいだろ」
「それを捨てるなんてとんでもないでゲス。ドゲム様は絶対捨てるなと言っていたでゲス」
「ドゲム様が本当か?」
「何か深謀遠慮してるでゲス。俺にはさっぱりわからないでゲスが」
ガーゴイルは頭の後ろで手を組んで
「しかし危なかった。ドゲム様が魔王解任されたとき、裏切らなくて良かった。裏切ってたら俺はもう死んでいたろうな。俺はついに大魔王の眷属になったのだ」
ガーゴイルは部屋の扉を開けてゲスールの方を向く
「ドゲム様の私邸には美味い物が隠されている。それを今から俺は探しに行く、お前も付き合え」
「そんな事をして大丈夫なんでゲスか?」
「大陸統一すると奴は息巻いてたんだ。暫くは帰って来ないだろ」
「それじゃあお供するでゲス」
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